礎材料化学演習1(竹中担当分)第5回 正解例 材料化学演習 TP1(竹中担当分)第5回 正解例 問 1 (a)二重結合を含む最も長い炭素鎖の炭素数は5個なのでペンタンが母 体名。アルケンなので、語尾が変化してペンテン。二重結合に近い 端から数えて 2 番目と3番目の間に二重結合がある。従って正解は 5 4 3 CH3 CH2 CH 2 1 CH CH3 2-ペンテン 1 CH3 2 C ルケンなので、語尾が変化してブテン。二重結合に近い端から数えて 2 番目 CH3 と3番目の間に二重結合がある。そして二番目の炭素上にメチル基が置換し (b) 二重結合を含む最も長い炭素鎖の炭素数は 4 個なのでブタンが母体名。ア 3 CH CH3 4 ている。従って正解は 2-メチル-2-ブテン (c)二重結合を含む炭素数5個の環であるからシクロペンテン。二重結合は C1 と C2 5 の間にあり、C1 と C2 にそれぞれメチル基が置換している。従って正解は 1,2-ジメ チルシクロペンテン 4 3 1 2 (d) (a)の化合物を左右反対に書いてあるだけで同じ化合物。 (e)二重結合を含む最も長い炭素鎖の炭素数は 4 個なのでブタンが母体名。二重結合 Cl が C1-C2 間と C3-C4 間に二つあるのでジエン(di = 二つ + ene = 二重結合 4 2 を有するアルケンの語尾)が語尾になる。C2 上に塩素(クロロ)が置換してい 1 3 る。従って正解は 2-クロロ-1,3-ブタジエン(慣用名はクロロプレン)このジエ ンを重合させたものがポリクロロプレンで、商品名「ネオプレン」としてデュポ 6 4 1 ン社が開発した耐油性の合成ゴム。 (f)二重結合を含む最も長い炭素鎖の炭素数は 6 個なのでヘキサンが母体名。二重結 2 3 5 合が C2-C3 間にあるので語尾は 2-ヘキセン。C3 上にプロピル基が置換している。 従って正解は 3-プロピル-2-ヘキセン (g) 二重結合を含む最も長い炭素鎖の炭素数は 6 個なのでヘキサンが母体名。二重 1 結合が C2-C3 間にあるので語尾は 2-ヘキセン。C2 炭素上のメチル基と C3 炭素 上のプロピル基は二重結合の反対側同士にあるので trans 配置。従って正解は 3 2 6 trans-2-ヘキセン。あるいは E-2-ヘキセン。 (h) (g)の化合物と二重結合まわりの立体配置が反対になっただけ。従って正解は cis-2-ヘキセン。あ るいは Z-2-ヘキセン。 問2 (a) (g) (b) (h) (c) (d) (i) (e) (j) (f) 赤字で示したビニル基および青字で示したアリル基は有機化学によく登場する官能基である。 問3 a) -I > -Br > -CH3 > -H b) -OCH3 > -OH > -COOH > -H (メトキシ基) (ヒドロキシ基) (カルボキシ基) (水素) c) -COOH > -CHO > -CH2OH > - CH3 (カルボキシ基)(ホルミル基)(ヒドロキシメチル基)(メチル基) d) -CH=CH2 > -CH(CH3)2 > -CH2CH3 > -CH3 (ビニル基) (イソプロピル基) (エチル基) (メチル基) e) -C(CH3)3 > -CH(CH3)CH2CH3 > - CH2CH(CH3)2 > - CH2CH2CH2CH3 (tert-ブチル基) (sec-ブチル基) (イソブチル基) (ブチル基) 問4 a) この化合物にはシス-トランス異性体は無い。 b) 右図に示すとおり、上段のシス-2-ペンテンと下段のトランス-2-ペンテンという2種 類の異性体が存在する。命名する際に、それぞれの異性体を Z-2-ペンテン、E-2-ペン テンと命名してもよい。 Cl c) 右図に示すとおり、上段のシス-1-クロロプロペンと下段のトランス-1-クロロプロペン という2種類の異性体が存在する。命名する際に、それぞれの異性体を Z-1-クロロプロ Cl ペン、E--1-クロロプロペンと命名してもよい。 d) この化合物にはシス-トランス異性体は無い。右図から明らかなように、C1上には H 二つの水素が結合している。教科書 79 ページの図 3.3 にあるとおり、炭素—炭素二 Cl H 重結合の少なくとも一方の炭素に同じ原子(あるいは原子団)が結合しているときに は、その二重結合周りのシス−トランス異性体は存在しない。 e) この化合物には3カ所の炭素—炭素二重結合が存在するが、d)で述べたよ CH2 うに C1-C2 間および C5-C6 間の二重結合まわりにはシスートランス異性 体は生成しない。一方、C3-C4 まわりには上段に示したシス-1,3,5-ヘキサ トリエンと下段のトランス-1,3,5-ヘキサトリエンの2種類の異性体が存在 CH2 f) 右図の通り、2種類の異性体が存在する。シクロアルケンの場合、環を構 Br ではトランス-シクロブテンという化合物を書くことはできても、実際には 合成不可能である。(C3-C4 間の原子間距離が長くなり共有結合を形成で きない。) 4 3 する。 成する炭素数がある程度多くないとトランス異性体は存在できない。 (紙上 CH2 3 Br 4 CH2 Br Br 問5 a)下記のような4種類が考えられる。 ヘキセン誘導体 ペンテン誘導体 (E)-2-ヘキセン (E)-3-メチル-2-ペンテン (E)-3-ヘキセン (E)-4-メチル-2-ペンテン b) 例えば3−メチル-3-ヘキセン c) 1,2-ジメチルシクロペンテン(左) 1-エチル-2-メチルシクロブテン(右) 等がある。 問6 a) CH3-CH=CH-CH3 + H-Cl → CH3-CHCl-CH2-CH3 b) c) この反応では競争異性体の関係にある異性体が同量ずつ生成する。二 つの異性体は蒸留では分離できないので、ラセミ混合物となり光学的 には不活性である。 問7 立体配置を無視してこの化合物の骨格構造を書い てみると、C2,C3 の 2 ヶ所が不斉中心であることがわか る。従って立体異性体は 22=4 個存在する。これらを Fischer 投影式で書くと図のようになる。全ての立体配置 が反転(即ち R と S が逆になっている)もの同士はエナ ンチオマーの関係、他はジアステレオマーの関係にある。 CH3 CH3 Cl H CH2CH3 (S)-2-chlorobutane S H Cl CH2CH3 (R)-2-chlorobutane R 問8 均一開裂が起こると2分子のラジカルが生成する。不均一開裂が起こるとイオンが生成する。 均一開裂 Cl 不均一開裂 2Cl Cl H H Cl OH O + O OH N 2 CN + N H + O H CN Cl H O N + H N CN 問9 しん a) 2分子が結合して1分子になっているので付加反応。 (ここで示した反応はジエン(diene) と親ジエ ン化合物(dienophile) による Diels-Alder 反応と呼ばれる有名な人名反応の例。) b) ベンゼン環上の水素がメチル基に置き換わっているので置換反応。(ここで示した反応は芳香族求 電子置換反応と呼ばれる反応の一つで、5章で詳しく学ぶ。) c) 酢酸(CH3COOH)の OH がエトキシ基(C2H5O)に置き換わっているので置換反応。(この反応の 詳細については 10 章で学ぶ) d) 臭化メチル(CH3Br)の臭素がエトキシ基(C2H5O)に置き換わっているので置換反応。 (この反応の詳 細については7章で学ぶ) e) 2分子が結合して1分子になっているので付加反応。(生成物はクメンヒドロペルオキシド) f) 分子数に変化はなく、異性体ができているだけなので転位(あるいは異性化)反応 g) 1分子の化合物が2分子の化合物になっているので脱離反応。 h) 2分子が結合して1分子になっているので付加反応。(ここで示した反応はアルケン対する求電子 付加反応と呼ばれる反応の例で、4章で詳しく学ぶ。) i) 分子数に変化はなく、異性体ができているだけなので転位(あるいは異性化)反応
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