配布資料 - 東京電機大学

線形代数学Ⅱ
2016 年度後期
工学部・未来科学部 1 年
EJ・EH・ES 科 (木曜 2 限 / 2703 教室)
EK・EF 科 (金曜 1 限 / 2804 教室)
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
1 講義内容
(シラバスより抜粋)
線形代数学Ⅱは線形代数学Ⅰの続編であり、3つのテーマ
(
1)行列式(2)数ベクトル空間(3)固有値と固有ベクトル について学ぶ。前期にくらべ、対象がやや抽象的になるが、幾何学的なイメージをもちながら学習す
ることが大切である。
予備知識として、前期に学んだ「線形代数学Ⅰ」の内容を前提とする。
2 講義の進め方
基本的にシラバス (UNIPA 参照) に沿って講義を行います。また (週 1 コマの講義なのであまり
時間は取れませんが) 適宜問題演習を実施します。
前期の講義では、幾何的なイメージを大切にして 平面ベクトル、空間ベクトル (2 次元, 3 次元の
ベクトル) 及びその上に作用する 線形変換 とその行列表示を学んできました。後期ではより一般の
数ベクトル空間 (n 次元のベクトル空間) Rn を扱っていくことになります。つまり、後期の講義では
最早「図示」すら出来ない抽象的な世界を旅してゆくことになりますが、前期の講義で培った「図形
的なイメージ」を大切にして、常に具体例を頭に思い浮かべながら学習していくことが肝要です。
3 評価について
基本的に学期末の 学力考査の成績 のみ に基づいて 評価を行います。
- 出席点は基本的に 一切 考慮しません。
講義に出席する際には、カードタッチをすることが一応推奨されていますが、タッチのし忘れ
や認証ミスがあったとしてもあまり神経質になる必要はありません。
- 講義時間中に十分な演習時間が取れない場合や、自宅学習用の課題として 任意提出式のレポー
ト問題 を出題する場合があります。また、講義内容の確認を兼ねて、数回に 1 回程度の割合
で講義の終盤に提出式のプリント (確認問題) を解いてもらうことを予定しています。こちら
も基本的に成績評価には反映させないので提出は任意ですが、レポート問題や確認問題の内容
も 学力考査の出題範囲に含めます。
なお、万が一学力考査での成績が単位取得可否ラインぎりぎりであった場合には、出席状況及びレ
ポート提出状況を 加味する可能性もあります(そのような事態に陥らないように頑張りましょう)。
本科目の学期末考査は特定科目考査日 (2017 年 1 月 28 日 / 30 日) に実施されます
4 教科書及び参考書
教科書: 新井啓介他共著『ベクトルと行列 —基礎からはじめる線形代数』 (培風館)
但し、講義自体は特に教科書に沿って行うとは限りませんし、教科書に載っていない事項を扱う場
合もあります (特に行列式の定義の辺りは、教科書の説明とは大分異なる部分があります)。また、現
在販売されているものは、誤植が訂正された 第 2 刷 です。中古品等で第 1 刷を入手した方はご注
意を (第 1 刷の誤植の訂正は、東京電機大学数学系列ウェブページ内『ベクトルと行列 サポートペー
ジ』を参照して下さい)。
参考書: 線形代数学の参考書は実に様々なものが出版されていますので、色々と見比べて自分に合っ
たものを探してみて下さい。自分に合った参考書を使うのが一番です (無理に購入する必要も
ありません)。
- 三宅敏恒著『入門線形代数』 培風館
- 三宅敏恒著『線形代数学 —初歩からジョルダン標準形へ』 培風館
簡潔かつ過不足無い説明ですっきりと線形代数を解説している本。そのため薄くてコンパクト
ですが、説明が簡潔過ぎてイメージが湧きにくい箇所もあるかもしれません。後者は前者の増
補版で、ジョルダン標準形等より発展的な内容も扱っています。
- 中村郁著 『線形代数学』 数学書房
線形代数の理論的な部分を丁寧に解説しているばかりでなく、身近な問題を対象とした確率論
や物理学への応用の話題も豊富な本。数ある線形代数の教科書の中でもかなり独特な本だと思
います。少し難しい箇所もあるけれど、頑張って読み進めたい一冊。
- 佐武一郎著 『線型代数学』 裳華房
「線形代数学の教科書を一冊挙げよ」と言われたら、多くの人がこの一冊を挙げるであろう古
典的名著。とにかくこの一冊をしっかり勉強して使いこなせるようになれば、大学数学で必要
とされる分には困らないでしょう (本学のカリキュラムでは扱われない内容も含まれています
が)。レイアウトやフォントが若干古くて読みづらいのが難点であったが、最近新装版が出て
ぐっと読み易くなりました。じっくり堪能したい一冊。上級者・意欲のある人向け。
- 長谷川浩司著 『線型代数』 日本評論社
こちらも線形代数学についてかなり網羅的に書かれた本で、「しっかり書かれている」と定評
のある本。本学の『線形代数学Ⅰ』と同様に、2×2 行列や平面ベクトルの線形変換を導入とし
ている分、取っ掛かり易いのではないかと思います。佐武さんの本とはまた異なる話題も取り
扱っていますので、見比べてみるのも一興。ぶ厚いけれど、その分中身も充実しているので、
じっくり読み進めたい一冊。上級者・意欲のある人向け。
- 斎藤毅著『線形代数の世界 —抽象数学の入口』 東京大学出版会
「行列は線形変換である」という立場を極限まで突き詰めた本。そのため非常に抽象的で、よ
ほど抽象論に慣れ親しんでいないとこの本で独習するのは困難。ただ、このようなスタイルで
書かれた本はほぼ皆無なので、より理論的な数学、物理学に触れる際には重宝します。かなり
の上級者向け (余程の自信がない限り、下手に手を出さない方が無難です)。
5 問題演習 / 確認問題について
問題演習の時間は基本的に (周囲の迷惑にならない範囲で) 何をしていただいても構いません。教
科書、参考書を見ながら解き進めても構いませんし、友達と相談しながら解くのも良い勉強になると
思います (その際は周囲に配慮してあまり大声にならないように気を付けましょう)。勿論私に質問
してもらっても構いません。テストではありませんので、気軽に問題に取り組んで下さい。問題演習
の時間を有意義に使えるかどうかは皆さんに委ねられています。
また、講義内容の確認も兼ねて、講義の終盤に何度か 提出式のプリント (確認問題) を実施する
ことを予定しています。こちらも、特に成績評価等とは関係しませんので、友達と相談したり、ノー
ト、教科書等を見ながら解いていただいて構いません。提出については各自の判断に任せますが、確
認問題のプリントは添削してお返しするつもりですので、なるべく積極的に提出されることをお薦め
します。
講義中に何度か課すレポート問題についても、提出は 任意 とします。成績評価には関係しませ
んが、矢張り添削してお返ししますので、テスト対策の意味も兼ねて積極的に提出することをお薦め
します。
6 受講に関する注意
- 必ず 指定された教員のクラス を受講して下さい (UNIPA で発表されたもの。特に、今年度
は 『線形代数学Ⅰ』と担当教員が変わっている場合も多い ので注意すること)。
- 必ず UNIPA 上で 指定期間内に 履修登録して下さい (履修登録しなかった場合、学期末の学
力考査を受験出来ません)。 なお、本科目は特定科目考査日での学力考査実施科目です。
-「板書が速くて追いつかない」との意見がしばしば出ますので、板書の記録用にデジタルカメ
ラ、写メ等を用いることは許可しています。但し シャッター音を切るなど、周囲の受講者の
迷惑にならないよう十分に配慮すること。また、老婆心ながら忠告しておくと、写メを撮りっ
ぱなしにしたまま、後程自分でノートに纏めるなどしなければほぼ 100% 記憶から抜け落ち
ます。IT 社会の現今、「文明の利器」は大いに利用していただくに越したことはないですが、
それを使いこなせるかどうかは自分次第 であることを肝に命じましょう。
- 学期末試験終了後、試験の講評を UNIPA およびウェブページ上に掲載する予定です。また、
希望者には学期末試験の答案を返却します (詳細は後日追って連絡します)。
- わざわざ銘記するまでもないですが、他の受講者の迷惑となる行為(私語、携帯電話、徘徊
etc……)は厳に慎んでください。大学生ともなれば社会的には立派な「大人」です。周囲の利
益にも配慮しつつ、自らの行動には自ら責任を取れる様に心掛けましょう。
- 線形代数学では特に細かい添字が大量に現れますので、添字が小さいなどの理由で板書が見え
づらい場合や、説明が分かりにくかったところは遠慮なく質問して下さい。他の受講者にとっ
ても有益なことですので、どんどん発言しましょう。
7 質問の受付、講義情報
Web: http://www.cck.dendai.ac.jp/math/~t-hara/Lectures/2016/linear algebra2.html
※ UNIPA のシラバスにリンクを貼っていますが UNIPA のページではありません (!)
メールアドレス: [email protected]
オフィスアワー: 毎週 火曜日 16:30 – 17:30, 4 号館 40903A 室にて
Web ページには講義メモ及び配布物のファイルをおいておきます。
質問は講義前後及びオフィスアワーにて受け付けます。上記オフィスアワーでは都合が悪い方は、
私の都合がつくときであれば対応しますのでメールでアポイントメントをとって下さい (メールでの
質問も歓迎します)。また、数学系列の他の先生のオフィスアワーを利用されても構いません。
メールを出す際は、タイトルに用件を銘記した上で、学科、学籍番号、名前等の送信者の情報が分
かるようにして出す様にして下さい。相手が分からないメールには返信しません。また、単位につい
ての嘆願等 (「単位下さい」「試験日間違えたんでどうにかして!!」etc...) には 一切応じません。