電流と磁界

第2学年
理科学習指導案
平成 19 年 6 月 13 日(水曜日)第 6 時限(第 1 理科室)
1
単
2
単元について
(1)
元
細
□
指導者
河村
誠一郎
電流と磁界
単元の意義
ここでは,磁石と磁界,電流のつくる磁界,電流が磁界中で受ける力など,電流の
磁気作用の基本的な概念を実験を通して理解させることがねらいである。まず,磁界
の概念を導入し,その後磁界と磁力線の関係,コイルを流れる電流のつくる磁界など
を扱う。さらに,電流が磁界との相互作用で受ける力や電磁誘導の現象を扱う。
これらの実験をできるだけ簡素で身近な道具を用いて行い,電流,磁界,力の関係
やその規則性を見いださせる。こうすることで,生活の中で使われているモーターや
スピーカー,マイクや発電機などの器具の原理やしくみに目を向けさせたい。また,
これらの器具の原理やしくみを,学習した性質や規則性などを使って科学的に説明さ
せることは,科学の知識と日常生活を結びつけて考えさせる上で意義がある。
(2)
系統的に見た位置
生徒は,小学校3年生で磁石の性質を「磁石遊び」を通して学習し,小学校6年生
では,電磁石のしくみや電磁石を使ったものづくりなど,現象面を中心に体験的に学
習している。ここでは,モーターの運動を「電流が磁界から受ける力」と関連づけて
より科学的に理解させる。また,ここでの学習は,3年「エネルギーの移り変わり」
で,「運動エネルギーから電気エネルギーへの変換」の学習へつながっていく。
(3)
単元と生徒との関係
電流,磁界,力はいずれも目に見えない事象であるため,学習が抽象的になりがち
であり,生徒にとっては難しいと感じてしまう学習内容である。生徒の興味・関心を
高めるためには,これらの目に見えない事象を,できる限り単純で目に見える現象に
置き換える教材・教具の工夫が重要である。
生徒は,これまでの学習で,磁石にはN極とS極があり,引力や反発力がはたらく
ことをとらえている。また,電磁石を利用する学習から,モーターのしくみに磁力が
関係していることも経験的にとらえている。これらの学習や経験から,モーターが回
転するのは,磁石の引力や反発力によるものと思い込んでいる生徒が多い。ここでは
磁界の中を通した一本の導線に電流が流れるとき,この導線が動くことから,磁界中
の電流が磁界から力を受けることをとらえさせる。さらに,コイルモーターづくりを
通して,モーターのしくみを科学的に説明できるようにさせていきたい。
3
目
標
磁石や電流による磁界の観察,磁界から受ける力などについて調べる実験を通して,電流
と磁界について初歩的な見方や考え方ができるようにする。
○
磁石のつくる磁界のようすや電流が磁界から力を受けることに関心をもち,力の向きや
大きさについての規則性を意欲的に探究しようとする。
○
(自然事象への関心・意欲・態度)
導線を流れる電流がつくる磁力線のようすなどについて規則性を見いだしたり,電流,
磁界,力の向きの関係を見いだしたりすることができる。
○
(科学的な思考)
電流が磁界から力を受けることと,モーターが回るしくみについて関連づけて考えるこ
とができる。
○
(科学的な思考)
電流がつくる磁界のようすを方位磁針などを使って調べ,磁力線を用いて表現すること
ができる。
○
(観察・実験の技能・表現)
電気ブランコやコイルモーターづくりなどを通して,電流,磁界,力の関係や規則性を
調べることができる。
○
(観察・実験の技能・表現)
磁石の性質や電流が磁界から受ける力の大きさや向きについて理解し,知識を身につけ
ている。
4
(自然事象についての知識・理解)
指導計画と評価計画(8時間完了:本時6/8)
指
導
計
画
学習活動
学習活動における評価規準
時間
1
磁石 の まわ り の
力を調べよう
2
モー タ ーの 動 く
しくみを調べよう
2
3
発電 機 のし く み
を調べよう
2
5
4
6
(
本
時
)
5
本時の指導
(1)
目
○
○
電流が磁界から力を受けることに
関心をもち,力の向きや大きさにつ
いての規則性を意欲的に探究しよう
とする。
( 関心・意欲・態度)
○ 電流が磁界から受ける力の大きさ
や向きについて説明することができ
る。
(知識・理解)
行動観察
○
学習プリント
電流が磁界から力を受けること
と,モーターが回るしくみとについ
て関連づけて考えることができる。
(科学的思考)
○ 電流が磁界から力を受けることに
関心をもち,力の向きや大きさにつ
いての規則性を意欲的に探究しよう
とする。
( 関心・意欲・態度)
学習プリント
行動観察
標
電流が磁界から力を受けることと,モーターが回るしくみについて関連づけて考
えることができる。
○
評価方法
(科学的思考)
電流が磁界から力を受けることに関心をもち,力の向きや大きさについての規則
性を意欲的に探究しようとする。
(関心・意欲・態度)
(2)
準
備
実物投影機,大型コイルモーター,学習プリント,コイルモーター回転台,
エナメル線,わに口クリップ付の導線,乾電池(単2),電源装置,はさみ
(3)
時間
配分
5分
指導過程
学習活動
1 提示された大型コイ
ルモーターを見て,学
習課題を知る。
指導上の留意点
評価の観点と方法
大型コイルモーターが,乾電池 1 個で回る様
子を見せる。
○ 実物投影機を利用し,コイルモーターの回転
の様子が良く見えるようにする。ただし,席を
立って見ることも認める。
○
学習課題
① 1.5Vで回るコイルモーターをつくる。
② モーターが回るしくみを考える。
30 分
2
コイルモーターを作
る。
(1) 学習プリントを受け
取り学習の手順をつか
む。
(2) 教科書でコイルモー
ターの作り方を調べ
る。
(3) コイルモーター作り
のポイントを確認す
る。
(4) コイルモーターを作
る。
コイルモーターを個人で作成し,1.5V で 30
秒回転し続ければ合格とする。
○ グループ全員が合格したら,グループのモー
ターをすべて導線でつなぎ,3.0V で 30 秒回転
し続ければ,そのグループは合格とする。
○ グループの協力と学び合いが大切であるこ
とを知らせる。
○
○
コイルの巻き方,エナメルのけずり方に注意
して調べさせる。
○
エナメルをけずった部分だけが電流を流す
ことを確認する。
○ 手で軽く回した時,スムーズに回るように調
整することを確認する。
○ 電源は乾電池ではなく,電源装置を使用させ
る。
エナメル線は,1人約 1mずつ使用する。
コイルモーターの回転台は1人1個ずつ配
布する。
○ 電源装置は,グループに1台ずつ用意させ
る。
○ コイルは単2の乾電池に巻きつけて作らせ
る。
○ エナメルははさみを使ってけずらせる。
○ エナメルのけずり方や回転軸の位置などを,
グループ内で確認しながら作業をするよう指
示する。
○ エナメルのけずり方を間違えた場合は,コイ
ルの部分をほどいて作り直すよう指示する。
○
○
○
意欲的に学習に
取り組んでいるか
を活動の様子から
とらえる。
時間
配分
15 分
学習活動
指導上の留意点
(5) コイルモーターを完
成させチェックを受け
る。
○
(6) グループのコイルモ
ーターを導線でつない
で回転させる。
○
モーターが回るしく
みを考える。
(1) 前時の学習を思い出
す。
評価の観点と方法
コイルモーターが完成したら,教卓へ持って
来させ,1.5V で 30 秒以上回転すれば,学習プ
リントに合格印を押す。
○ 自分のモーターが完成したら,仲間のモータ
ー作りを支援するよう指示する。
○
コイルモーター
を作ることができ
たかを,製作物と学
習プリントからと
らえる。
並列につなぐが直列につなぐかは知らせず,
考えさせる。
○ グループのモーターがすべて同時に回転し
たら,学習プリントに合格印を押す。
3
(2) フェライト磁石のつ
くる磁界の向きを考え
る。
○
前時の学習を想起させ,磁界中を電流が流れ
る時,電流が磁界から力を受けることを思い出
させる。
○ フェライト磁石のつくる磁界の向きを考え
させる。
○ コイルを流れる電流の向きを考えさせる。
○ 磁界の向き,電流の向きから力の向きを考え
させる。
N
(3) エナメルを半分だけ
けずった理由を考え
る。
学習プリントの図
○
なぜエナメルを半分だけけずったのかを,学
習プリントの図を見ながら考えさせる。
A
半回転
半回転
X
B
A
B
A
Y
力の向きは?
X
力は?
(4) もしも,エナメルを
すべてけずってしまっ
たらどうなるかを話し
合う。
○
両端のエナメルをすべてけずってしまうと
モーターが回らない理由をグループで話し合
いながら考えさせる。
(5) モーターが回り続け
るしくみを話し合いま
とめる。
○
モーターが回り続けるためにはどんな工夫
がされているかをグループで話し合い,学習プ
リントに記入させる。
B
Y
力の向きは?
○
電流が磁界から
力を受けることと,
モーターが回るし
くみとについて関
連づけて考えるこ
とができたか,話し
合いの様子や学習
プリントの記入か
らとらえる。