2015/ FXウィークリー 1/26 投資情報部 FX ストラテジスト 由井 謙二 欧州の次は米国の金融政策に注目 (先週のレビュー) ECBをはじめ、各国 で金融緩和が相次ぐ 1/22(木)、欧州中央銀行(ECB)は国債買い入れを含む大規模な量的緩和策の 導入を決定。資産購入額は月当たり600億ユーロ(約8兆円)。期間は2015年3月か ら少なくとも2016年9月まで(総額は1.14兆ユーロ)。16年9月以降も、ECBのインフレ 目標(前年比2%未満だが2%に近い)達成が見通せるまで追加緩和を続ける方針を 示した。①買入総額が最低でも1兆ユーロ超と、ECBの資産規模拡大のめどとされ る3兆ユーロを十分クリアできる規模であったこと、②インフレ目標達成が見通せるま で緩和策を続ける方針を示し、デフレ脱却に強い意志を示したこと、等を受けて、為 替市場ではユーロが全面安で反応。ユーロ円は約1年4ヵ月ぶりの130円台に下落 し、ユーロドルは2003年9月以来の安値となる1.1115ドルまで下落した。 一方、1/21(水)の日銀金融政策決定会合において市場の一部で観測が浮上し ていた付利の撤廃等は行われず、黒田総裁会見でも付利に関する議論はまったく 無かったことが伝わったことで失望的な円の買い戻しを誘い、ドル円は一時117.18 円まで下落。しかしその後、ECBの量的緩和策の導入を受けて世界的に株式相場 が堅調に推移する中、118円台後半に反発した。もっとも、25日(日)にギリシャ総選 挙を控えて徐々に戻り売りが優勢となり、117円台後半で週の取引を終えた。 先週は、各国の金融政策の変更が相次いだ。トルコ中銀はインフレ率の低下を理 由に利下げを実施。また、カナダ中銀は0.25%の利下げを実施し、豪ドル等、他の 資源国通貨にも売りが波及した。一方、ブラジル中銀は政策金利を0.50%引き上げ 12.25%とした。政府の増税策によるインフレ圧力の拡大に備えた動きとみられる。 主要通貨の対ドルレート騰落率 (2015/1/16→2015/1/23) ブラジルレアル 円 1.63 ド ル 高 ド ル 安 ↑ ↓ 南アランド 主要通貨の対円レート騰落率 ( 2015/1/16→2015/1/23) ▲ 0.22 1.50 南アランド 0.22 米ドル ▲ 0.68 メキシコペソ 1.86 ブラジルレアル 1.27 ▲ 0.46 メキシコペソ トルコリラ ▲ 1.02 トルコリラ ▲ 0.80 英ポンド ▲ 1.06 英ポンド ▲ 0.84 スイスフラン ユーロ ▲ 3.78 NZドル ▲ 4.36 (%) ユーロ ▲ 3.51 豪ドル ▲ 2.22 スイスフラン カナダドル 豪ドル NZドル 0.00 ▲ 5.00 ▲ 4.00 ▲ 3.00 ▲ 2.00 ▲ 1.00 1.00 2.00 (%) ▲ 2.92 ▲ 3.30 円 安 ▲ 4.15 ▲ 5.00 ▲ 4.00 ▲ 3.00 ▲ 2.00 ▲ 1.00 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 円 高 ▲ 3.57 ↑ ↓ カナダドル ▲ 2.43 ▲ 3.14 0.00 1.00 2.00 3.00 2015/1/26 FXウィークリー (今週の見通し) 欧州の 次は 米国の 金融政策に注目 日欧の金融政策決定会合を終え、今週は1/27~28に開催される米連邦公開市 場委員会(FOMC)において、米国の金融政策の行方に関心が集まる。また、ギリ シャ新政権によるIMF等との金融支援や債務交渉の行方も注目されよう。 今回のFOMCはイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が行われないた め、声明文の内容が焦点となる。声明文のポイントは、①FRBの物価見通し、②金 融政策の先行きを示す文言である「相当な期間」が削除されるかどうかだろう。①の 点に関し、前回12月の声明文では「雇用情勢がさらに改善し、エネルギー価格の低 下等による一時的な影響が消えていくとともに、物価上昇率も次第に2%に向かって 上昇していく」と評価している。ただ1月に入って、ドル高や商品価格の低下が一段 と進んでおり、FRBの物価判断に修正がみられるか注目される。②の点に関し、金 融政策の先行きを示す文言は前回「ゼロ金利政策は相当な期間維持する」から「利 上げまで辛抱強く待つことができる」に修正された。一方で、その後に続く文章中に 「相当な期間」という文言を残すことで、利上げに対する慎重な姿勢を示した。今会 合では、FRBの金融政策の自由度を高めるためにこの「相当な期間」という文言は 声明文から外す可能性が高いとみられる。仮にインフレ率見通しが据え置かれ、 「相当な期間」の文言が外れた場合は、市場ではFRBが利上げに向けて一歩前進 したとの見方が広がる可能性がある。その際は各国中銀が緩和姿勢を鮮明化する 中でドルの相対的な優位性が高まることが予想される。 1/25に投開票が行われたギリシャ総選挙では、野党の「急進左派連合(SYRIZA)」 が単独過半数である151議席に迫る149議席(開票率99%)を確保する見通しとなっ た。また、緊縮に反対する「独立ギリシャ人」との連立政権協議が固まったとも報じら れており、ギリシャで反緊縮財政路線の新政権が発足する運びとなった。SYRIZAの ツィプラス党首は選挙後に「パートナーとの破壊的な衝突は回避する」と述べてお り、ユーロ離脱を志向してはいない。しかし、トロイカ(IMF、EU、ECB)との金融支援 の期限を2月末に控え、交渉の行方次第ではリスク回避的な動きが強まる場面が出 てくる可能性があり、注意したい。その他、1/26(月)にドイツ1月IFO景況感指数、 1/28(水)に豪10-12月期消費者物価指数、1/29(木)に NZ、南アフリカ、メキシコ で金融政策決定会合、1/30(金)に本邦12月消費者物価(CPI)、ユーロ圏1月CPI、 米10-12月期実質GDP速報値の発表が予定されている。 2013/12/31=100 110 主要通貨の対ドルレート推移(2013/12/31=100の指数、日次) 106 102 98 94 90 86 ドル安 ↑ ↓ ドル高 円 トルコリラ メキシコペソ 82 78 13/12/31 14/3/25 ユーロ 豪ドル 南アランド 14/6/17 (注)2013/12/31~2015/1/23まで 英ポンド NZドル ブラジルレアル 14/9/9 14/12/2 (年/月/日) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2015/1/26 FXウィークリー IMM通貨先物ポジション動向(2015年1月20日時点) ≪主なポジション動向≫ ○円のネットショートは2週間ぶりに縮小 ○ユーロのネットショートは5週連続で拡大し、2012/6/12以来の水準となった ○豪ドルのネットショートは2週間ぶりに拡大 ○スイスフランのネットショートはスイス中銀によるフランの対ユーロ上限撤廃を背景に大幅に縮小した IMM通貨先物 非商業(投機筋)のポジション(週次:2011/1/4~2015/1/20) 円(JPY) (兆円) 1.0 JPY LONG (1973/3=100) 95 600 USD LONG 500 0.5 米ドル(USD) (億ドル) (1ドル=円) 75 85 400 90 300 0.0 95 200 85 100 ▲ 0.5 105 0 ▲ 1.0 115 ▲ 200 JPY SHORT ▲ 1.5 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 ドル合成ポジション(金額、左目盛) ドル指数(右目盛) 135 12/1 USD SHORT ▲ 400 ドル円為替レート(右逆目盛) 11/7 75 ▲ 300 125 ネットポジション(金額、左目盛) ▲ 2.0 11/1 80 ▲ 100 ▲ 500 11/1 15/1 70 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 (年/月) ユーロ(EUR) (億ユーロ) 200 EUR LONG 150 (年/月) 豪ドル(AUD) (億豪ドル) (1ユーロ=ドル) 1.55 ネットポジション(金額、左目盛) ユーロドル為替レート(右目盛) (1豪ドル=ドル) 150 1.10 1.50 100 AUD LONG 1.45 50 15/1 1.05 100 1.40 1.00 0 50 1.35 ▲ 50 0.95 1.30 ▲ 100 0 1.25 ▲ 150 0.90 1.20 ▲ 200 EUR SHORT ▲ 50 AUD SHORT 1.15 ▲ 250 0.85 ネットポジション(金額、左目盛) ▲ 300 11/1 1.10 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 ▲ 100 11/1 15/1 豪ドル米ドル為替レート(右目盛) 11/7 12/1 12/7 13/1 0.80 13/7 14/1 (年/月) 14/7 15/1 (年/月) (注)枚数を契約金額により、当該通貨に換算。ドル指数は主要通貨に対するドルの価値を示し、米インターコンチネンタル取引所(ICE)にてリアルタイムで算出される。 米ドルはユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、円の差し引きから算出 出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 2015/1/20現在のポジション(ドルベース) 対前週比 (億ドル) (億ドル) 25 600 LONG 500 20 LONG 15 400 300 10 200 5 100 0 0 ▲5 ▲ 100 ▲ 10 ▲ 200 SHORT ▲ 15 SHORT ▲ 300 ▲ 20 ユーロ 英ポンド 豪ドル NZドル スイスフラン カナダドル メキシコペソ 円 米ドル ユーロ 英ポンド 豪ドル NZドル スイスフラン カナダドル メキシコペソ 円 米ドル (注)米ドルはユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン、カナダドル、メキシコペソ、円の差し引きから算出 出所:米商品先物取引委員会(CFTC)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2015/1/26 FXウィークリー ドル円 一目均衡表 (日次:2014/4/17~2015/1/23) (1ドル=円) 122 (1ドル=円) 122 120 120 118 118 116 116 114 114 112 112 110 110 108 108 106 106 104 104 102 102 100 100 2014/05 転換線 2014/07 基準線 2014/09 先行スパン1 2014/11 2015/01 先行スパン2 2015/02 遅行スパン (年/月) 出所:各種資料よりみずほ証券作成 ユーロドル 一目均衡表 (日次:2014/4/17~2015/1/23) (1ユーロ=ドル) (1ユーロ=ドル) 1.39 1.39 1.35 1.35 1.31 1.31 1.27 1.27 1.23 1.23 1.19 1.19 1.15 1.15 1.11 1.11 2014/05 転換線 2014/07 基準線 2014/09 先行スパン1 2014/11 先行スパン2 2015/01 2015/02 遅行スパン (年/月) 出所:各種資料よりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4 2015/1/26 FXウィークリー 金融商品取引法に係る重要事項 当社取り扱いの商品等(外貨建商品等も含む)にご投資いただく際には、各商品等に所定 の手数料(投資信託の場合は銘柄ごとに設定された販売手数料および信託報酬等の諸費 用等)をご負担いただきます。債券を当社との相対取引によりご購入いただく場合は、購入 対価のみをお支払いいただきます。 各商品等には価格の変動や発行者の信用状況等の悪化等により損失を生じるおそれがあ ります。 なお、債券の利金・償還金の支払いについて、発行者の信用状況等によっては、支払いの 遅滞・不履行が生じるおそれがあります。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向を ふまえて当社が決定した為替レートによるものとします。また、売却時等の為替相場の状況 によっては為替差損が生じ、損失を被るおそれがあります。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や 目論見書またはお客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-150126-18 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 5
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