この論文は、「Arterial Stiffness」WEBサイトに掲載されています。その他の論文はこちら Click "Arterial Stiffness" web site for more articles. 英文原著論文紹介(2) 非侵襲的動脈硬化検査法の相互関連 上腕動脈血流依存性血管拡張反応・頸動脈内膜−中膜肥厚・脈波伝播速度について Kobayashi K, Akishita M, Yu W, Hashimoto M, Ohni M, Toba K. Interrelationship between non-invasive measurements of atherosclerosis: flow-mediated dilation of brachial artery, carotid intima-media thickness and pulse wave velocity. Atherosclerosis 2004; 173: 13-8. 永井久美子 杏林大学医学部高齢医学 背景・目的 方法・対象 非侵襲的動脈硬化検査法には、血流依存性血管 当科入院および外来受診症例を対象とした (表1)。 拡張反応(flow-mediated dilation;FMD) 、脈波伝播 FMDは超音波にて右上腕動脈径を安静時と5分間の 速度(pulse wave velocity;PWV) 、頸動脈内膜−中膜 駆血解除後に計測し、その変化率を%FMDとした。 肥厚(intima-media tickness;IMT)などがある。今 IMTは右総頸動脈分岐部から10mm近位で計測し 回われわれは3つの検査法の相互関係および検査組 た。また、プラークの有無も評価した。PWVは み合わせの意義について検討した。 brachial-ankle PWV(baPWV)を解析に用いた。 結 果 表1 対象の背景および各動脈硬化検査値の3分位 1)単相関では年齢、IMT、FMD、PWVは相互に有意 年齢および動脈硬化検査値はmean±SDで示した。 * :hcPWV;heart-carotid PWV。 な相関を示した。また70歳未満を対象とした多変量 男性/女性 年齢(歳) 健常者 高血圧 高脂血症 糖尿病 現在喫煙者 56名/79名(n=135) 62±16歳 25例(19%) 51例(38%) 64例(47%) 35例(26%) 20例(15%) 動脈硬化性疾患 脳卒中 冠動脈疾患 閉塞性動脈硬化症 33例(24%) 21例(16%) 10例(7%) 05例(4%) 1346-8375/05/¥400/論文/JCLS 6.0±1.7 2.9±0.7 0.8±0.9 2)検査値を3分位すると、結果が下位である検査の 数は、動脈硬化性疾患の罹患率および頸動脈プラ ークの存在と有意に関係した(図1) 。 考察・結論 3つの検査法の相互関連が認められた。また複数 の検査を行うことで動脈硬化診断の精度向上が期 待できると考えられた。 図1 下位の検査項目数と動脈硬化性疾患および頸動 脈プラークの罹患率 動脈硬化性疾患には脳卒中、 冠動脈疾患、 閉塞性動脈硬化症を含む。 各群間の比較にはχ2検定とロジスティック回帰分析を用いた。 0.63±0.08 0.87±0.11 1.17±0.19 1,237±140 1,618±126 2,288±399 600±104 853±73 1,156±165 動脈硬化性疾患 頸動脈プラーク オッズ比(95%CI) 罹患率(%) 非侵襲的動脈硬化検査 FMD(%) 上位(≧4.0) 中位(≧1.9、<4.0) 下位(<1.9) IMT(mm) 上位(<0.75) 中位(≧0.75、<1.02) 下位(≧1.02) baPWV(cm/sec) 上位(<1,434) 中位(≧1,434、<1,880) 下位(≧1,880) hcPWV*(cm/sec) 上位(<740) 中位(≧740、<980) 下位(≧980) 解析では4因子すべての独立した関連が示された。 100 80 60 40 20 0 1.88(1.33∼3.13) p<0.01 0 3.37(2.00∼5.70) p<0.01 1 2 3 0 1 2 下位の検査項目数(1人あたり) 英文原著論文紹介(2) 3
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