相分離法を用いた生分解性多孔質膜の開発

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相分離法を用いた生分解性多孔質膜の開発
田中 孝明
工学部機能材料工学科/教授
http://tctanaka.eng.niigata-u.ac.jp/FunctionalBiodegradablePlastics_a5.pdf
Key Words
相分離法
多孔質膜
生分解性膜
精密濾過膜
デプスフィルター
■シーズの概要
生分解性プラスチックを材料とし、相分離法を用いることを特徴とする多孔質膜の製法を開発しました。
既存の多孔質膜の多くは、非分解性の高分子から成り、生体内での遮断膜における治療後の除去や食品産業・医薬品・
化粧品産業における濾過膜等に用いた場合の使用後の廃棄が課題となっております。
開発した多孔質膜は、これらの課題を克服し、循環型産業社会の形成に貢献可能となります。
応用範囲としては、食品産業等における濾過膜や再生医療等における生体内分解・吸収が可能な医療用材料等が対
象となります。
■シーズの詳細
ポリ乳酸などの生分解性プラスチックは自然環境中やコンポス
ト(堆肥)化装置内で分解可能なため,産業廃棄物の低減に役立
つ。また、一部のバイオマス由来のバイオマスプラスチックは大
気中の二酸化炭素由来の材料であるため、循環型産業社会を形成
するための材料としても注目されている。相分離法により生分解
性プラスチックを多孔質化することで、濾過膜や医療用材料への
応用が可能となる。相分離法とは、高分子の溶液を非溶媒との接
触や温度変化により、溶液内に高分子を含まない液滴を生じさせ
て孔を形成させる多孔質膜の製造方法です。
■競合研究に対する優位性
現在,多孔質膜の多くは非分解性の高分子から作製されている
が、濾過膜として用いた場合は目詰まり後の膜の廃棄が、生体内
での遮断膜として用いた場合は治療後の除去が問題となる。生分
解性プラスチックを用いた多孔質膜はこれらの点で既存の高分子
膜と比較して極めて優位となる。
■想定される実施例、応用例
濾過膜としては、食品産業における濾過や動植物からの医薬
品・化粧品用抽出物の濾過のプレフィルターとして利用されるこ
とを想定している。デプスフィルター型の構造を有する濾過膜と
することにより、濾過中の粒子成分の目詰まりによる濾過速度の
減少を低減できる。再生医療用の細胞・組織の足場材料への応用
も可能となる。
■シーズの課題・展望
今後の展望として、非溶媒誘起相分離法・熱誘起相分離法・界
面活性剤の添加・ポリマーブレンドなど種々の多孔質膜製法との
組み合わせ及び甲殻類由来の生分解性多糖類であるキチン等、多
様な生分解性材料への適用により、分離膜・吸着剤・医療用材料
等の広い分野への応用展開を目指す。
生分解性プラスチックの例
バイオマスプラスチック
CH3 O
O
*CH
O
O
C
CH2
C
n
(b) ポリグリコール酸 (PGA)
n
(a) ポリ乳酸 (PLLA)
CH3
O
O
O CH CH2
C
O CH2CH2CH2CH2CH2 C
n
(c) ポリヒドロキシ酪酸(PHB)
n
(d) ポリカプロラクトン (PCL)
O
O
O CH2CH2CH2CH2 O C CH2CH2 C
n
(e) ポリブチレンサクシネート (PBS)
生分解
二酸化炭素
光合成
ポリ乳酸製品
農産物
副産物
加工
ポリ乳酸
CH3 O
O *CH
C
乳酸発酵
乳酸
重合
COOH
n
HO
C
H
CH3
非溶媒誘起相分離法の原理
高分子
非溶媒
<非溶媒との接触>
溶媒の抽出
相分離
<溶解>
溶液
非溶媒の拡散
溶媒
<非溶媒
の除去>
多孔質体
■関連する知的財産
《論文》T. Tanaka, et al., Formation of depth filter microfiltration membranes of poly(L-lactic acid) via phase separation, J. Membr.
Sci., 396, 101-109 (2012).
《論文》田中孝明,膜を利用した深層濾過,膜,39, 21-27 (2014)
《論文》H. Minbu, et al., Preparation of poly(L-lactic acid) microfiltration membranes by a nonsolvent-induced phase separation
method with the aid of surfactants, J. Membr. Sci., 479, 85-94 (2015).
《特許》田中孝明,デプスフィルター型精密濾過膜及びその製造方法,特許第 5286313 号 (2013)
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2015.7.16