下水汚泥の熱分解バイオオイル化技術 - 和歌山大学

環境省地球温暖化対策技術開発事業(競争的資金)
『高効率熱分解バイオオイル化技術による臨海部都市再生産業地域での
脱温暖化イニシアティブ実証事業』(2007∼2009)
研究代表者:大阪大学サスティナビリティサイエンス研究機構(RISS) 教授 盛岡 通
この事業は ・・・下水汚泥などのバイオマスから、
重油等の直接燃焼用燃料に代替可能な熱分解バイ
オオイルの高効率生成技術を開発し、都市の環境イ
ンフラとの連携により、臨海部の産業集積地域におけ
る脱温暖化を先導的に実証するものです。
バイオマスで都市の環境再生を目指しま す
バイオオイルとは ・・・バイオマスを酸素のない
還元状態で急速熱分解して得られる黒褐色、粘性の
ある液状物です。輸送用燃料として注目されているバ
イオエタノール、バイオディーゼルとは異なり、おもに
製造部門での燃料利用が期待されています。
北米では既にバイオオイルが産業で 利用されていま す
技術は ・・・バイオマスのガス化技術として実績のあ
る流動床熱分解技術を応用して、収率の高い高効率
バイオオイル化技術を開発しています。技術はすでに
実証水準にあり、今年度はラボ機での高効率オイル
生成に成功しました。
2008年度は実機を用いた本格的なバイオオイル製造を実施予定で す
オイル性状は・・・粘性、流動点はともにA重油よ
り低く常温利用が可能です。 重油よりやや重く、重油
と混ぜても比重分離するため攪拌が必要です。熱量
は重油の1/2∼1/3程度です。2007年度は、A重油との
5%混合オイルを試験用ボイラで燃焼させ、火炎及び
排ガス状況を確認しました。
2008年度には硝子工場等での利用
実証事業を予定しています
出来るだけ既存の燃焼設備を利用したバイオオイルの活用を図るには、さらに多くの
実証データを得る必要があり、試験的にオイルを使用いただける企業を求めています。
お問合わせ先
大阪大学サスティナビリティ・サイエンス研究機構(RISS)
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1
大阪大学RISS・特任教授(和歌山大学・准教授) 吉田 登
TEL 073-457-8348 FAX 073-457-8335 E-mail: [email protected]
大阪大学工学研究科 助教 山本 祐吾
TEL / FAX 06-6879-7677 E-mail: [email protected]
参考データ
■燃料としてのバイオオイル性状
<熱分解バイオオイルの性状>
バイオ
木質
軽油
重油
BDF
オイル
バイオオイル
C
40.4
86.6
84
42-47
78.2
元素 H
4.39
13.3
12
6-8
7.6
8.64
0.0065
0∼0.5
<0.1
0
分析 N
[wt%] S
1.00
0.1
3
<0.02
<0.0001
O
45.3
0.01
1
46-51
11.8
0.985
2.1
<20∼250
9.7
6.11
動粘度(50℃)[cSt]
1.03
0.82
0.85∼0.94
1.2
0.89
密度(15℃)
80以上
54
70∼150
48-55
184
引火点[℃]
-8
-28
0∼10
-15
-13∼12
流動点[℃]
高位発熱量[MJ/kg] 11.4(13.5)
45.5
42∼46.2
16-19
43.8
高位発熱量11.4MJ/kgは、消化汚泥原料(16.3MJ/kg)の場合
(13.5)の値は、乾燥生汚泥(19.4MJ/kg)の熱量比率で換算した値
木質バイオオイルの値は、Dynamotive Energy System社の公表値
BDFの値は山根他(2004)等をもとに作成
■重油とバイオオイルとの混合利用フロー
バイオオイルに含有される主な有機化合物
peak
No.
化合物名
分子式
1 Acetic acid
C2H4O2
2 Pyrrole
C4H5N
3 Pyridine
C5H5N
4 Propanoic acid
C3H6O2
5 Acetamide
分子量
CH 3COOH
H
N
CASNo.
bp
mp
ρ
(℃) (℃) (g/cc)
60 64-19-7
118
17
1.049
67 109-97-7
130
23
0.967
79 98-98-6
115
-41
0.983
C 2H5COOH
74 79-09-4
141
C2H5NO
CH 3CONH2
59 60-35-5
221
82
1.159
6 N-Methylacetamide
C3H7NO
CH 3CONHCH3
73 79-16-3
205
27
0.960
7 Isocrotonic acid
C4H6O2
CH 3CH=CHCOOH
86 503-64-0
187
72
1.020
8 N,N-Dimethyl ethylamine C4H11N
C 2H5N(CH3) 2
73 598-56-1
37
9 N,N-Dimethyl acetamide
C4H9NO
CH 3CON(CH3)2
87 127-19-5
165
C5H11NO
(CH3)2CHCH2CONH2
N
10 Butanamide
11 2-Pyrrolidone
C4H7NO
12 7-Nonenamide
C9H17NO
13
3-Piperidinone
(δ-Valerolactam)
H
N
101 541-46-8
O
85 616-45-5
CH 3CH=CH(CH2)5CONH 2
155 90949-53-4
0.990
0.675
-20
0.937
136
245
24
99 675-20-7
256
39
136 5867-45-8
327
136
186 11-53-8
261
24
171
60
1.120
O
C5H9NO
NH
NHCOCH3
14 N-3-Pyridinyl acetamide
C7H8N2O
N
15 1-Dodecanol
C12H26O
O
5-Isopropyl-2,416
imidazolidinedione
C6H10N2O2
17 1-Acetyl piperidine
C7H13NO
5,10-Diethoxy-2,3,7,818 tetrahydro 1H,6H-dipyrro C14H22N2O2
[1,2-a,1',2'-d] pyrazine
19 1-Octadecanol
CH 3(CH2) 11OH
C18H38O
NH
O
(CH3)2CH
NCOCH3
127 618-42-8
OC2H5
N
C2H5O
142 16935-34-5
NH
N
CH 3(CH2) 17OH
250
270 112-92-5
0.833