第3回講義 - Faculty Server, Faculty of Economics, Keio

マクロ経済学初級I
第5回講義
第5回講義の目標
• 名目経済変数と実質経済変数を理解する
• 物価指数を理解する
• 経済全体での経済取引の様子を把握する
名目経済変数と実質経済変数
•実質経済変数: 財単位で表された経
済変数
•名目経済変数: 貨幣単位で表された
経済変数
名目GDPと実質GDP
• 名目GDP: 貨幣単位で表されたGDP
• 実質GDP:
ある年を基準年として選ぶ。
基準年の財サービスの価格を用いてそ
の他の年に生み出された最終生産物の総
価値額を計算したものが、実質GDPである。
例1
年
ホットドック ホットドック ハンバーガー ハンバーガー
の価格
の生産量
の価格
の生産量
2001
1
100
2
50
2002
2
150
3
2003
3
200
4
100
150
2001年の名目GDPは 1・100+2・50=200
2002年の名目GDPは 2・150+3・100=600
2003年の名目GDPは 3・200+4・150=1200
例1では
2001年を基準年として、
2001年の実質GDPは 1・100+2・50=200
2002年の実質GDPは 1・150+2・100=350
2003年の実質GDPは 1・200+2・150=500
GDPデフレーター
名目GDP
GDPデフレーター=
実質GDP
×100
実質GDP ×GDPデフレーター= 名目GDP
例1にしたがえば、2001年を基準年として
2002年のGDPデフレーターは
(600/350)・100=1200/7=170
基準年のGDPデフレーターは常に100
消費者物価指数
• 消費者が購入する財サービスの費用の総
合的な尺度 (Consumer Price Index) CPI
• どのように計算されるか?
1.購入される財サービスの組み合わせ
(バスケット)を固定する。
2.バスケットに含まれる財サービスの価格
を各年についてさがす。
3.バスケットの費用を計算する。 各年の
財バスケットにその年の価格をかけて計算
する。
4.ある年を基準年とし、各年の消費者物
価指数を計算する。
ある年のバスケットの費用
×100
ある年の消費者物価指数=
基準年のバスケットの費用
基準年の物価指数は常に100である。
例2
• 財バスケットをホットドック4個とハンバーガー
2個に固定した場合、例1の価格のもとでは、
• 財バスケットの費用は
2001年 1・4+2・2=8
2002年 2・4+3・2=14
2003年 3・4+4・2=20
• 2001年を基準年とすると、各年の消費者物価
指数は、
2001年=100 2002年=175 2003年=250
インフレ率(物価上昇率)
• 物価指数の上昇率がインフレ率である。
例2にしたがえば、2001年から2002年にかけ
175-100
てのインフレ率は
100 ×100=75%
となる。
2002年から2003年にかけてのインフレ率
250-175
は
×100=42.8%
175
となる。
GDPデフレーターとCPIのちがい
• GDPデフレーターは国内で生産されるすべ
ての財の価格を反映するが、
CPIでは消費者によって購入される財の価
格のみを反映する。
• GDPデフレーターでは価格を基準年で固
定するが、
CPIでは財バスケットを固定する。
実質利子率と名目利子率
• 名目利子率:貨幣単位で測った利払率
• 実質利子率:財単位で測った利払い率
フィシャー方程式
実質利子率=名目利子率ーインフレ率
Nominal and real interest rates in the United States,
1960-1998
The inflation rate in the United States, 1960-1998
経済全体の取引活動をどのよう
に把握するか?
• 3種の取引
• 市場:取引の場
• 取引の主体
消費者(家計)
国内 生産者(企業)
政府
海外
貸し手
貯蓄(黒字)主体
借り手
赤字主体
3種の取引
• 現在の財サービスと現在の財サービスの取引
[barter trading]
リスクが無い
• 現在の財サービスと将来の財サービスの取引
[inter-temporal trading]
• 将来の財サービスと将来の財サービスの取引
[asset trading]
リスクがある
信用と金融
• 金融取引
資金の余っている貸し手(lender-saver)から
資金の足りない借り手(borrower-spender)への
資金融通を行う取引。
資産とは何か?
• 将来の財サービスに対する請求権
実物資産
物的資産
人的資産
金融資産 (金融取引によって発生する)
債券
株式
取引の場
• 財サービス市場
• 生産要素市場
• 金融市場 金融取引を行う場
• 資産市場
海外部門
国内
政府
消費
輸入
政府購入
輸出
総生産
GDP
財・サービス市場
生産者
家計
利
子
所
得
投資
労働
生産への
土地
投入 賃金・地代・利潤
要素 資本
所得
生産要素市場
貯
蓄
労働・資本
貸し出し
金融市場
資産市場
借り入れ
利払い