⑤セロトニン

1.セロトニン神経系における神経とその機能
1A.中枢神経系における神経とその機能
1A-1.吻部縫線核(背側縫線核)—大脳皮質系
(精神機能(不安・恐怖など))
⑤セロトニン
1A-2.尾部縫線核—脊髄系
(痛覚・運動機能調節(下行性抑制経路など))
-目標セロトニン神経の生体内での役割を説明できる
セロトニンの神経終末時における挙動について
(生合成、代謝など)説明できる
セロトニン受容体の特徴について説明できる
セロトニン神経系に作用する薬物とその作用機序との関連を
述べることができる
1
1.セトロニン神経系における神経とその機能
2
1.セトロニン神経系における神経とその機能
1B.末梢臓器における局在とその機能
1B-1.(平滑筋)(血管 腸管 気管支など)
(平滑筋収縮)作用
1B-2.(血小板)
(凝血)作用
1B-3.(腸管神経叢)
(腸運動促進)作用
縫線核
3
4
2A.セロトニンの生合成経路
5-ヒドロキシトリプトファン
トリプトファン
1.セロトニン神経系における神経とその機能
体内セロトニン分布
血小板
約8%
中枢神経系
2%
COOH
COOH
CH2CHNH2
CH2CHNH2
HO
トリプトファン
水酸化酵素
N
H
N
H
芳香族L‐アミノ酸脱炭酸酵素
消化管粘膜
約90%
(腸クロム親和性細胞)
HO
CH2CH2NH2
セロトニン
N
H
(5-ヒドロキシトリプタミン)
5
2A.セロトニンの生合成経路(おまけ)
HO
セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン、
アドレナリンの総称
モノアミン
CH2CH2NH2
ノルアドレナリン
N
H
HO
CH
セロトニン
(5-ヒドロキシトリプタミン)
CH3O
メラトニン
CH2
OH
HO
アミン
CH2CH2NHCOCH3
セロトニン
N
H
NH2
HO
CH2CH2NH2
N
H
2.シナプス部分における神経伝達物質の挙動
2B.
2.シナプス部分における神経伝達物質の挙動
シナプス小胞への取り込み
2E.
・VMAT1、 VMAT2によるシナプス小胞へ取り込まれる
・(レセルピン)で阻害される
2C.
再取り込み
serotonin transporter (SERT)による
放出
エキソサイトーシスによる放出
三環系・四環系抗うつ薬(一部)、
SSRI・SNRI
2D.セロトニンの代謝
CH2CH2NH2
HO
N
H
代謝酵素
A型モノアミン酸化酵素(MAOA)
5-HT1
5-HT1B/1D
10
4.受容体の機能と役割
3.セロトニン受容体
5-HT1A
9
中枢神経
Gi
5-HT2
Gq
5-HT3
イオンチャネル
内蔵
(陽イオン)
5-HT4
Gs
中枢神経
脳血管
中枢神経
平滑筋
血小板
化学受容器引き金体
(CTZ)
胃腸管
腸管神経叢
4A. 5-HT1A受容体
・(Gi)タンパク質と共役し、K+電流を増加→過分極
・セロトニン作動性神経上に存在し、神経活動を(抑制)
・セロトニンの過剰により引き起こされる疾患のターゲット
(後述)
4B. 5-HT1B/D受容体
・(Gi)タンパク質と共役し、K+電流を増加→過分極
・脳血管の動脈—静脈吻合部の血管収縮を引き起こす
→作動薬は(血管拡張性の片頭痛 )に有効(後述)
4.受容体の機能と役割
4.受容体の機能と役割
4C. 5-HT2受容体
・(Gq)タンパク質と共役し、ホスファチジル
イノシトール (PI) 代謝回転が促進される(PLC活性化)
・K+電流を減少させる(脱分極を引き起こす)
4D. 5-HT3受容体
・(イオンチャネル内蔵型
(陽イオン))受容体
・化学受容器引き金帯(CTZ)および胃腸管に存在している
刺激によって嘔吐を引き起こす
→ 拮抗薬:(制吐薬)
・セロトニンが関与する中枢疾患治療薬のターゲット
(拮抗薬は統合失調症治療薬(SDA))
・
血小板・胃腸管に存在 血小板凝集や平滑筋収縮にも関与
→ 拮抗薬:(血小板凝集阻害薬)
4.受容体の機能と役割
4E. 5-HT4受容体
・(Gs)タンパク質と共役 →
5.セロトニン神経系に影響を与える薬物の臨床適用
脱分極
・腸神経に存在 アセチルコリンの遊離を(促進)
→ 作動薬:消化管運動(促進薬)
5A. 中枢神経系疾患
・うつ病(再取り込み阻害薬、5-HT2A/Cアンタゴニスト)
・不安(5-HT1A受容体アゴニスト;〔 タンドスピロン 〕)
5.セロトニン神経系に影響を与える薬物の臨床適用
5.セロトニン神経系に影響を与える薬物の臨床適用
5A. 中枢神経系疾患
・うつ病(再取り込み阻害薬、5-HT2A/Cアンタゴニスト)
5B. 末梢神経系疾患
・消化管運動低下に対する消化管運動促進薬
モサプリド
(5-HT4受容体アゴニスト;〔
〕)
・統合失調症の陰性症状
(5-HT2A/C受容体アンタゴニスト;
〔 リスペリドン〕〔ペロスピロン〕 〔ブロナンセリン〕 )
ペロスピロン
リスペリドン
5.セロトニン神経系に影響を与える薬物の臨床適用
5.セロトニン神経系に影響を与える薬物の臨床適用
5B. 末梢神経系疾患
・嘔吐に対する制吐薬
(5-HT3受容体アンタゴニスト(中枢にも作用)
〔オンダンセトロン グラニセトロン パロノセトロン 〕
5B. 末梢神経系疾患
・血小板凝集に対する抗血小板凝集薬
(5-HT2アンタゴニスト;〔 サルポグレラート
〕)
5.セロトニン神経系に影響を与える薬物の臨床適用
5B. 末梢神経系疾患
・頭痛(片頭痛)改善薬
(5-HT1B/Dアゴニスト〔 トリプタン系
薬物
小話
シプロヘプタジン
〕)
スマトリプタン
ゾルミトリプタン
ナラトリプタン
抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬:第1世代)
抗コリン作用もある
・抗セロトニン作用
セロトニン過剰によるセロトニン症候群に対して
用いられる場合もある
頭痛や嘔吐、錯乱などを起こす
スマトリプタン
薬物
小話
ロルカセリン
セロトニン5-HT2C受容体刺激薬
→
満腹感を増長させ食欲を抑制させる
肥満治療薬(2012
米国承認)
BMIが30以上、あるいは少なくとも1つ以上
の合併症を患うBMIが27以上の成人患者の体重
管理を目的とした食事療法と運動療法に対する
補助療法
BMIが30以上、あるいは少なくとも1つ以上
BMI
の合併症を患うBMIが27以上の成人患者の体重
18.5管理を目的とした食事療法と運動療法に対する
25
30
35
40
低体重
補助療法
正
肥満
常
肥満
(1度) (2度)
肥満
(3度)
肥満
(4度)
(日本肥満学会基準)