線形代数学 II 中間試験 コメント 線形代数学 II 担当:小関祥康 採点が

線形代数学 II 中間試験 コメント 1
線形代数学 II 担当:小関 祥康
採点が終わったので,コメントを書きます.ちなみに,読んでも読まなくても皆
様の今後の数学生活にはほとんど影響しないと思います.問題全体を通して見てみ
ると,昨年度の問題に比べて計算量を減らした代わりにちょっと変わった問題が増
えた形でした.平均点は 20.5 点です.だいたい想定通りだったのですが,
「どこで点
数を稼ぐか」というところがちょっと想定とは違いました.問 1 が思ったよりでき
ておらず,代わりに最後の問題が想定以上にできていた感じです.25 点以上とった
人が全体の 15 %弱くらいで,最高点は 30 点満点が 3 人…素晴らしいです.
以下,設問ごとのコメントを書きます.正答率はあくまでも主観であり,データ
をきちんと計算したわけではありません.
○ 問 1 について:全部「偽」です.正しいことなんて何一つありません.ウソばっ
かり書いてます.この問題,全問正解が驚くほど少なかったのが残念です…10 人い
たかどうか.
正答率は 60 %くらいだと思います.
○ 問 2 について:表現行列計算しましょう…そういう問題です.(1) は多くの方が
正解でしたが (2) が….
正答率は (1) 80 %,(2) 40 %くらいです.
○ 問 3 について:一次独立な最大個数を計算するというテンプレ問題です.…特に
何も書くことがないです.あ,良くできてました.
正答率は 90 %くらいでしょうか.
○ 問 4 について:1 足す 1 は何ですかと聞かれて素直に 2 と答えていいのは高校
生までです.大学生になると足し算の定義とはなんぞやというところまで考えられ
るようにならねばなりません(?).(1) で 1 足す 1 は 2 と答えた人が若干名いま
したが,定義をよく見て答えましょう.ちょっと変わったベクトル空間を計算しま
しょうという問題なのでした.
補足:一応このベクトル空間の定義の背景を説明しておくと,x ∈ R+ に対して
log x ∈ R を対応させる写像 R+ → R を考えると,これは線形写像でありかつ全単
射になります(逆写像は x → ex ).このように与えられた二つのベクトル空間(今
回の場合は R+ と R)の間に全単射な線形写像が存在するとき,二つのベクトル空
間は 同型 であるといい,ベクトル空間として本質的に同じものだと考えることがで
きます.この観点からみると,R のゼロベクトル 0 に対応するものは e0 = 1 だか
らこれが R+ のゼロベクトルになる…などといったことが自然に分かります.もち
ろんこんなこと考えなくても問題は解けますけど.
正答率は 50 %くらいです.
○ 問 5 について:行列で定義される線形写像の像と核を計算するという基本的な問
題です.書くことが特にないくらいよくできてました.
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試験の解答ではありません.
正答率は 90 %くらいです.
○ 問 6 について:この問題が今回の試験を作る際に一番苦労しました.
まず (1) について.なんといいますか「全部足すとゼロなので一次従属」と書け
ば正解です.問題のヒントが「全部足すと…」となっており,もうこれほとんど答
えではとも思ったのですが (2) がちょっと難しいからまあいっかとか思って出しまし
た.でも間違っている人がそれなりにいました (。′ · ω·)。
次に (2) について.ちょっと難しいかなと思っていたのですが,想像以上に多くの
方がチャレンジしてくれており,とてもうれしい結果でした.正解は 12 月 26 日で,
それを解答用紙に書けている人自体は多かったのですがそこに至る過程が間違って
いる人が多かったので(例:一次従属の定義がおかしい),丸を付けられる解答者
はそこまで多くはなかったです.多くの正解者はいろいろな計算の結果「stuv = 24
より 12 月 26 日」としておりそれで正しいのですが,
「stuv = 24 より 12 月 34 日」と
している方が複数名いました(※一人ではない).僕の知る限り,そんな日は,存
在しません.
正答率は (1) 80 % (2) 30 % でした.
以上です.