(8) 技 術 科 の 取 り 組 み ① 授業改善プランによる、指導方法の検討 評価観点 生活や技術 への関心・ 意欲・態度 学年 課題分析 (○成果 ▲課題) 1年 ○作業自体は好きな生徒が多い。 ▲作業経験が尐ないため、道具の使い 方など、理解するのに時間がかかる。 具体的な改善策 ・道具や機械を活用する機会 を多く与え、生徒が満足す る作品を制作する。まず、 生徒の興味・関心を引く授 2年 ○昨年度から、ものづくりの分野に意 欲的に取り組んでいる。 ○作業が苦手な生徒も一生懸命取り組 んでいる。 業にする。そのためにも、 作品が完成したら家庭で役 に立つような教材を選ぶ。 ・できるだけ毎回技術に関す るミニ知識を授業に取り入 3年 ▲栽培の分野で、意欲的に取り組めな い生徒が見られた。 れ生徒の興味・関心の高い 授業にする。 ▲栽培に関して体験が尐ない。 生活を工夫 し創造 する能力 1年 ▲全体的にものづくりの経験が尐ない ・創意・工夫がしやすい教材 ため、工夫し創造する力が身につい を取り入れ、作品が失敗し ていない。 ても、デザインを変更した (特に木材加工の分野でみられる。) り、作り方を変えることに よって、ミスをカバーし工 2年 ○家庭で普段コンピュータに接してい 夫することによって、良い る生徒が増え、生活に役立てる力が 作品ができることを理解さ ついてきている。 せるようにしていく。 ▲コンピュータを触れている生徒と触 れていない生徒のコンピュータに関 する技量や知識の差が大きい。 3年 ○家庭で普段コンピュータに接してい る生徒が増え、生活に役立てる力が ついてきている。 ▲コンピュータを触れている生徒と触 れていない生徒のコンピュータに関 する技量や知識の差が大きい。 評価観点 学年 課題分析 (○成果 ▲課題) 1年 ○大部分が意欲的に制作作業に取り組 んでいる。 具体的な改善策 ・制作する能力の低い生徒は、 高い生徒に手伝ってもらう ▲尐数ではあるが、授業に集中できな い生徒もいる。 のではなく、教えてもらい ながら自分の力だけで作品 生活の技能 を完成させるよう指導して 2年 ▲木材加工の分野で作業の早い生徒と できない生徒の差が激しい。 いく。 ・高い生徒は教えることによ って、自分の能力の向上や 3年 ▲制作物の内容、道具の使用方法など 自信を持たせる。 理解して作業ができる生徒が尐ない。 ・技能体得のための実習時間 の最大限の確保。 1年 ▲技術とものづくり「木材加工」の分 ・個別指導の強化。課題の明 生活や技術 野で、道具、機械の使い方などの体 確化。普段の生活に関連づ についての 験が不足している。 け、技術科の理論や制作の 知識・理解 大切さや、楽しさを教えて 2年 ▲木材加工中心の課題をおこなってい るが、まだまだ道具の使い方などの いく。 ・作品の機能なども考えさせ ながら作図させる。工具や 体験が不足している。 機械などについても、予め 3年 ▲知識不足からか、創意・工夫する能 力が低い生徒が目立つ。 使用するものを教師側で指 示するのではなく、いろい ろな工具類を用意しておき、 その中からいろいろ工夫す ることによって、制作や生 活が楽しくなることを教え ていく。 授業改善の 検証方法 ・生徒による授業アンケート ・授業中の発言や行動観察 研究との関連 考えさせる 取り組み内容 ・意欲の低い生徒は尐数であるが、その生徒に制作すづけ、技術の理論や制 授業への 取り組み 作の楽しさを教えていく。 ・制作する能力の低い生徒は、高い生徒に手伝ってもらうのではなく、教えて もらいながら自分の力だけで作品を完成させるよう指導していく。 ・意欲の高い生徒は教えることによって、自分の能力の向上や自信を持たせる 。 ② 実践授業・学習指導案 【日 時】 平成23年1月25日(水)5校時 【対 象】 1年A組 【場 所】 【授業者】 1 前半 男子7名 女子9名 計16名 コンピュータ室 増田 晃教 教諭 単元名 情報基礎 「B 情報とコンピュータ」 情報通信ネットワークの利用「情報伝達の安全性とマナーを考えよう」 2 単元目標 (1) マ ル チ メ デ ィ ア で 表 現 す る た め に 、ど の よ う な 検 討 や 作 業 が 必 要 で あ る か が わ か る 。 (2) ホ ー ム ペ ー ジ に 掲 載 さ れ た 情 報 に よ る 影 響 を 考 え る こ と で 、 自 分 の 発 信 す る 情 報 に 責任をもつことの大切さを理解する。 3 本 時 の学 習 内 容 「ホームページを審査しよう~このホームページどこが悪いの?~」 (1時間中の第1時間目)→ 4 ホームページの作成を2時間済み。 単元指導計画 情報モラルは 1 時間構成で、本時はその第1時にあたる。 (1) 情 報 化 の 進 展 に と も な っ て 深 刻 化 す る 様 々 な 問 題 を 知 り 、 情 報 モ ラ ル の 大 切 さ に 気 づく。 (2) 生 徒 が 情 報 の 送 り 手 と し て 、 ま た 受 け 取 り 手 と し て 、 具 体 的 に 設 定 し た 様 々 な 場 面 で考え、情報モラルについての理解を深める。 ・第1時 5 「ホームページを審査しよう」・・・・(本時) 単 元 の評 価 規 準 観点 生活や技術への 評 価 規 準 ・必要な情報を的確に判断、処理する能力を身につけようとしているか。 関心・意欲・態度 ・ルールを守って情報を収集・発信しようとしているか。 生活を工夫し ・具体的にまとめているか。 創造する能力 ・自分の考えや思いを、マルチメディアで表現する手順を考えられるか。 ・正しく入力できるか。 生活の技能 ・分類メニューを利用して、調べることができるか。 生活や技術につい ・ホームページに掲載された情報による影響を考えることができるか。 ての知識・理解 ・自分の発信する情報に責任をもつことの大切さを理解するができるか。 6 生 徒 の実 態 と指 導 観 (1) 題 材 観 今の社会情勢は、全国の学校にコンピュータが整備され、インターネット接続でき る環境が整い、学習活動に利用されるようになった。また、家庭でもコンピュータを 使用する率が高くなり、手軽にインターネットに接続できるようになった情報化社会 となっている。 そんな中、平成16年6月、メールトラブルが一つの要因になって、長崎佐世保の 小6女児殺害事件があり、情報モラル教育が大きく取り上げられるようになってきた。 インターネットを使う上で、モラルやマナーなどを知っておくべき内容は多岐にわた り、電子掲示板や電子メールなどの言葉のやりとりの配慮、コンピュータウィルスや 著作権に関すること、買い物などの様々な詐欺的誘い、アダルトサイト、出会い系サ イトへの接続を注意しなければいけないことが多い。 学校ではネットを利用するのに有害な情報を見られないようにする(フィルタリン グ)など配慮されてきたが、家庭では子どものネット利用に無関心な親も多く、何も 施されていない場合が多い。今後、子どものネット利用はさらに増え、それにともな い今まで以上に多くのトラブルが予想される。 情報を取り扱う上でのルールや危険性について十分な知識が必要であるが、情報モ ラルについての指導は中学校では技術科の「情報とコンピュータ」の中で扱われる。 今後、情報モラルに関する指導は、今後さらに重要なものとなってくると考えられる。 現在、技術科での取り扱いの時間も尐なく、十分とはいえない。また、情報モラルに ついては、扱う人の人間性やモラルに影響される面が非常に大きいといえる。そう考 えると道徳の時間でも学習の必要性があると考えられる。 この様な現状から、この題材に関し、技術科での指導の役割の重要性を感じる。 (2) 生 徒 の 実 態 前半グループには、後半グループにいるようなリーダー的な者は見られないがコン ピュータや材料加工に関する興味・関心が非常に高く、学習課題に意欲的に取り組む 生徒が多い。 家庭でのコンピュータ所持率をみてみると、所持している家庭は都内より尐ないよ うである。しかし、所持している家庭の生徒は、多くの時間をコンピュータに利用し ている。 各 家 庭 に お け る ア プ リ ケ ー シ ョ ン ソ フ ト ウ エ ア の 利 用 状 況 は 、 Web ペ ー ジ 検 索 が 主 で 、授 業 に お け る イ メ ー ジ も 高 い 。情 報 モ ラ ル に つ い て は 、興 味・関 心 を 持 つ 生 徒 が 尐 ないが、授業以外での学習の他、セーフティー教室等で話を聞いている。 7 本 時 のねらい ホームページに掲載された情報による影響を考えることで、自分の発信する情報に責 任をもつとことの大切さを理解する。 8 本 時 の学 習 展 開 表中の◇は「主体的に活動する生徒の育成」に関わる項目。◆は「考えさせる授業」に関わる内容 を示す。 段階 学習活動 導入 ○挨 拶 、出 欠 確 認 5分 ○本 時 の授 業 説 明 を聞 く。(挙 手 、発 言 ) 指導上の留意点・評価 ○出 欠 確 認 、持 ち物 確 認 、 教 室 の雰 囲 気 ・様 子 の把 握 ○授 業 開 始 時 に、挙 手 でパソコン所 有 の ○発 問 評価の観点 ○関 心 ・意 欲 ・ 態度 ・挙 手 、発 言 有無や、インターネットの経験をきく。 展開 40分 ・配 布 プリントAを配 布 。 ・資 料 1を提 示 し、このホームページには ・他 の者 の意 見 等 を記 録 してい ○関 心 ・意 欲 ・ くよう指 示 を出 す。 いくつかの問 題 点 があると告 げる。 態度 ・取 り組 む姿 勢 ・問 題 点 を捜 す ・発 問 1 態度 このホームページのどこが悪 いのでしょ う? ・予 想 される回 答 ①顔 写 真 を掲 載 しているところ。 ◇3分 後 に意 見 を求 める。 ②住 所 や電 話 番 号 を書 いてあるところ。 生 徒 の意 見 は板 書 (パワー ③勝 手 に音 楽 を配 信 したらいけない。 ポイント)する。 ④小 テストの結 果 が誰 でも見 られるよう 番 号 をつけて分 類 をする。 になっている。 ①~④ ・指 示 1 ◆悪 いところを探 して、配 布 プリントのAと ◇3分 後 に意 見 を求 める。 ころに書 きなさい。 ・生 徒 の意 見 は板 書 (パワーポ イント)する。 ・発 問 2 (誰 にとって) ①~④をそのまま載 せておくと、誰 に とってどんな悪 いことがあるのでしょ →(どんな悪 いこと) ①自分 う。 ・指 示 2 → パスポートなどの偽造 。 ◆①~④それぞれについて考 え、配 布 プリントのBのところに自 分 の考 え を書 きなさい。 ・3分 後 に意 見 を求 める。生 徒 の意 見 は 板書。 ②迷惑電話やダイレクト メールが来る。 ・犯罪に巻き込まれるお それがある。 ・(パワーポイント)する。 ・資 料 2を提 示 し、このホームページに はいくつかの問 題 点 があると告 げる。 ③その音楽を作った人 や歌手の著作権の侵害 ○関 心 ・意 欲 ・ 態度 ・取 り組 む姿 勢 ・問 題 点 を捜 す 態度 ○知 識 ・理 解 段階 展開 40分 学習活動 ・発 問 3 ・このホームページのどこが悪 いでしょう 。 指導上の留意点・評価 評価の観点 ④テストを受 けた生 徒 など 、個 人 情 報 やプライバシ ーの侵 害 。 ・予 想 される回 答 どこのスーパーのことかすぐわかる書 ◇3分 後 に答 えさせ、板 書 き方 をしている。スーパーの人 がこれ (パワーポイント)をする。 を読 んだら怒 ると思 う。など ・態 度 ・取 り組 む姿 勢 ・指 示 3 ・問 題 点 を捜 す ◆配 布 プリントCに自 分 の考 えを書 き なさい。 ○関 心 ・意 欲 態度 ・意 見 が途 切 れたら、次 のよう ○知 識 ・理 解 ・予 想 される回 答 な説 明 をする。 ○工 夫 ・創 造 ・載 せるべき意 見 ・説 明 1 ・生 徒 の様 子 ・載 せるべきではない意 見 ・発 問 4 このような告 発 ページは ○技 能 実 際 のネット上 でたくさ ・ワークシート ん見 られます。不 確 かな ・生 徒 作 品 のでき 情 報 や特 定 の人 を傷 つけ ・きちんと確 かめた正 確 な情 報 なのだか る情 報 を公 開 することは ら、このスーパーのことをホームページ 許 されません。今 日 は発 に載 せるべきではないのですか。 信 する側 にたって考 えて ・指 示 4 もらいました。しかし、 ◇自 分 の考 えを配 布 プリントに書 きなさ 実 はこのような情 報 を受 い。 具 合 い。 け取 る側 の姿 勢 もどうあ るべきか考 える必 要 があ ります。 ◇ホームページの製作 ・今 回 の授 業 を受 けて 時 間 があれば、前 回 自 分 ○技 能 ○知 識 ・理 解 達 で作 成 していたホームペ ージを編集する。 まとめ ・本 時 の学 習 ポイントの整 理 5分 ・データの保存。 ・ワークシートの回収。 ・自 分 のフォルダの中 にホー ・指 導 者 の支 援 、 ムページのフォルダを保 存 評 価 が生 徒 に する。 理解されたか、ワ ークシート作品の でき具合いなどか ら、判断し、次回 からの授業の反 省材料とする。 ③ 研究主題に関する技術科の取り組みポイント ○授業で工夫していること ●問題点、今後の課題 ○目的に応じた多種多様な教材の準備をする。 ○生徒の考えを高める発問をするように心がけている。 ○生徒のもっている豊かな個性をとらえ、いろいろなタイプの生徒に対処する。 ○学習意欲や、やる気をひき出すために、学んだことが役立つもので(有効性)す ぐに役に立つことのできる(即効性)ポイントを作る。 ○自分の分かっていることを誰かに話して伝えるような実習時間の確保。 ●多様な生徒などを一人の教師が一斉に指導するのは難しい。ポイントを絞って指 導する。 ●ねらいを達成するための価値や学習内容を含んでいるかまとめながら教材を開発 していく。
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