線形代数学Ⅰ 学期末考査採点講評

線形代数学Ⅰ 学期末考査採点講評
2015 年度前期
工学部・未来科学部 1 年
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
先ずは半年間お疲れ様でした。週 1 コマの 必修講義 で、
『微分積分学Ⅰ』とは異なり再試験制度が
無いため、落とすと地味にヤバいこの科目*1 、採点する側もどきどきものでしたが、平均点が 70 点
を大きく超える非常に良い結果となり内心驚きを隠せません。そんなに簡単な問題にしたつもりはな
かったのですが……。来年度はもっと難しくした方が良いんですかねぇ (笑)。
『線形代数学Ⅰ』で学ぶ内容で最も大事な概念が (科目名にもなっている) 線形性 linearity であり、
特に 線形変換の概念と行列との対応 はこの講義の華形なので、重点的に出題するようにしています
が、それにしても今年度は線形変換の問題に出題が偏り過ぎてしまいましたね。反省しております。
ただ
かかわ
唯、線形変換は本講義で扱う話題の中でも苦手意識を持つ人が多い箇所であるにも 拘 らず、その部分
からの出題が多めであった今回の試験でこれほど良い成績となったのは、非常に頼もしい限りです。
後期の『線形代数学Ⅱ』では 数ベクトル空間 や 線形独立性 といったより抽象的な概念を扱うこと
やは
となり、講義の内容も難しくなっていきます。しかし、その根底に横たわるのは矢張り 線形性 の
そこ
かしこ
はちめん ろっぴ
概念であり、『線形代数学Ⅰ』以上に其処彼処で八面六臂の大活躍を演じます。クラス編成の都合上、
今回私のクラスで受講された方の大半が、後期からは別の先生のクラスに移ることになりますが、後
期の講義でも 線形性 の概念を常に意識しながら講義を受講されると理解が深まるのではないかと
思います。それでは、月並ですが後期の『線形代数学Ⅱ』の講義も頑張ってください!!
■基本データ [標準クラス (木曜 2 限)]
受験者数:
平均点:
45 名 (1 名欠席)
77.58 点
得点分布:
(100 点満点)
S: 10 名
A: 14 名
標準偏差:
B: 8 名
14.33
C: 10 名
最高点:
100 点 (1 名)
D (不合格): 3 名
0–9
10–19
20–29
30–39
40–49
50–59
60–69
70–79
80–89
90–100
人数
0
0
0
1
1
1
10
8
14
10
割合 (%)
0
0
0
2.2
2.2
2.2
22.2
17.8
31.1
22.2
[再履修クラス (金曜 1 限)]
受験者数:
平均点:
106 名 (10 名欠席)
73.92 点
得点分布:
(100 点満点)
S: 18 名
A: 34 名
標準偏差:
B: 22 名
17.83
C: 15 名
最高点:
100 点 (2 名)
D (不合格): 17 名
0–9
10–19
20–29
30–39
40–49
50–59
60–69
70–79
80–89
90–100
人数
0
2
0
5
3
7
15
22
34
18
割合 (%)
0
1.9
0
4.7
2.8
6.6
14.2
20.8
32.1
17.0
*1
再履修クラスの方は既にその辛酸を舐めてきたと思いますが……。
[総計]
受験者数:
平均点:
151 名 (11 名欠席)
75.01 点
得点分布:
(100 点満点)
S: 28 名
A: 48 名
標準偏差:
B: 30 名
16.95
C: 25 名
最高点:
100 点 (3 名)
D (不合格): 20 名
0–9
10–19
20–29
30–39
40–49
50–59
60–69
70–79
80–89
90–100
人数
0
2
0
6
4
8
25
30
48
28
割合 (%)
0
1.3
0
4.0
2.6
5.3
16.6
19.9
31.8
18.5
■各設問についての講評*2
〇 第 1 問について: 平面ベクトル、空間ベクトルの諸概念についての設問。特に大学で初めて
学んだ 2 次、3 次行列式とその図形的意味、空間ベクトルの外積 については、早い段階で確実に身に
付けたいところ。この設問は是非満点が取れるようになるまで復習しましょう。23 点満点で平均点
は標準クラスが 21.36 点、再履修クラスが 19.58 点、全体で 20.11 点でした。満点は標準クラス 22
名、再履修クラス 39 名の計 61 名。大変良く出来ていて嬉しい限りです。
Ⅰ. は平面ベクトルの張る平行四辺形の面積に関する問題。勿論講義で扱った平行四辺形の面積
公式 S =
√
|u|2 |v|2 − (u · v)2 を用いても構いませんが、平面ベクトルの場合は 行列式 det(u v)
を計算した方が圧倒的に計算が楽な場合が多いです。しかも、行列式を計算すると 行列式の符号に
よって u と v の位置関係まで分かってしまう (!) という特典までついてきます。平面ベクトルの場
合は図を描けば位置関係が簡単に分かってしまいますが、Ⅱ. のような空間ベクトルの場合には図を
描いて位置関係を調べることはかなり難しいですし、ましてや後期の『線形代数学Ⅱ』で学ぶ より一
もはや
般の数ベクトル空間 (つまり 4 次元 空間や 5 次元 空間など) においては 最早 図を描くことすら出
来ません (!) そういった状況を考えると、行列式の符号を調べる だけ でベクトルの位置関係が分
うかが
かってしまうことが、非常に強力な事実であることが 窺 い知れるでしょう。また、行列式がベクト
ある
ルの位置関係の情報も含んだ 符号付き面積 (或いは 符号付き体積 ) であるという感覚を養ってお
くと、後期の『線形代数学Ⅱ』でより一般の行列式の概念を学ぶ際の理解の助けともなると思います。
Ⅱ. は空間ベクトルの外積を中心とした基本概念をきちんと理解しているかを尋ねる設問。基本的
には良く出来ていましたが、いまだに 内積なのに答えがベクトル になっていたり、外積なのに答え
がスカラー になっていたりする答案が少なからず見られたのは残念でした。本設問では本当に、本
当に 基本的な概念のみしか問われておりませんので、こういった基本的概念の定義がしっかり身に
ついていないようでは、本講義の単位を取得するのは極めて難しいかと思います。得点が低かった人
は、よく反省してしっかり復習しておくように。
〇 第 2 問について: 直線および平面の (ベクトル) 方程式を求める問題。講義でも強調したよう
に ベクトル方程式を立式するために必要なデータをどのようにして導き出すか が腕の見せ処です。
かなり出来不出来が両極端に分かれました。10 点満点で平均点は標準クラスが 7.98 点、再履修クラ
スが 6.73 点、全体で 7.10 点でした。満点は標準クラス 24 名、再履修クラス 37 名の計 61 名。
*2
東京電機大学数学系列内の取り決めにより、学期末考査の共通問題および解答は公表しないこととなっておりますので、
該当する設問については詳しい解説を意図的に避けております。予めご了承下さい。
講義で解説したように、直線および平面の (ベクトル) 方程式は
babababababababababababababababababab
直線の場合:
方向ベクトル と通る点の座標
平面の場合:
法線ベクトル と通る点の座標
(または 平面上の平行でない 2 ベクトル と通る点の座標)
のデータが与えられたときに立式出来るのでした。その中でも 通る点の座標 についてはほぼ確実に
問題文中に直接書かれていますので、残ったデータである 方向ベクトル や 法線ベクトル さえ求
められれば、問題文で問われている直線や平面の (ベクトル) 方程式を求められることになります。
むし
やす
そう言った意味では、直線や平面の (ベクトル) 方程式を求める問題は寧ろ比較的解き易い問題であ
るとさえ言えますが、それでは何故この手の問題が「難しい」という印象を持たれているのかと言え
ひとえ
ば、それは 偏 に 方向ベクトルや法線ベクトルのデータが 巧妙に隠されており、直接与えられていな
い場合が圧倒的に多い からに他なりません。したがって、解答者には 問題文で与えられたデータを
整理・駆使して方向ベクトル、法線ベクトルを正しく導き出す 能力が要求されるわけです。
直線や平面の (ベクトル) 方程式を求める問題では、
「最初に 方向ベクトル や 法線ベクトル を
求めよう!」という目的意識をはっきりと持つことが肝心です。その上で、問題文で与えられたデータ
まと
ほとん
おの
を 図に纏めて視覚的に分かり易く整理する ようにすれば、やるべきことは 殆 どの場合自ずから明ら
はず
まと
かになる筈です。実際、本問の (1), (2) も、問題文のデータを図に纏めてみると、意外と簡単に方向
ベクトルや法線ベクトルが分かるようになっています。本問が正しく解けなかった人は、「方向ベク
トル・法線ベクトルを求める」という目的意識を明確にした上で、再度チャレンジしてみて下さい!
なら
なお、
「直線の方程式」と表現した場合には 座標 x, y, z のみの間の方程式 を表す倣わしとなって
いますので、(1) の直線の方程式の問題で ベクトル方程式やパラメータ表示の形 で解答している答
案は、残念ながら減点対象となっています。
〇 第 3 問について:
行列の基本事項についての計算問題。この設問は単なる計算問題なので、
確実に得点しておきたい問題です。12 点満点で、平均点は標準クラスが 10.53 点、再履修クラスが
10.21 点、全体で 10.30 点でした。満点は標準クラス 28 名、再履修クラス 66 名の計 94 名。データ
からも分かるように、非常に出来の良い問題でした。
(1) は 2 次正方行列の逆行列の計算問題。逆行列の公式を用いても、講義の終盤で紹介した行基本
変形を用いた方法で求めても構いません。圧倒的に前者の逆行列の公式を用いた答案が多かったで
いく
す。出来は非常によかったですが、公式を求める際に行列式で割り忘れている解答が幾つか見られま
した。逆行列の公式は今後も良く出て来ますので、きちんと覚えましょう。
(2) の 3 次行列式の計算問題も、最初に導入した スカラー三重積 としての 3 次行列式の定義に基
づいて計算する方法と、サラスの公式 を用いて計算する方法の 2 通りの解答が考えられます。サラ
スの公式を用いている人が若干多かったでしょうか? (2) も出来は良かったですが、サラスの公式を
用いる際に 符号のミス をしている答案が散見されました。また、何故か行基本変形をして行標準形
に直して階数を答えている答案もありました。問題文の読み違えでしょうか?
なお、逆行列の公式や行列式の計算については、後期の『線形代数学Ⅱ』の前半で、一般の n 次正
方行列に対して拡張されます ので、楽しみにしていて下さいね!
〇 第 4 問について: 平面ベクトルの線形変換についての設問。線形変換と行列の対応はこの講
義のメインの話題でもあり、表面的な計算が出来るだけではなく、その原理も含めて十分に理解して
あ
いて欲しい単元であるため、敢えて比重を重くして出題しました。30 点満点で平均点は標準クラス
が 21.71 点、再履修クラスが 21.79 点、全体で 21.77 点でした。満点は標準クラス 10 名、再履修ク
ラス 22 名の計 32 名。
本問は「線形変換の概念をきちんと理解しているか」と「線形変換と行列の対応を正しく理解
しているか」を測る問題です。どちらとも講義の際にかなり強調して説明した箇所ですが、行列
(
)
A=
a
b
c
d
で表される線形変換 fA を
(( ))
(
)
(
) a b
x
fA
= x y
,
c d
y
(( )) ( ) (
)
x
x
a b
fA
=
y
c d
y
などと書いている答案が少なからず見られました。後者にいたっては 行列の積が定義されてすらい
ません! 標準クラスの人は、高校で行列を習っていないこともありますので、行列の積が定義出来
みが
るかどうかについての感覚がまだ十分に磨かれていなかったのかもしれませんが (もう少し演習やレ
ポートで訓練を積んでいただいた方が良かったかもしれませんね)、再履修クラスの人でもこのよう
なミスを犯していた人が一定数いたのは残念でした。線形写像と行列の対応 は、「線形性」が大活躍
する 本講義の華形 と言っても良い単元です。まだ消化しきれていない人は、講義ノートなどを基
にしてしっかりと復習しておいてください。最初は慣れない概念に苦労するかもしれませんが、こ
あかつき
の山場を乗り切った 暁 には、後期以降の『線形代数学』を一層楽しく学習することが出来るように
はず
なっている筈です。
以下、各小問についての講評に移りましょう。Ⅰ. は点の回転の問題で、要は 回転行列って知って
ますか という問題。「知ってます」と言ってサクッと解いてしまいましょう。比較的出来は良かった
ある
ですが、回転行列を正しく覚えていないもの (特に 符号のミス)、先述の様に行列の積のルール (或
いは線形変換の行列表示) を正しく覚えていないために計算結果がおかしくなっているものが誤答と
して目立ちました。
Ⅱ. は線形変換の行列表示を求める問題。(1) は 2 つの (平行でない) ベクトルが、線形変換によっ
て移る行き先が分かっているときに、線形変換の行列表示を求める典型問題でした。これは色々な
解法が考えられます。講義中でも演習を行ったためか、想定よりも正答率が良くて嬉しい限りです。
(2) は線形変換の合成の行列表示を求める問題。要はそれぞれの線形変換の行列表示の積を求めれば
良いだけですが、行列の世界では 積が可換ではない ため、積を 正しい順番 で計算出来るかが問わ
むし
れています (寧ろ積の順番だけを見ている問題と言っても良いでしょう)。案の定積の順番を逆にし
ている誤答が目立ちました。また、「y 軸に関する対称移動」を表す行列を正しく求められていない
いく
答案も幾つかありました。講義でも強調したように、このような図形的操作を表す線形変換では、ベ
( )
( )
クトル
1
0
と
0
1
の行き先を丁寧に調べれば、行列表示を求めることは決して難しくありません。
間違えた人はもう一度良く確認しましょう。
Ⅲ. は線形変換を用いて三角関数の加法定理を証明する問題。証明問題を苦手とする人は多いかも
しれませんが、問題文にかなりヒントが書いてあるので、皆さんがやらなければいけないことと言え
ば、回転行列 Afα と Afβ の積を計算して、回転行列 Afα+β と比較すること位です。この証明を眺
めてみると、「加法定理があんなに複雑な形になってしまったのは 行列の積の計算ルールが複雑だか
とら
らだ!」と捉えることも出来て、なかなか面白いのではないかと思います*3 。昨年度の過去問で倍角の
おおざっぱ
定理の証明問題を出題していたためか、こちらも意外と白紙答案は少なかったです。ただ、大雑把な
流れは理解しているように思われるものの、証明としての書き方がきちんとしていないものが多数見
られました。「誰が読んでも明快な証明を書く」能力を磨くことも数学を学習する目標のひとつです
ので、議論に不備のある解答は残念ながら減点対象としています。
〇 第 5 問について: 行基本変形 (またはガウスの消去法) を用いて連立一次方程式を解く問題。
結局今年度は、行基本変形の問題はこの問題だけになってしまいましたね。きちんと非ピボット変
数をパラメータでおくことが出来たかどうかが勝負の分かれ目。10 点満点で平均点は標準クラスが
7.84 点、再履修クラスが 7.94 点、全体で 7.91 点でした。満点は標準クラス 24 名、再履修クラス 38
名の計 62 名。
やは
きちんと解けていた人も多かったですが、矢張り行基本変形の計算を途中で間違えているものが少
なくなかったです。行基本変形に関する問題については、とにかく「計算ミスに気をつけろ!!」
「解き
なお
終わったら検算を忘れずに!!」位しかアドバイスのしようがありません。尚、拡大係数行列の行標準
形は正しく求められているのに そこから解を求める段階で怪しげなことをしている 答案も少なから
ず散見されました。行基本変形を用いた連立一次方程式の解法は、後期の『線形代数学Ⅱ』で嫌にな
る位頻出します!! したがって、本問で満点を取れなかった人は よ∼∼く 復習しておいてください
(特にパラメータのおき方について)。
〇 第 6 問について: 線形変換により図形の面積がどのように変化するかを考察する問題。応用
的な設問ですが、誘導付きであったためか、こちらの想定よりも良く出来ていました。15 点満点で
平均点は標準クラスが 8.16 点、再履修クラスが 7.66 点、全体で 7.81 点でした。満点は標準クラス 5
名、再履修クラス 13 名の計 18 名。お見事です。
(1) はサービス問題 & (2) のためのヒント。これが解けていない人は結構マズいですよ! サクッと
3 点ゲットしちゃってください。さて、(1) で正方形の 2 つの頂点の行き先を計算したので、(2) で
は残りの 2 頂点の行き先を計算すれば、正方形の行き先は想像がついたのではないかと思ったのです
が……。そもそもプロットする点の座標を間違えていたり (例えば点 (5, 7) と (7, 5) を取り違える類
のミス)、4 頂点の行き先は正しくプロット出来ているのに、斜線部が怪しげな部分に引かれていたり
する答案が意外と多く見られました。ちなみに (2) のような問題は講義では扱っていませんが (すみ
ません)、テキストには詳しく解説されていますので、間違えた人は是非テキストを参照してみて下
さい。本問に関しては、取り敢えずここまで解ければ及第点、といったところです。(1), (2) の合計
点が 8 点で、第 6 問の平均点もその前後ですので、大半の方が及第点に到達してくれたようでほっと
しております。
(3) は一見すると難しそうな問題ですが、要は問題文の変数変換をしたら 5x2 + 6xy + 2y 2 = 4 が
X 2 + Y 2 = 4 に書き直されることを確認すれば良いだけの単純な問題です。問題の意味がきちんと理
なお
解出来ていれば楽勝の問題でした。尚、
「X 2 +Y 2 = 4 に X, Y の式を代入すると 5x2 +6xy+2y 2 = 4
*3
ちなみに、複素平面を用いて加法定理を証明することも出来ます。興味がある人は挑戦してみて下さい。
になる」という書き方の答案が非常に多く見られましたが、これは (3) の解答としては厳密には正し
くありません (実際「円 X 2 + Y 2 = 4 を変数変換したら曲線 5x2 + 6xy + y 2 = 4 になった」という
説明になるので、問題文とは因果関係が真逆になってしまいます)。ただ、今回はその辺りの証明と
つむ
かい
しての不備には目を瞑って、とにかく変数変換を介して X 2 + Y 2 = 4 と 5x2 + 6xy + 2y 2 = 4 が関
連していることを説明している答案には 4 点満点をつけています。「5x2 + 6xy + 2y 2 = 4 に対して
x, y を X, Y の式で表わしたものを代入すると X 2 + Y 2 = 4 になる」という形で、完璧な論証をし
てあった答案は、両クラス合わせて 10 枚あったかどうかでした。
y
Y
fA (e2 )
D fA (e1 )
e2
O D0
e1
x
fA
−−−−−−−→
X
O
X2 + Y 2 = 4
C
(4) が本問のメインディッシュとも言える問題です。(2) を見ると、線形変換 fA は直観的には上
図のように「xy 平面を左上と右下からぐにゃっと押し潰して XY -平面上に重ねた」ような変換と
なっていることが見てとれます。そのとき、xy 平面の 1 辺の長さが 1 の正方形の格子 D0 は、それ
ぞれ XY 平面のそれぞれが D と合同な平行四辺形の格子に移っており、その際に面積は (2) の結果
を参照すると |det A| = 1 倍になっています。このことから、xy 平面内の閉曲線で囲まれた図形を線
形変換 fA で移すと、面積は 1 倍になる (変わらない) ことが観察されます。あとは、X 2 + Y 2 = 4
で囲まれる部分の面積が、半径 2 の円の面積 4π に他ならないことから、C で囲まれた部分の面積
も同様に 4π となることが分かります。(4) は、線形変換によって図形がどのように変形されるかを
熟知していなければ解けない問題であり、今回の学力考査の問題の中ではかなりの難問であったと思
いますが、ヒントを頼りにして想像以上に多くの方が 4π という解答に正しく辿り着いていました。
みは
その考察力にはただただ目を瞠るばかりです。
先の話になりますが、後期の『微分積分学および演習Ⅱ』で 重積分の変数変換 を扱う際に、(4) で
行ったものと同様の考察を行うことになります。したがって、本問を最後まで解き切れなかった人
も、後期の講義に備えてもう一度本問を解き直してみると、非常に良い予習になるかと思います。
最後に、上図を見れば察せられるように、曲線 C : 5x2 + 6xy + 2y 2 = 4 は実は (傾いた) 楕円
となります。楕円の面積は長径 a と短径 b が分かれば面積公式 abπ によって求めることが出来ます
が、C は傾いた楕円であるために長径と短径を求めるのはそれほど簡単ではありません*4 。しかし、
線形変換 を用いると、傾いた楕円を 適当な線形変換で円に (無理矢理) 変形してしまう ことによっ
*4
√
√
√
√
14 + 6 5, 短径は
14 − 6 5 となっており、面積がちゃんと
√
14 − 6 5π = 4π となることが確認出来ます。
実際に計算してみると、この楕円の長径は
√
√
√
14 + 6 5 ·
て面積を計算する、という本問で登場したような離れ業で面積を求めることも可能となります。この
ことからも、線形変換を自由に使いこなせるようになれば 非常に強力な武器となる ことが容易に想
像出来るでしょう。線形代数学は実に様々な可能性を秘めた学問なのです。
なお
尚、本問で扱った内容をより詳細に研究すると 二次形式 quadratic form の理論に到達します。二
次形式の理論については、2 年次の自由科目『線形代数学Ⅲ』で扱われますので、興味のある方は是
非履修を検討してみて下さい!
■授業評価アンケートの自由回答欄について
授業評価アンケートの結果は UNIPA から閲覧することが出来ますが、自由回答欄に書いていた
だいたご意見については公表されませんので、ここでコメントさせていただきます (基本的に原文マ
マ。明らかな誤字のみ修正してあります)。
〇 良かった点:
[標準クラス (木曜 2 限)]
− 分かりやすかったと思います。
− 先生の説明のしかたがうまかったので、内容も理解しやすかった。
− とてもていねいに分かりやすく説明してくださり、理解しやすかったと思います。
− 説明に図を多く使い説明に多くの時間を使ってくれたので理解しやすかった。
− 授業が丁寧だった。
− 丁寧な解説
講義内での説明について好印象の意見を多数いただき、非常に嬉しく思っております。講義で解説
する際には、学生の皆さんに伝わるように説明するよう試行錯誤を繰り返していますが、説明をして
いる時点では巧く伝わっているのかどうか判断が難しい場合も多く、不安に感じることも多々あるん
です。こう見えても。ですから「説明が分かりやすかった」というご意見は大変励みになります!
− 分かりやすく板書してくれているので助かっています
− 板書が見やすい
− 黒板がみやすかった
− 板書と説明がていねいでわかりやすかったです
− 板書の文字が見やすい
− 黒板が見やすかったです。
板書についても好印象の意見を多数いただくことが出来ました。特に『線形代数学Ⅰ』では、前半
は図形が大量に登場し、後半では大きなサイズの行列をたくさん書くことになるため、少しでも気を
す
おさ
緩めると板書が直ぐに乱れてしまいそうになるんです。やってみると分かりますが。そこを抑えてな
るべく丁寧に、見易く板書するよう心掛けたつもりでしたが、その甲斐があったようで良かったで
す。今後もより一層見易く、分かり易い板書を目指して精進いたします。
− 授業中に簡単な演習問題をはさんでくれたおかげで、すぐに確認できてよかった。
− 説明 → 演習の流れが丁寧だった。
かかわ
ありがとうございます! 『線形代数学Ⅰ』の講義は、週 1 コマにも 拘 らずこなさなければならな
くりょ
い内容が多いので、講義時間内に問題演習を実施するのには常に苦慮しているのですが、要所々々で
針の隙間を縫うように挿入した問題演習を有効活用して下さった方がいらっしゃっただけでも嬉しい
です。私自身は、「改善点」のところでも触れるように、もう少し問題演習の時間をたっぷり取り入
れられたら、と思ってはいるのですが……。なので、問題演習については反省点でもあります。
− レポート問題に対して、コメントがされていて丁寧であった。
− レポートも復習のいい機会となり添削していただいたので助かりました。
レポートに関してのご意見もいただきました。先にも述べた通り、『線形代数学Ⅰ』では特に問題
演習の時間が取りづらいので、何とか講義の時間外にも線形代数学に触れる時間を作って貰いたいと
思ってレポート問題を 4 回実施しましたが、最終週に休講が挟まったことなどから、特に演習問題 3,
4 の間の出題間隔が非常に短くなってしまったりと、少しどたばたしてしまいました。すみません。
そのせいもあってか、初回はある程度集まったレポートも、最後の方では提出率が激減してしまいま
した。勿論レポートの提出義務は課していませんので、提出するもしないも皆さんの自由はあります
が、レポートの出題の仕方が多少まずかったことも提出率の低下につながってしまった一因と思いま
すので、次年度以降はレポートの出題時期等も再検討したいと考えています。レポートの提出率が少
ないと、添削数も少なくて私自身は楽なのですが (笑)、決して良い傾向ではありませんものね。
まぁレポートの出題方法に反省点があるのは事実ですが、添削付きのレポートは自分の思わぬ勘違
いやミスを犯し易いポイントに気付ける絶好の機会ですので、機会があれば面倒臭がらずに積極的に
すす
提出されることをお薦めします。回答して下さった方は、レポートをご自身の学習に巧く活用してい
ただけたようで何よりでした。
− 直観的な解釈を説明してくれるのはありがたいです。
− 概念の根元からの説明で覚えることがメインでなくてよかった。
これは本当に嬉しいご意見です! ありがとうございます!! 『線形代数学Ⅰ』は、空間ベクトルの外
積に始まって、2 次・3 次行列式、行列の積など、講義の開始時から覚えるべき公式が目白押しな科目
とかく
やみくも
ですので、兎角「公式を覚える」ことに重点が置かれがちになってしまいます。しかし、闇雲に公式
を覚えるだけでは、機械的に問題を解けるようになっても (つまり「テストで良い点は取れるように
なっても」) 結局「『線形代数学』とは何だったのか?」ということになりかねませんし、何より 覚え
すで
ることがメインの学習なんて面白くない ので私は個人的には好きではありません。既に何度か述べ
だいごみ
ていますが、『線形代数学』という学問の醍醐味は、 線形性 という非常に単純極まりない性質から
本当に様々な驚くべき事実が導かれるところにあり、そのすべては 線形性 というキーワードで密
接に繋がっています。その辺りを少しでも実感していただきたくて、例えばベクトルの内積や外積の
単元でも (多重) 線形性の概念を強調して、テキストとは異なる形で成分表示の計算公式を導出した
ただ
りと、色々と小細工を重ねてきました。唯、 線形性 を中心に据えて講義を構成すると、通常の『線
かえ
形代数学』の講義構成 (それこそテキストに書かれたストーリーに沿った構成) と比べて却って難し
むし
やす
くなってしまう点も多々出て来ます*5 。その点ではテキストの流れに沿った学習の方が寧ろ分かり易
く思われる人もいらっしゃるかもしれません。どのような学習スタイルが適しているかは個々人によ
りますので、テキスト通りに講義をして欲しかった人もいらっしゃったかもしれませんが、「概念の
根元からの説明の方が良い」と意見して下さる方が多少なりともいらっしゃる以上、私としては基本
的に現在の講義スタイルを貫き通していきたいと考えています。
− 休憩がある (腰痛なので)
− 途中休憩があったので集中が続いた。
− 休けいあってよかったです。
− 休けいがある点。
やは
矢張り高校での 50 分授業から大学での 90 分講義への急激な移行は学生の皆さんには大変らしく、
集中力を持続するのに苦労していそうな人がちらほら見受けられたため、講義の後半 (行基本変形辺
り) から講義の途中で 5 分程度休憩を入れるようにしました。『微分積分学および演習Ⅰ』の講義では
適宜問題演習の時間が取れるので、そこで気持ちの切り替えをしたり、ひと息入れたりすることが出
来るのですが、
『線形代数学Ⅰ』の講義ではそういった時間が取りづらく、扱っている内容も抽象的な
ものが多いため、こちらの想定以上に思考能力の疲れが貯まっているのではないかと考えたことも休
憩を入れることにした理由のひとつです。が、アンケートにこれだけ書かれるほど好評だとは思いま
せんでした。今回のアンケート結果も踏まえて、来年度以降も休憩の導入を検討したいと思います。
− 簡単すぎず、難しすぎず非常にいい授業だった。
いやぁ、そう言ってくれると講義をする側もやる気が湧きますねぇ。アンケートの集計結果からも
うかが
窺 えるように、正直なところ少し難しめな内容 (というか、若干高度な思考能力が必要となる内容)
を扱っているとは思いますが、あまり簡単なことばかりを講義で扱ってもわざわざ授業料を支払って
講義を受けに来て下さる皆さんに申し訳ない気もしますし、どの辺りに照準を合わせるかについては
くりょ
はげ
苦慮しています。ですから、このようなご意見は大変励みになります!
− 過去問が配られた点。
これを「良かった点」として挙げられるのは複雑な気持ちですが……(^^; まぁ私個人としては、
過去と (数値も含めて) 全く同じ問題を出題するつもりはありませんし、試験で取り上げた問題はど
れもきちんと解けるようになって貰いたい問題ばかりですので、過去問をしっかり勉強することでそ
*5
例えば 参考資料 1,2 のように、ベクトルの内積や外積の分配法則を図形的に証明しなければならなくなってしまった
り、とか。
れらの問題もしっかり解けるようになるのであればそれは非常に良いことであると考えています。ま
た、過去問を入手出来た人と出来なかった人との間で成績の差がつくのも非常に理不尽な話ではあり
ませんか! と言うわけで、今後も過去問の配布等は行ってゆくつもりですが、『微分積分学および演
習』と『線形代数学』の試験に関しては、共通問題を含む関係で全体への公開は差し控えることが東
京電機大学数学系列内で取り決められておりますので、過去問のウェブページ上での公開は当面予定
していません。その点だけは予めご了承下さい。
− 静かで分かりやすかった。
うるさ
このクラスでは、(一度全体に注意した記憶はありますが) それ程私語等について五月蝿く注意した
覚えはありませんので、静かであったのは皆さんの相互努力によるものだと思います。私も講義しや
すかったです。こちらこそご協力ありがとうございました。
ただ
唯、もうちょっとリアクションくらいはしてくれても良いんですよ? こっちが滑り倒してるみたい
になるんで (別に講義内でボケ倒しているわけではありませんけど)。
− なし
あ、はい……。今後少しでも「良かった」と思って下さるような講義が出来るように努力します
です。
[再履修クラス (金曜 1 限)]
− 演習が毎時間あり、前年度わからなかった部分の理解ができた。
− 演習問題が多いため、自分の不得手な分野がわかる。
− 演習することで自分のできる所とできない所が分かってよかった。
− 演習の時間がたくさんあって多くの問題に取り組むことができたこと。
再履修クラスを担当するのは今年度が初めてでしたので (まぁまだ赴任 2 年目なんですが)、正直
なところ講義をどうするか大分迷ったのですが、「わざわざ再履修者クラスがあるのだから、通常の
講義と同じことをしても仕方がない」と思って、思いきって問題演習中心の講義を展開してみまし
た。先にも触れた通り、『線形代数学Ⅰ』では講義内での問題演習の時間がなかなか取れず、そのこ
とも「分かったつもりでいてもテストの得点が伸びない」原因となっているかと考えたからです。各
回テーマを決めて、最初に復習を 30 分位行って、1 時間程度は演習の時間が取れるようにしました
いかが
が、如何だったでしょうか? (ちょっと予備校っぽかったかもしれません) 講義を受講された人から
このようなご意見をいただけたのは大変嬉しいですが、出席人数が目に見えて減っていったのは極め
て残念でした。まだまだ改善の余地がありそうですね。
− 講義で教えられてその場で演習を解いてなあなあでわかった気にならない。
− 来なければ解答がわからないこと。わかった気になるより良い。
そうなんですよ、講義を聞いているだけだとどうしても「ふぅ∼ん、そんなもんか」となあなあで
わかった気になってしまって、いざテストを受けてみると意外と出来なかった、ということがかなり
の確率で起こるんですよ! なので実際に問題を解いてみて、自分が分かっていない点を明らかにする
ただ
作業は非常に重要なわけです。唯、最初のうちは問題を解いてみても「結局『何が分かっていなくて
間違えたのか』が分からなかった」ということもあり得るんですよね。この講義で、皆さんの問題演
習のお手伝いが出来たのであれば嬉しい限りです。解答を配布しなかったのも「解答を手にしたとき
の無意味な安心感」を排除するための措置でした (まぁ作るのが面倒臭い、という理由がなかったと
いえば嘘になるけど)。その意図を汲んでくれた方がいらっしゃったのは大変嬉しいですが、大半の
方は後程触れるようにやはり解答を作成して欲しかったようですね。
− 用語説明が短く明瞭で良かった。
− 問題の説明が詳しい。
きぐ
ありがとうございます! 正直説明が簡潔過ぎるのではないかとの危惧もないではなかったのです
まと
が、問題演習の時間を作るためにとにかく説明はコンパクトに纏めてしまいました。「短くて明瞭」
ほ
むし
とは過分な褒め言葉な気もしますが、大変ありがたいです。寧ろ「どうやったら問題が実際に解ける
ようになるか」の部分に重点を置きたかったので、「問題の説明が詳しい」というご意見は「我が意
を射たり」といった感じです。
− 再履習者 (編注: 再履「修」が正しいようですね、私もしょっちゅう間違えますが) のこ
とを気づかった授業構成がうれしかったです。
先にも触れた通り、再履修クラスの担当は初めてでしたので、右も左も分からない状況での講義
だったのですが、皆さんの学習の手助けになったでしょうか? 「再履修クラスをわざわざ受講され
はんすう
る人が何を求めているのか」という問は、講義の度に常に反芻していたのですが、未だに明瞭な答え
ただ
に辿りついたとは思っておりません。唯、このようなご意見をいただけたことは、私がしてきたこと
はげ
が完全には間違っていなかったことを表しているようで、本当に励みになります。ありがとうござい
ました!
〇 改善した方が良い点、改善のための提案など:
[標準クラス (木曜 2 限)]
− もう少し演習をふやしてもいい感じです。
− 演習の時間を増やして欲しい。
− 練習問題を増やしてほしい。
− もっと授業内に演習の時間が欲しい。
「良かった点」でも触れたように、これは『線形代数学Ⅰ』の講義の永遠のテーマでしょうね……。
私もがんがん演習問題をやりたいのは山々ですが、何せ時間が足りない!! あぁ、『線形代数学Ⅰ』の
講義も週 2 コマあれば……!! (皆さんは願い下げでしょうが)
あわ
とは言え、最後の講義がレポートのコメントのみで 30 分位で終わってしまったことなどを考え併
せると、もう少し時間配分を工夫すれば演習時間を増やせたかもしれません。また、他の講義で実施
した「講義の最後に復習問題を 1 題解いて提出して貰う」という形式も好評でしたので、採用しても
良いかもしれません。
何にせよ、講義時間内の問題演習については、私の中でも永遠のテーマですので、今後も色々
しこうさくご
試行錯誤をして改善していきたいと考えています。
− 章と章との関連性が分かりづらい
これはシラバスのことでしょうか、それとも私の講義の内容とテキストの内容の対応が分かりづら
いということでしょうか?
前者の意味でしたら、申し訳ありませんがある程度仕方がない側面もあります。一応テキストの第
1 章で (高校の復習も兼ねて) ベクトルの話をして、第 2 章で「ベクトルにベクトルを対応させる規
則」としての線形写像や行列の概念を導入して、という流れはあるのですが、確かに第 3 章の「連立
一次方程式と行基本変形」は唐突に登場してきた印象が強いかもしれません。これは、第 3 章の内容
むし
が寧ろ 後期の『線形代数学Ⅱ』の内容を扱うための 準備 としての側面が強いことも影響しているか
と思います。後期の『線形代数学Ⅱ』では、第 3 章の内容ががんがん登場して、それまでに学んだこ
つな
とがすべて繋がってゆくことになると思いますので、楽しみにしていてください!
後者の意味でしたら完全に私の落ち度です。すみません。特にテキストと異なる説明をしている箇
なおさら
所もあるので尚更でしょうね。もう少しテキストの内容との対応を明確にする工夫を考えます。
− 重要な部分の強調がやや弱かったと思う。
線形性 とか無茶苦茶強調したつもりだったんですが、「まだまだ足りぬ」ということですよね?
申し訳ございません。精進させていただきます。
− 当てないでほしい。
この講義ではあまり指名をした記憶がないのですが……。まぁ初回とかで 1,2 度指名したかもしれ
ただ
かげひなた
ません。唯、回答者の方は陰日向に生きていかれたいのかもしれませんが、社会に出ると急に自分の
意見を話すことを求められることはしばしばありますよ? 別に大学の講義中に発言した内容なんて誰
おそ
も注目してないですから (失礼?!)、失敗を懼れず社会に出たときの練習だと思って積極的に発言して
下されば幸いです。
− 特にありません
− 特になし。
− 特になし
− とくになし。良い。
− なし
改善点が「特にない」とわざわざ書いて下さったものが数枚ありました。取り敢えず現状の講義の
進め方で満足してくださっているということと判断し、大変嬉しく思っております。現状に満足せ
ず、より良い講義を展開出来るよう邁進していきたいと考えておりますので、宜しくお願い致します!
[再履修クラス (金曜 1 限)]
− 解答がほしかった。
− 問題プリントの答えのプリントなどがあった方がよかったです。
− わかりやすい説明でしたが答えを演習行なった 2 週間後でもいいので配ってもらうとあ
りがたいです*6 。
講義の初回に説明したように、この講義では「解答を手に入れた際の無意味な安心感」を排除する
あ
ために、敢えて解答を作成しませんでした。それに解答を配布すると、かならず「解答だけ貰って帰
る」人が出て来ますものね。別にそれを使って自分で勉強してくれるのであれば何も問題ないです
が、大体「解答だけ貰って帰る」勢の大半は「解答を手に入れた際の無意味な安心感」で結局勉強し
かえ
ない、というパターンが多いと思われますので、却って皆さんの勉強意欲を損なうことになってしま
うと思います。
ただ
唯、実際に講義をしてみると、じっくり計算しているために講義時間中に問題が解き終わらない方
なども散見されました。また、皆さんが奥ゆかしい性格のためか、「講義を休んだ回の問題も解いて
かか
ほとん
きたらチェックする」と言っていたにも拘わらず、実際にチェックを受けに来た人は 殆 どいません
でした。間違いを指摘されるのが嫌なのでしょうか? 別にテスト本番でもないのでどんどん間違っ
て貰って構わないのに……。
そういった現状を加味すると、答えのみの略解 を演習後しばらくしてからウェブ上等で公開する
程度のことはしても良いかもしれません。結局「解答は出席して問題を解いてチェックして貰わない
と分からない」と周知したところで、半数以上の人が出席しなくなりましたしね……。検討させてい
ただきたいと思います。
*6
「良かった点」欄の回答でしたが、内容を考えてこちらに掲載しました。
− 基本問題を増やして欲しい。
毎回最後にはちょっとした応用問題を付けておきましたが、残りの問題はテキストにも掲載されて
いるレベルの基本∼標準レベル問題ですよ?! まぁ確かに計算が若干複雑なものは混ざっていたかも
てら
しれませんが、特に奇を衒った解法を用いずに純粋に解ける問題ばかりです。似たような問題でもっ
と易しい問題を解きたいというのであれば、テキストに解説付きの例題が多数掲載されていますの
で、そちらも利用しながら、最終的には演習問題のプリント程度の問題は解けるような実力を身に付
けていって下さい!!!