STAS-Jを用いた取り組み ~今後の可能性に向けて~ 安芸市民病院 迫 万美子 STAS-J導入の目的 当緩和ケア病棟は開設後より、患者と家族の価値 観を尊重し、意思や希望に沿った生活が送れるよう な医療が提供できるよう努めてきた。しかし、現状で は疼痛のある患者、または急性・慢性疼痛の問題 点が立案されている患者の疼痛評価法が不明確で ある。また、問題点として立案されていること以外の 情報が記録に残されておらず入院後の患者の全体 像が捉えられていないという問題があがった。 昨年、STAS-Jの研修会に参加し当緩和ケア病棟 においてのアウトカムの必要性を痛感し導入に至っ た。 導入までの流れ(コアメンバーの動き) H18年9月:STAS-J研修受講 コアメンバー内でのSTAS-J勉強会 仮想症例を用いたディスカッション →当病棟で使用しやすいものへの工夫 ①各スコアの解説の具体化 ②評価用紙の修正 ③コアメンバーから担当スタッフへの勉強会 (コアメンバー1名:数人のスタッフ) 内容:STAS-Jの目的、導入・運営方法 ⇒導入 STAS-Jを用いた評価方法 ①プライマリーナースが中心となって評価する。 ②評価はカンファレンスの時間を活用する。 ③入院1週間後、以後月1回評価。 状態の変化などにより適宜評価。 ④評価内容は評価表への記入と経過記録に記 載する。 ⑤介入の必要な問題は看護診断に沿ってプラ ンを立てケア介入する。 アンケート結果 1 STAS-Jを1ヶ月間施行してみて必要性と感じたか ・必要と感じた・・・6名 ・必要と感じたことがある・・・6名 (理由) ・全体像が把握できる ・必要な看護が明らかになる ・自分自身の評価ができて良い ・必要と感じなかった・・・0名 アンケート結果 2 STAS-Jの導入方法について ・戸惑いなく導入できた・・・7名 ・戸惑いを感じることがあった・・・3名 ・戸惑いを感じることがしばしばあった・・・2名 (理由) ・担当コアメンバーと勤務上合わないことが多 かった アンケート結果 3 STAS-Jを導入し負担に感じたか ・負担ではない・・・3名 ・負担に感じることがある・・・7名 ・負担に感じることがしばしばある・・・1名 (理由) ・評価に時間がかかる ・評価を見て自分自身の無力感を感じる ・STASを十分理解できていないのでやらさ れ感がある ・無回答・・・1名 アンケート結果 4 STAS-Jの評価方法について ・良いと思う・・・10名 ・時に良いと思うことがある・・・2名 (理由) ・他スタッフから意見を聞くことで違った視点を 持てる ・カンファレンスが充実する ・良いと思わない・・・0名 アンケート結果 5 STAS-Jの活用について ・有効に活用できる・・・2名 ・活用できると感じることがある・・・8名 (理由) ・意識的に情報収集できる ・評価の継続、経験を重ねることで、患者・家族や 自分自身の問題点を明確にできる ・活用できると感じない・・・2名 (理由) ・評価はしているが看護に反映されない ・毎回同じ評価となることが多い ・問題が明確化しても知識・技術不足で解決できない 考察 1 STAS-Jを導入したことでの利点 ・全体像が把握できた ・問題点を明確化させることができた ・必要な看護を明確化させることができた ・自分自身の看護の評価や課題を明確にする ことができた 考察 2 問題点 ①導入の際、担当のコアメンバーと勤務が合わず戸 惑いを感じた ②カンファレンス中に使用するSTAS-J評価の時間が長す ぎる ③毎回同じ問題点が続く、また憶測で評価する傾向 がある ④プライマリーナース個人で評価することが負担とな る 考察 3 改善点・課題 ①担当コアメンバーが不在のとき、他のコアメンバーがサポート する体制を整える ②カンファレンス前にプライマリーナースは事前に評価を行い、主体 的にSTAS-J評価を行なう ③入院後1週間、以後2週間ごとの定期的評価とし、状態に変化 が生じたときは適宜評価する ④情報収集が不足している点、問題となった項目は経過記録 に記載し、プライマリーナース以外も関わるようにし、問題を追 及する ⑤充実した勉強会の計画、スキルアップ ⑥互いを高められる職場風土を作る まとめ 今回、客観的に自らのケアを評価すること ができ、当病棟のケアの特徴や課題を明確 にすることができた。今後はさらなるSTAS-J の定着と継続、ケアの質の向上を目指し、患 者・家族に信頼されるケアを提供し続けてい きたい。
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