為替トピックス1月29日号 (PDF/471KB)

2016/
為替トピックス
1/29
投資情報部
FX ストラテジスト
五十嵐 聡
RBNZのハト派声明にNZドルは売りで反応
 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は1/28、予想通り政策金利を2.50%に据え置くと発表し
たが、声明が追加緩和を示唆する等ハト派的だったことから、NZドル相場は売りで反応。
 声明では、「見通しに関する多くのリスクがある」と指摘、インフレ率が目標レンジに戻るには
想定以上の時間がかかり、「いく分かの追加金融緩和が必要となるかもしれない」と述べた。
 昨年10-12月期のCPIは前期比▲0.5%、前年比+0.1%と予想を下回っており、RBNZの想定
水準も下回った。これによりインフレ率の上昇が想定より遅れる可能性が強まっている。
 NZドル相場は中国リスクの拡大や原油安等から下落している。RBNZがインフレ率の上昇が
遅れるリスクや追加緩和の可能性を指摘したこともあり、今後も軟調推移が予想される。
RBNZは金利据え置
き、結果は予想通り
ながらハト派姿勢か
らNZドルは下落
ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は1/28の金融政策理事会において、政策
金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を2.50%に据え置くと発表
した。結果はエコノミストの予想(ブルームバーグの調査では16人全員が金
利の据え置きを予想)通りだったが、声明が追加緩和を示唆する等ハト派的
だったことから、発表後のNZドル相場は売りで反応している。
RBNZは昨年4回の利下げを実施した後、昨年12月会合では当面の利下げ打ち
止めを示唆しており、今回はその直後ということで、市場では金利据え置き
予想が大勢となっていた。このため、市場の注目は足元のインフレ率の軟調
な動きに対して、RBZNがどのような認識を示すかに集まっていた。
(%)
4.0
3.9
3.8
3.7
3.6
3.5
3.4
3.3
3.2
3.1
3.0
2.9
2.8
2.7
2.6
2.5
2.4
2.3
NZドルと政策金利
(日次:2014/1/1~2016/1/28)
1年物OISレート(左目盛)
NZ政策金利(左目盛)
NZドル(右目盛)
14/1
14/4
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
(1NZドル=ドル)
0.90
0.88
0.86
0.84
0.82
0.80
0.78
0.76
0.74
0.72
0.70
0.68
0.66
0.64
0.62
16/1
(年/月)
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為替トピックス
2014/19/18
声明では「いく分か
の追加緩和が必要と
なるかもしれない」と
指摘
声明ではまず、
「世界経済の強さに関する不確実性が増している」と述べて
おり、年明け以降に顕在化した中国における金融市場の混乱や原油価格の下
落等の状況を反映させた内容となっている。
また、国内経済については、2015年前半にかけての成長率の鈍化を指摘する
一方、16年については「継続的な純移民流入の強さ、旅行需要、建設活動の
堅調な計画、企業・消費者の信頼感の向上等から、成長率は上昇が予想される」
と述べている。ここからは、ニュージーランド経済が今後緩やかに回復に向
かうとの基本的なシナリオをRBNZが維持していることがうかがえる。
ただ、一方で「見通しに関する多くのリスクがある」とも述べており、中国
を中心とする世界経済の見通し、国際金融市場の動向、乳製品価格、純移民
流入、住宅市場における圧力等を挙げている。
為替相場に関しては、「継続する輸出価格の低迷を踏まえれば、更なる為替
相場の下落が適切である」としており、引き続きNZドル安を望む姿勢を鮮明
にしている。
注目のインフレ率の動向については、ヘッドラインのインフレ率が燃料価格
の下落により低下している状況を指摘する一方で、
「一時的な要因を除いたコ
アインフレ率は1.6%と目標レンジに一致している」としており、基調的には
安定しているとの認識を示している。ただ、今後については「ヘッドライン
のインフレ率は2016年を通じて上昇すると予想されるが、目標レンジに到達
するには従来想定以上の時間を要するだろう」としており、インフレ率の見
通しを実質的に引き下げている。この点に関して前回15年12月の声明では、
「現行の金利水準でこれを達成できる」としていた。
今後の金融政策スタンスについても、「将来の平均的なインフレ率を目標レ
ンジの中間水準に安定させるため、向こう1年間にいく分かの追加金融緩和が
必要となるかもしれない」としており、前回の「中銀は状況が正当化すれば
利下げを行う」との表現から追加緩和にやや踏み込んだ格好になっている。
このため、前回の声明から感じられた利下げ打ち止め感は後退し、年内どこ
かの時点で利下げを実施する可能性がやや高まったものと思われる。
利下げのタイミングとしては、インフレ率の動向が注目される点を考慮すれ
ば、次回1-3月期のCPIが発表される4月以降で、四半期金融政策報告(MPS)
が発表される6月会合辺りが可能性として想定されよう。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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為替トピックス
2014/19/18
1/20に発表された昨年10-12月期の消費者物価指数は前期比▲0.5%、前年比
インフレ率は足元で
下振れし 、 RBNZに
よる見通しも下回っ
た
+0.1%と市場予想(それぞれ▲0.2%、+0.3%)を下回る伸びとなり、RBNZによ
る見通し(前年比+0.4%)も下回った。
原油価格の下落にともないガソリン価格が前期比▲7.0%と大幅に下落した
ことが物価の下押し要因になっており、このまま原油価格の低調な推移が続
けば、今年1-3月期についてもガソリン価格の下落が大きな物価押し下げ要因
になる公算が大きい。
財別では、貿易財はガソリン価格に加えてAV機器・コンピューターや衣料品、
家電等を中心に前期比▲1.8%、前年比▲2.1%と下落幅が拡大しており、NZド
ル安による物価押し上げ要因が相殺される状況になっている。RBNZは昨年12
月会合で「NZドル安が貿易財価格の上昇に波及することにより、インフレ率
は2016年の初頭から目標レンジの範囲内に入ることが期待される」としてい
たが、こうした見通しは修正を余儀なくされる可能性があろう。
一方、非貿易財は新築住宅や賃貸料等の住居費をはじめ、国内航空運賃等が
物価押し上げに寄与しており、前期比+0.5%、前年比+1.8%と伸び率は加速し
ている。
一時的な要因を除いたコア指標では、加重中央値が前年比+1.5%と横ばい圏
の推移、トリム平均値は前年比+0.4%に鈍化した。一方、RBNZが注目している
部門別ファクターモデルでは前年比+1.6%と前期の同+1.5%からわずかながら
上向いている。これらコア指標からみれば、インフレ率は依然として目標レ
ンジ内での推移となっており、基調的には底堅いとの判断ができよう。
(%)
7.0
NZ消費者物価指数(前年比)
(四半期:2005/3~2018/12)
6.0
5.0
4.0
3.0
(%)
5.0
RBNZインフレ目標レンジ
(1~3%)
CPI
RBNZ見通し(15/12時点)
CPI貿易財
CPI非貿易財
NZ消費者物価指数、部門別ファクターモデル(前年比)
(四半期:2005/3~2015/12)
RBNZインフレ目標レンジ
(1~3%)
CPIファクターモデル
CPIファクターモデル貿易財
CPIファクターモデル非貿易財
4.5
4.0
3.5
3.0
2.0
2.5
1.0
2.0
0.0
1.5
▲1.0
1.0
▲2.0
0.5
▲3.0
0.0
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
(注) CPIは2015/12まで
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
15
16
17
18
05
(年)
06
07
08
09
10
11
出所:NZ準備銀行のデータよりみずほ証券作成
12
13
14
15
16
(年)
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NZド ルは 物価指標
に関心が 集まる 展
開、追加緩和観測が
強まれば売り圧力も
NZドルの対米ドル相場は、昨年9月以降は全般に持ち直し傾向の動きになり、
昨年12月の金融政策理事会で当面の利下げ打ち止めを示唆したこともあり、
12月末時点では一時0.68ドル台後半まで値を伸ばす動きとなっていた。
しかし、年明け以降は中国人民元や中国株の急落を受けて金融市場全般にリ
スク回避姿勢が強まったことや、原油価格が一段と下落する動きになったこ
と等から、再び売りが優勢の展開となっている。ニュージーランドは原油の
輸入国であり、原油安は交易条件の改善につながる材料であるが、市場では
資源国通貨としてひとくくりにされる傾向があるために、原油安は売り材料
として捉えられる場合が多くなっている。
今後のNZドル相場については、中国リスクや原油価格等の外部要因に左右さ
れやすい場面が続くと予想されるが、RBNZがインフレ率の上昇が遅れるリス
クや追加緩和の可能性を指摘したこともあり、国内物価動向への注目度が高
まる可能性があろう。
ニュージーランド経済は前述の声明にもあるように、高水準の純移民流入が
続いていることや、それにともなう住宅市場の堅調さ等を背景に、良好な環
境を維持している。このため、RBNZは基調的に今後景気は回復に向かうと見
ている。こうした環境の中で、需給が徐々に引き締まることでインフレ率は
目標レンジの中間水準に戻っていくというのがRBNZの基本的なシナリオだ
が、足元のCPIの結果を受けてその確度は若干弱まった可能性があろう。今回
の声明ではその点が今後の追加緩和の可能性示唆という形で表れており、よ
り慎重さを増す要素となっている。
ただ、RBNZはコアインフレ率については引き続き目標に一致しているとして
いることから、インフレ率の基調は底堅いとみている可能性があり、すぐに
利下げが必要な状況とは見ていないものと思われる。
NZドルのIMM通貨先物市場での通貨先物ポジションは昨年末にかけて一時買
い越し幅が拡大したが、その後はポジション調整が進み、足元ではニュート
ラルゾーンにある。ポジションが過度に傾いていないことを考慮すれば、当
面相場の大きな振れは想定しづらい。ただ、今後の物価関連指標を確認する
中で追加緩和観測が強まる状況となれば、徐々に売り圧力が強まる可能性が
あろう。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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(枚)
40,000
30,000
NZドルとIMM投機筋のポジション
(週次:2013/1/4~2016/1/28)
NZドル
買い越し
↑
(1NZドル=ドル)
0.90
0.85
20,000
0.80
10,000
0.75
0
▲10,000
↓
NZドル
売り越し
0.70
▲20,000
▲30,000
13/1
0.65
IMM投機筋NZドルポジション(左目盛)
NZドル米ドル(右目盛)
13/7
14/1
14/7
15/1
(注) IMMポジションは当該週の火曜日の数値、1/19時点まで
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
0.60
15/7
16/1
(年/月)
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金融商品取引法に係る重要事項
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ります。
 なお、債券の利金・償還金の支払いについて、発行者の信用状況等によっては、支払いの
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ふまえて当社が決定した為替レートによるものとします。また、売却時等の為替相場の状況
によっては為替差損が生じ、損失を被るおそれがあります。
 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や
目論見書またはお客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160129-10
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