Fig 1. Conceptual framework on care evaluation as

OPTIM
緩和ケアセミナー
ステップ緩和ケア(1)
症状の評価とオピオイドの導入
45分
聖隷三方原病院 緩和支持治療科 森田達也
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Ⅱ 評価
1.症状の評価の仕方
(1)簡便な症状評価の方法
(2)患者による症状評価の方法
(3)医療者による症状評価の方法
a) STAS-J
b) 疼痛の評価シート
症状の評価
-Overview-
<P.4>
●苦痛を評価する「共通言語」のSTASを使う
●評価ツールを使わないときは、「簡便な問診」をする
●評価ツールとしては2つを使用する
①医療者が記入: 疼痛の評価シート
②患者が記入 : 生活のしやすさに関する質問票
症状の評価
-STAS-J-
<P.4>
症状の評価
-STAS-J-
<P.7>
患者がどれくらい症状に対応してほしいかを評価する「共通言語」
日本緩和医療学会、日本医師会がん性疼痛緩和のエッセンス
STAS
0~1: 満足
2:
それほどひどくない。できることがあればなにかしてほしいな~
3~4: 日常生活に支障。対応してほしい!
具体例
× 「○○さん、痛みがあるっていってます」
○ 「○○さん、痛みがあって、STAS=3くらいです」
→今日中に(すぐ?)対応しないと!
症状の評価
-簡便な症状評価の問診-
<P.4>
症状の評価
-簡便な症状評価の問診-
<P.5>
「何か症状で困っていることはありますか?」
「(症状で)日常生活に支障があって何か対応したほうがいいですか?」
ポイント:
1 Open-ended question(自由に答えられる質問=はい・いいえで答えられない
質問)により、患者が一番心配していることがわかる
× 痛いですか?
「はい」
○ 一番困っていることは何ですか? 「痛みもだけど吐き気が一番つらい」
2 症状があるかどうか?ではなくて、どうしてほしいと思っているか(ニード)をき
くことにより、「自分でコントロールしている感覚」(自律性)を尊重できる
× 痛みが7点だから治療しましょう
「・・・(まだいいよ~~)」
○ 痛みの対応をしたほうがいいですか 「もうすこしみてからお願いします」
簡便な症状評価の問診 疼痛の場合
・「痛みに関しては、今の治療で満足されていますか?それとも痛みで日
常生活に支障があって何か対応したほうがいいですか?」
・「痛みは1日中ずっとありますか?それとも、たいていはいいけれど
時々ぐっと痛くなりますか?」
・「眠気(快、不快)・吐き気・便秘はどうですか?」
・「痛みが強いときに使うお薬(頓用薬、レスキュー)は1日に何回使われ
ますか?効きますか?使った後、眠気・吐き気はありますか?」
カルテの記載例
○満足 (STAS=1)
○持続痛
○眠気(-)吐き気(-)便秘(-)
○レスキュー1回/日 有効
眠気・吐き気(-)
○対応を希望 (STAS=3)
○突出痛
○眠気(+、不快)吐き気(-)便秘(-)
○レスキュー2回/日 無効
眠気(+) 吐き気(-)
症状の評価
-疼痛の評価シート-
<P.4>
症状の評価
<資料P.8>
-疼痛の評価シート-
疼痛の評価を短時間で系統的に行うツールである
疼痛の評価シート
実施例のビデオみます
記入の仕方
評価シートをもとにした
マニュアル
疼痛の評価シートについての
ロールプレイ
をしますがそのまえにもう少し・・・・
症状の評価
<資料P.8>
-疼痛の評価シート-
1)毎回毎回すべてやらなくてもいい。節目で行う
2)①症状緩和のニード、②ベース鎮痛が悪いのか、突出痛がコント
ロールできないのか、③眠気、嘔気、便秘が分かる
⇒有効な治療に結びつけることができる
症状緩和のニード
(-)オピオイドのベースアップ
持続痛・・・ねむけ
(+)
①ねむけの原因の対応
②オピオイド変更して増量
③NSAIDs強化
④オピオイド以外の治療
突出痛・・・レスキュー対応
7
7
両方とも痛みは「7」
眠気、嘔気、便秘 ⇒ 副作用対策!
小助川先生との使用例
生活のしやすさに関する質問票
突出痛
①NSAIDsを増量
②骨転移の固定
③切れ際の痛みの対応
④放射線治療
⑤レスキューの使用
1.処方
オピオイドの1/6を処方
2.説明
・「定期使用の鎮痛薬を使って
も痛みがあるとき」のパンフレッ
トを使って、指導
<資料P.12~13>
●「眠気」がつよい場合
①原因を探索
1.薬物を見直す
(制吐剤、向精神薬)
2.血液検査
(カルシウム、血糖、腎機
能)
3.脳転移
②NSAIDs併用して鎮痛
できればオピオイド゙減量
③オピオイドの変更
持続痛
●「眠気」がない場合
オピオイドを30-50%増量
●嘔気嘔吐がある場合
①原因を探索
1.薬物を見直す
2.血液検査
(カルシウム、腎機能)
3.消化管閉塞、便秘、
胃潰瘍
4.脳転移
②制吐剤
・ノバミン3錠
・ナウゼリン3~6錠食前
・トラベルミン3錠
疼痛の評価シートについての
ロールプレイ
・2名1組になってくださ~い
記入の仕方
・事例
<資料P.10~11>
初級:
①ずっと痛いけど眠気ー、嘔気ー レスキュー有効
②ほとんどいいけど時々痛い レスキュー使ってない
中級:
③ずっと痛くて、しかも、眠くて気持ちも悪い。モルヒネ120mg
④じっとしていればいいけど、動くと痛い。デュロテップにオプソ
飲んでるけど、飲んでもきかない
・評価シートの記入→記入したシートを見ながら治療を「疼痛の
評価シートを基にした治療マニュアル」を見てディスカッション
・ファシリテーターがいますので何かあればどうぞ(^^)/
<資料P.8>
疼痛の強さのきき方
「痛みの強さを数字で言うのは難しいと思うんですけど、血圧のよう
に数字で教えていただくとわかりやすくなりますので教えてください。
これが正解というものがあるわけではないし、人と比べるものではな
いので、あなたの感じを教えていただければ結構です。
ぜんぜん痛くない時を0点、もうこれ以上考えられない位すごくいた
いときを10点とすると、普段いちばん弱いときの痛みは何点くらいに
なりますか?(○点です)
では、痛みが一番強くなったときは何点くらいになりますか?(△点
です) その強い痛みがくるのは何回ですか?(□点です)」
全く
なかった
痛み
0
これ以上耐えられないほど
ひどかった
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
ここまでのまとめ
評価
・ Open-ended questionで一番心配していること、ニードを聞く
・疼痛の評価:
生活への影響と対応のニード(STAS)、持続痛か突出痛か
眠気(快、不快)・嘔気・便秘、レスキューの回数・効果
・患者のニードは、「STAS」を共通言語で使う
・時々詳しく聞くときは、「疼痛の評価シート」「生活のしやすさの質問票」
治療
・NSAIDs→オピオイド→残存・増強した痛みの対応
・持続痛(定期的な投与)、突出痛(レスキュー)で対応
・副作用対策(嘔気、眠気、便秘)、フォローアップ
ノバミンとトラベルミンをつかいこなす
ワンポイント
・夜間のNSAIDs切れに注意
・アセトアミノフェンを足してみる
・NSAIDsは中止しない
・「レスキューがきかない」ときの2パターン
・ノバミンによるパーキンソン症候群
Ⅲ 症状マネジメント
1.疼痛
(1)NSAIDsの開始
(2)オピオイドの導入
鎮痛治療の基礎
<P.12>
・「痛みをとる」ことと、「副作用対策をする」ことを並行して行う
・NSAIDs→オピオイド導入→残存・増強した痛みの対応
・持続痛(ベースアップ)と突出痛(レスキュー)を区別して対応する
NSAIDsの開始
がん性疼痛の第一段階はNSAIDsである
<P.12>
NSAIDsの開始
<P.14>
・定期投与、合併症(胃潰瘍)の予防、
レスキュー指示
・レスキュー使用すればオピオイド導入
・腎障害・胃潰瘍があるときは、アセトアミノ
フェン2~4gを投与
処方例:
Rp1:
・ロキソニン3T 分3(→8時間毎)
・オメプラール1T
疼痛時:①オキノーム2.5mg1包+ノバミン1T
1時間あけて反復
1日3回まで
Rp2:
・アセトアミノフェン2.4g 分4
・ザンタック2T
疼痛時:①1回分追加
1日3回まで
NSAIDsの開始
ワンポイント: NSAIDsも定期投与が大切
「ロキソニンを飲んでいて日中はいいんだけど、夜になると痛くて起きちゃう・・・・」
痛み
夜痛い
朝
等間隔にする
痛み
朝
14時
眠前
*潰瘍対策は必須
昼
夕
半減期の長いNSAIDs
痛み
ハイペン4T/日(弱い)
ナイキサン4T/日
ボルタレンSR2C/日
*潰瘍対策は必須
夜だけオピオイド
痛み
オキシコンチン1T
ペルタゾン2T
レペタン坐(0.2mg)1こ
NSAIDsの開始
ワンポイント: アセトアミノフェンを上手に使う
「ロキソニンとオピオイドだといまひとつ・・もう一押し・・」
具体例1 腎障害があるけど炎症の痛みがとりきれない
70歳 男性 頭頚部腫瘍 慢性腎不全
オピオイドで鎮痛をしているがすっきりと痛みがとりきれない
アセトアミノフェン2.4g/日を追加して、「少し楽になった」
具体例2 オピオイドだとねむくなっちゃう
50歳 女性 肺がん 虹彩転移
ロキソニン3Tは有効だが、ペルタゾン3T、オキシコンチン2Tだとねむくなってし
まう。ロキソニンに加えてアセトアミノフェン3g/日で1ヶ月ほどしのげた
具体例3 オピオイドだけだと切れが悪い骨転移の痛み
80歳 女性 骨髄腫
骨転移の痛みで、ロキソニン3Tを定期。体動前にオプソ
飲んでいるが今一つ切れが悪い。疼痛時オプソ5mg+
アセトアミノフェン0.5gとしたら1ヶ月ほど維持できた
ここまでのまとめ
評価
・ Open-ended questionで一番心配していること、ニードを聞く
・疼痛の評価:
生活への影響と対応のニード(STAS)、持続痛か突出痛か
眠気・嘔気・便秘、レスキューの回数・効果
・患者のニードは、「STAS」を共通言語で使う
・詳しく聞くときは、「疼痛の評価シート」「生活のしやすさの質問票」
治療
・NSAIDs→オピオイド→残存・増強した痛みの対応
・持続痛(定期的な投与)、突出痛(レスキュー)で対応
・副作用対策(嘔気、眠気、便秘)、フォローアップ
ノバミンとトラベルミンをつかいこなす
ワンポイント
・夜間のNSAIDs切れに注意
・アセトアミノフェンを足してみる
・NSAIDsは中止しない
・「レスキューがきかない」ときの2パターン
オピオイド導入
NSAIDsで鎮痛できない場合、オピオイドを導入する
<P.12>
オピオイド導入
<P.20>
開始の処方
・定期投与、合併症の予防(嘔気、便秘)
レスキュー指示
・NSAIDsは中止しない
投与後のフォローアップ
・投与後数日間、副作用を連携してフォ
ローアップする
・副作用が生じたらすぐに対応する
説明
オピオイド導入
<P.20>
開始の処方
・定期投与、合併症(嘔気、便秘)の予防
レスキュー指示
・NSAIDsは中止しない
投与後のフォローアップ
・投与後数日間、副作用を連携してフォ
ローアップする
・副作用が生じたらすぐに対応する
説明
オピオイド導入
-処方例(経口投与)-
Rp1:まあまあの痛み オキシコンチンで開始
・ハイペン(200mg)2錠 分2
・オキシコンチン(5mg) 2錠 分2(12時間ごと)
・ノバミン(5mg) 2錠 分2
・酸化マグネシウム 1.5g 分3
(「便の硬さにあわせて調節してください」と注記する)
疼痛時:オキノーム(2.5mg)1包 1時間あけて 1日4回まで
Rp2:強い痛み・呼吸困難か咳がある モルヒネで開始
・ロキソニン(60mg)3錠 分3
・カディアン(20mg)1カプセル 分1(24時間ごと)
・ノバミン(5mg) 3錠 分3
・酸化マグネシウム 1.5g 分3
疼痛時:オプソ(5mg) 1包 1時間あけて 1日4回まで
Rp3:高齢者・中程度の痛み・咳がある コデインで開始
・アセトアミノフェン2.4g
・コデイン錠(20mg)4錠
分4(6時間ごと)
・ノバミン(5mg) 2錠
・酸化マグネシウム 1.5g 分3
疼痛時:コデイン錠(20mg)1錠追加 1時間あけて1日4回まで
・定期投与、合併症の予防(嘔気
便秘)、レスキュー指示
・NSAIDsは中止しない
・せきがある人はコデインから開始
・パーキンソン症候群
「手が震える」「表情がない」「よ
だれが出る」
→ノバミン飲んでないか確認
→嘔気なければ中止
あればトラベルミンに変更
オピオイド導入
デュロテップパッチ
-オピオイドの知識-
モルヒネ錠、オプソ、アンペック坐薬、オキノーム
パシーフ、カディアン、ピーガード
モルヒネ注、アンペック注、フェンタニル注、パビナール注
MSコンチン、MSツワイスロン、モルペス、オキシコンチン
・徐放剤もずっと同じ濃度ではない
・レスキューの反復時間は1時間
徐放剤もずっと同じ濃度ではない
「薬のむ前になるといたくなるんだよね~」
痛み
痛みが出る
薬の切れ際の痛み
(End-of-dose failure)
分3にする
痛み
分2のまま増量する
(眠気が出ることがある)
受診まで 「痛みが来る時間に、はやめにレスキュー飲んどいていいですよ~」
レスキューの反復時間は1時間
「飲んでもきかな~い」 よくよくきいてみると・・・
①飲んで1時間してもまだ痛い
定期的な薬の効果
痛み
レスキュー
(繰り返して飲んでもいいよ~)
レスキューを2回使う
30分~1時間間隔
レスキューの反復時間
「飲んでもきかな~い」 よくよくきいてみると・・・
②3~4時間効くけどまた痛くなる
痛み
定期的な薬の効果
ベースが足りてないからベースアップ
(受診まで4時間ごとに飲んでもいいよ~)
ベースアップをする
痛み
オピオイド導入
<P.20>
開始の処方
・定期投与、合併症の予防(嘔気、便秘)
レスキュー指示
・NSAIDsは中止しない
投与後のフォローアップ
・投与後数日間、副作用を連携してフォ
ローアップする
・副作用が生じたらすぐに対応する
説明
オピオイド導入
- FAQ -
<P.26>
FAQ 1 嘔吐した
評価・治療
●制吐薬は処方されているか
いいえ →ノバミン(5mg)3錠 分3を処方
はい
・決められたように飲んでいないなら、内服
するよう指導
・制吐薬を追加処方
トラベルミン3錠 分3←「からだ動かすと・・」
±セレネース(0.75mg)1錠 眠前
●嘔吐して食事ができない状況か はい
→輸液
●便秘か
はい →浣腸など
説明 嘔気は通常1~2週間以内に治まる
ことを説明する
オピオイド導入
<P.26>
- FAQ -
FAQ 2 眠気が強い
評価・治療
●オピオイドの使用量が間違っていないか
確認する(パッチちゃんとはがした?)
●呼びかければはっきり覚醒して文章で
会話できるか確認する
できない
→診察を行う
できる
→経過観察
説明 眠気は通常数日以内に治まる
ことを説明する
FAQ 3 意識障害・精神症状を生じた
●オピオイドを中止し、診察を行い評価する
ここまでのまとめ
評価
・ Open-ended questionで一番心配していること、ニードを聞く
・疼痛の評価:
生活への影響と対応のニード(STAS)、持続痛か突出痛か
眠気・嘔気・便秘、レスキューの回数・効果
・患者のニードは、「STAS」を共通言語で使う
・詳しく聞くときは、「疼痛の評価シート」「生活のしやすさの質問票」
治療
・NSAIDs→オピオイド→残存・増強した痛みの対応
・持続痛(定期的な投与)、突出痛(レスキュー)で対応
・副作用対策(嘔気、眠気、便秘)、フォローアップ
ノバミンとトラベルミンをつかいこなす
ワンポイント
・夜間のNSAIDs切れに注意
・アセトアミノフェンを足してみる
・NSAIDsは中止しない
・「レスキューがきかない」ときの2パターン
・ノバミンによるパーキンソン症候群
今日のまとめ
評価
・ Open-ended questionで一番心配していること、ニードを聞く
・疼痛の評価:
生活への影響と対応のニード(STAS)、持続痛か突出痛か
眠気・嘔気・便秘、レスキューの回数・効果
・患者のニードは、「STAS」を共通言語で使う
・詳しく聞くときは、「疼痛の評価シート」「生活のしやすさの質問票」
治療
・NSAIDs→オピオイド→残存・増強した痛みの対応
・持続痛(定期的な投与)、突出痛(レスキュー)で対応
・副作用対策(嘔気、眠気、便秘)、フォローアップ
ノバミンとトラベルミンをつかいこなす
ワンポイント
・夜間のNSAIDs切れに注意
・アセトアミノフェンを足してみる
・NSAIDsは中止しない
・「レスキューがきかない」ときの2パターン
・ノバミンによるパーキンソン症候群