マクロ経済学 I

マクロ経済学 I
イントロダクション
久松佳彰
授業のルール
• 絶対、私語をしない。うるさい場合には授業を
しない⇒「他の学生に迷惑」
• 一回の授業に二度注意された場合には、本
授業の単位は差し上げません。
• 携帯電話は切る。
• 飲料の持ち込みは結構。
• 食事は厳禁。
勉強のルール
• できるだけ指定範囲を事前に読んでおく。
• 授業中はノートをとる。黒板に書かれたことだ
けでなく、講師が喋ったこともメモするとよい。
• 復習は、「ノートが後で読んでわかるかどう
か?」を確かめる。
• 試験勉強はグループ・友達と一緒にすると効
果が上がる。
経済学とは?
• 経済現象を取り扱った学問
• 経済現象とは、財やサービスを生産する、市
場で売り買いする、消費する、所得を稼ぐた
めに働く、労働者を雇用する、貯蓄する、投
資する、などなど。
• これらの経済現象を理解する。
• これらの経済現象の裏にある論理を理解す
る。
• マクロ経済学は「鳥の
目」である。一国経済全
体を見る。
• ミクロ経済学は「蟻(あ
り)の目」である。経済の
個別問題を見る。
成績評価
•
•
•
•
中間テスト(40点)
期末テスト(50点)
宿題&クイズ(10点)
各テストには予想問題を出すつもり。
マクロ経済学 Ⅰ
(第1回)
久松佳彰
経済学者は経済をどう考えているか
• (1)多くの経済問題とはトレードオフの関係で
ある。
– トレードオフ(trade-off): あることを実現しようと
すると、別のことを犠牲にしなくてはならないこと。
– トレードオフが無ければ、経済学は不要。なぜな
ら、好きなだけ生産し消費すればよいから。でも、
資源は希少なので、資源の制約をやりくりしなけ
ればならない。つまり、トレードオフが存在する。
だから、経済学も存在する。
経済学者は経済をどう考えているか
• (2)市場の機能によってより豊かになる
– 市場での自由な活動に委ねれば、もっとも効率
的な生産者のところに資源が集まり、もっとも低コ
ストで生産が行われ、生産された財・サービスは
それを最も必要とする人のところに行く。
– ただし、市場が失敗する場合もある。そのときに
は、政府の役割が重要になる。
経済学者は経済をどう考えているか
• (3)相互作用のメカニズムに触れることなし
に経済現象は理解できない。
– 経済主体や市場の間に様々な形態の相互作用
が働くので、相互作用全体を理解しないといけな
い。
– (例)内需拡大策などの財政政策を行うと、利子
率や為替レートも変化し、それによって民間投資
や貿易、さらには海外諸国にも影響が及ぶ。
– 「風が吹けば桶屋がもうかる」
経済学は世の中の経済問題に深く関
わっている。
• 政府や日銀では経済モデルを使って経済の
予測を行っている。その判断に基づいて、経
済政策を行っている。
• 規制緩和(「構造改革」)の元になる考え方は
経済学である。
• 金融商品の設計は経済学に基づいている。
• 国際機関では経済学者が多い。
• 法律など多方面で経済学が用いられている。
ミクロ経済学とマクロ経済学
• ミクロ経済学
– 個々の市場を分析する。
• マクロ経済学
– 経済全体の大きな動きについて分析する。
– 経済の集計量についての分析である。
– しばしば、一国単位の経済分析である。
経済学を学ぶ目的
• 経済理論の構造を明らかにすることであり、
それによって自分の頭で経済問題について
考える力をつけることが狙いである。
マクロ経済学 I
第2回
久松佳彰
マクロ経済学の見方
• マクロ経済を観察するための基本的な指標
(表1-1)
– GDP(Gross Domestic Product):経済の生産規
模を示す
– 物価指数:物価の水準を示す
– 消費:家計による消費のための総支出額
– 民間設備投資: 企業部門による投資支出額
– 政府支出: 政府の支出規模(政府消費+公共
投資)
マクロ経済学の見方
– 輸出: 日本から海外への財の輸出
– 輸入: 海外から日本への財の輸入
– 貿易収支・経常収支: 海外との財やサービスの
やりとりの収支
– 利子率(金利): 金融資産の収益や貸し借りの
金利を表す指標
– 失業率: 雇用の状況を示す指標
– マネーサプライ(通貨量): 金融市場の状況を示
す重要な指標
マクロ経済学の見方
– 為替レート: 自国通貨と外国通貨の交換比率
– 政府財政収支: 政府の収入と支出の関係を表
す指標
• こうした指標がどのような動きをするのか、相
互にどのような関係をもつのかを明らかにす
る。(例: 景気変動を理解する)
• また、政府・中央銀行の政策を理解する。
ケインズ経済学と新古典派経済学
• ケインズ経済学(ジョン・メイナード・ケインズ)
– 財政政策と金融政策を使って、経済が不況にあ
るときには政策を拡張的に用い、経済が過熱気
味にあるときには政策を引き締め的に用いるとい
う景気の安定化のためにファイン・チューニングを
図る。
• 新古典派経済学(ミルトン・フリードマン)
– 政府のファイン・チューニングには意味ない。小さ
な政府が大事。
マクロ経済学の問題の代表例
生産・雇用への影響
投資拡大
消費拡大
金利
低下
需要増大
(貯蓄減少)
資金流出
雇用増大
所得増加
消費・投資へ
の影響
海外への
生産拡大
物価上昇
円安
輸出増加
輸入減少
貿易・為替レートへの影響
マクロ経済学では
• 経済の諸変数の間の相互依存関係を的確に
とらえることが重要。
マクロ経済の鳥瞰図
• マクロ経済学では通常、家計・企業・政府とい
う三つの経済主体におおまかに分けて分析
を行う。
• 後から、海外部門を追加する。
• 図1-2は、三つの経済主体の間のモノやカ
ネの流れを表している。
• より簡単に家計と企業だけの図を書いてみよ
う(「フロー循環図」)。
フロー循環図
売上
販売された
財・サービ
ス
財・サービス
の市場
支出
•企業は売り手
•家計は買い手
購入された
財・サービス
家計
•財・サービスを購入し
•消費する
•生産要素を所有し
•販売する
企業
•財・サービスを生産し
•販売する
•生産要素を雇用し
•使用する
生産へ
の投入
賃金・賃貸料
・利潤
生産要素市場
•家計は売り手
•企業は買い手
労働・土地
・資本
所得
= 財・サービスの
流れ
= お金の流れ
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経済主体
• 企業(Firms)
– 財・サービスを生産して販売する
– 生産要素を雇用して利用する
• 家計(Households)
– 財・サービスを購入し消費する
– 生産要素を所有し販売する
市場
• 財・サービスの市場
– 企業は売り手
– 家計は買い手
• 生産要素市場
– 家計は売り手
– 企業は買い手
生産要素とは
• 生産要素(Factors of Production)
– 財・サービスを生産するための投入物(Inputs)
– 土地、労働、そして資本
教科書の図1-2の改良版
財・サービス
(投資目的)
財・サービス
の市場
投資支出
財・サービス
売上
財・サービス
の流れ
財・サービス
(政府が使う)
財・サービス
(消費目的)
公共サービス
政府
法人税
家計
税金
賃金・地代・配当
生産への投入
消費支出
政府支出
公共サービス
企業
カネの流れ
所得
生産要素
の市場
労働・土地・資本
モノやカネの流れは密接な関係をもっ
ている
• 例えば、企業の生産する財・サービスの需要
は、
– 家計による消費
– 企業による投資
– 政府による政府支出(公共投資)
• これら三つが企業の生産レベルに影響を与
えることがわかる。
• 相互関係が重要。
GDP(Gross Domestic Product)
• 国内総生産=1年間に日本の国内で生産さ
れた財・サービスの総額
• 2004年の日本のGDPは約○○円
• 日本国内で行われるすべての生産活動が含
まれる。
• GNP(国民総生産:Gross National
Product)との違いに注意!
– 日本の居住者による総生産
– 要素所得を調整するとGNP⇒GDPになる
表1-2
• GDPで経済規模がわかる。
• 一人当たりGDP(GDP÷人口)は、国の豊か
さを表す一つの指標。
– GDPで国の豊かさを測ることの問題点(p.23)
• 読んでおいてね!
• GDPが大きくなること=経済成長(来学期)
GDPと物価(23頁)
• GDPは「額(value)」で表されている。
• 額とは、価格(この場合、物価)×量。
• つまり、生産が上がっても、物価が上がっても
GDPは上がってしまう。
• 経済にとって真に重要なのは、生産量が増え
ること。
• そこで、「実質(real)GDP」と「GDPデフレー
ター」という概念が出てくる。
実質GDPとGDPデフレーター
• 実質GDP=「実際の生産」を表す
• GDPデフレーター=「物価の動き」を表す
• 通常のGDPは「名目(nominal)GDP」と呼ぶ
• 表1-3をよく検討して、実質GDPと名目
GDPの違いを理解しよう!
表1-3の一部分
2001年価格
2001年の
生産量
2001年価格
の金額
衣料品
50
100
5,000
食料品
80
80
6,400
住宅サービス
60
70
4,200
2001年
合計
15,600
2002年価格
2002年の
生産量
2002年価格
の金額
2001年価格
の生産額
衣料品
60
90
5,400
4,500
食料品
80
100
8,000
8,000
住宅サービス
80
80
6,400
4,800
19,800
17,300
2002年
合計
名目GDP、実質GDP、
GDPデフレーター
2001年
2002年
2003年
名目GDP
15,600
19,800
21,400
実質GDP(2001年価格)
15,600
17,300
18,200
100
114.5
117.6
GDPデフレーター
• 実質GDPは○○年価格(基準年)で表される。
• GDPデフレーター
=名目GDP/実質GDP×100
物価の動きを示す指標
• GDPデフレーター: 経済全体の物価動向
• 消費者物価指数(Consumption Price Index:
CPI): 消費者が日常的に購入している商品
の価格から計算される指数(128頁)
– 日本銀行が注目している
• 卸売物価指数(日本銀行は企業物価指数と
改名): 生産者が購入する原材料の価格か
ら計算される指数(128頁)
経済成長率(26頁図1-4)
• 実質GDPの成長率の動きを見ている。
• 成長率の計算
– 記号: Y2000を2000年の実質GDP、Y2001を2001
年の実質GDPとする。
– 定義: 実質GDPの2001年の成長率は
g2001=(Y2001 / Y2000 )-1
実質G D P(
1990年価格、10億円)
600,000
500,000
400,000
300,000
200,000
100,000
1999
1997
1995
1993
1991
1989
1987
1985
1983
1981
1979
1977
1975
1973
1971
1969
0
-2%
-4%
石油ショック
2000
1998
1996
1994
1992
1990
1988
10%
1986
1984
1982
1980
1978
1976
1974
1972
12%
1970
実質G D P成長率
高度経済成長(1950s~70s始め)
バブル期
8%
6%
4%
2%
0%
GDPの分解
• GDPとして生産されたものは、必ずどこかで
利用される。財・サービスの販路(支出面)か
らGDPを分解することができる。
• 通常、経済を四つの部門に分ける。
– 家計部門⇒消費
– 企業部門⇒投資(正しくは民間投資)
– 政府部門⇒政府支出
– 海外部門⇒輸出
支出面から見たGDP
• 次のような恒等式(いつでも成立する式)が成
り立つ。
GDP+輸入=消費+投資+政府支出+輸出
• 左辺はこの経済にある財・サービスの総量を
示し、右辺はそれらがどのように利用される
かを示している。
支出面から見たGDP
GDP+輸入=消費+投資+政府支出+輸出
しばしば、次のように書き換えられる
GDP=(消費+投資+政府支出)+(輸出-輸入)
内需
外需
付加価値から見たGDP
• 産業毎にGDPを分解する方法
• GDP=産業毎の付加価値の総計
• 付加価値=それぞれの産業でネットに生産さ
れた価値=生産額-原料・材料の額
所得分配から見たGDP
• それぞれの産業で造り出された付加価値は
所得として労働者や資本家や土地保有者に
分配される。
• つまり、全ての所得の合計はGDPである。
• GDP=所得の総計
三面等価の原則
• 支出面、生産面、分配面において計算される
GDPはすべて等しいこと。
教科書の図1-2の改良版
財・サービス
(投資目的)
財・サービス
の市場
投資支出
財・サービス
売上
財・サービス
の流れ
財・サービス
(政府が使う)
財・サービス
(消費目的)
公共サービス
政府
法人税
家計
税金
賃金・地代・配当
生産への投入
消費支出
政府支出
公共サービス
企業
カネの流れ
所得
生産要素
の市場
労働・土地・資本
フローとストック
• フローとは、一定期間(例えば2002年)の間
に生じる量
– 例えば、GDPは一年間を通じて生み出される付
加価値の量だから、フローの数字である。
– 消費、投資、政府支出、輸出もフロー。
• ストックとは、ある一時点(例えば2003年10
月27日)に存在する量
– 例えば、人口はストックの数字。
– 貨幣量、資本ストック、在庫量などもストック。
フローとストック
• お風呂のお湯の例
– 蛇口から入ってくる水やバスタブから流れ出る水
の量はフローです。
– バスタブにたまっている水の量はストックです。
• フローはたとえば1分間にどれだけ流れたか
たで測る。(一定時間)
• ストックは、現時点で水がどれだけたまってい
るかで測る。(ある一時点)
例題
• 太郎君は11月17日時点でa8万円の貯金を
持っている。
• 太郎君は年末のアルバイトでb6万円稼いだ。
• 太郎君はその結果1月10日時点でc14万円の
貯金を持っている。
• その後、太郎君は貯金をd1万5千円使って、
新しい携帯電話を購入した。
• 答え: フロー=(b, d); ストック=(a, c)
演習問題
• 31~33頁の演習問題は、自分で解いてみる。
497頁に答えがあるので、自分で正解が出せ
るようにすること。