18.生産要素市場 <キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物 生産要素市場 生産要素とは財・サービスの生産に用いる投 入物である。 生産要素への需要は派生需要( derived demand )である。 企業の生産要素需要は、生産物を供給する という意思決定から派生( is derived from )す る。 18.生産要素市場 2 1.企業の労働需要 労働市場は、経済の他の市場と同様、需要と 供給の作用に支配されている。 多くの労働サービスは、消費者が享受する最 終財ではなく、むしろ他の財の生産に向けら れる投入財である。 生産関数( production function )とは、生産 に用いる投入物の量と産出物の生産量との 関係を表す。 18.生産要素市場 3 図18-1 何にでも利用可能な需要と供給 (a) りんごの市場 (b) りんご農作業者の市場 りんごの 価格 りんご農 作業者 の賃金 供給 P 供給 W 需要 需要 0 Q りんこの量 0 L 農作業者数 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 表18-1 どのように競争企業は雇用者数を決定するか Copyright©2004 South-Western 図18-2 生産関数 りんごの量 生産関数 300 280 240 180 100 0 1 2 3 4 5 りんごの 農作業者数 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 生産関数と労働の限界生産物 労働の限界生産物( marginal product of labor )とは、追加的な1単位の労働の投入に よる産出量の増加である。 - MPL = Q/L - MPL = (Q2 – Q1)/(L2 – L1) 18.生産要素市場 7 生産関数と労働の限界生産物 限界生産物逓減 - 労働者数が増加するにつれて、労働の限界生産 物は減少する。 - より多くの労働者が雇われるにつれて、それぞれ の追加的な労働者は以前に雇われた労働者より も生産に対してより少なく貢献する。 - 生産関数の傾きは労働者数が増加するにつれて 緩やかになる。 - この特徴は限界生産物逓減( diminishing marginal product )と呼ばれる。 18.生産要素市場 8 生産関数と労働の限界生産物 限界生産物逓減とは、投入物量が増加する につれて、投入物の限界生産物が減少する という特徴のことである。 限界生産物の価値(Value of Marginal Product of Labor)とは、投入物の限界生産物 に産出物の市場価格をかけたものである。 VMPL = MPL P 18.生産要素市場 9 図18-2 生産関数 りんごの 量 生産関数 300 280 240 180 100 0 1 2 3 4 5 りんごの 農作業者数 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 限界生産物の価値と労働需要 限界生産物の価値、もしくは限界収入生産物 ( marginal revenue product )はドル(もしくは 、円)という通貨価値で測られる。 財の市場価格は一定なので、労働者数が増 加するにつれて限界生産物の価値は小さくな る。 18.生産要素市場 11 限界生産物の価値と労働需要 利潤を最大化するために、競争的かつ利潤 最大化をはかる企業は、労働の限界生産物 の価値が賃金と等しくなるまで労働者を雇う。 VMPL = Wage 限界生産物価値の曲線は、競争的・利潤最 大化企業の労働需要曲線となる。 18.生産要素市場 12 図18-3 労働の限界生産物の価値 限界 生産物 の価値 市場 賃金 限界生産物の価値 (労働需要曲線) 0 利潤最大化数 農作業者数 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning コラム—投入物需要と産出物供給 競争的な企業が限界生産物価値が賃金と等 しくなるまで労働を雇用するとき、同時に、企 業は価格が限界費用に等しくなるまで生産を している。 18.生産要素市場 14 なにが労働需要曲線をシフトさせるか? 産出物価格 技術進歩 その他の生産要素の供給 18.生産要素市場 15 労働供給 労働供給曲線が表しているのは、機会費用 の変化に労働と余暇のトレードオフについて の労働者の意思決定がどのように反応する かである。 右上がりの労働供給曲線が意味しているの は、賃金の上昇によって労働者は労働供給 量を増加させるということである。 18.生産要素市場 16 図18-4 労働市場の均衡 賃金 (労働の 価格) 0 供給 労働量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 何が労働供給曲線をシフトさせるか? 嗜好の変化 代替的な機会の変化 移民 18.生産要素市場 18 労働市場の均衡 賃金は労働の需要と供給をバランスさせるよ うに調整する。 賃金は労働の限界生産物の価値と等しくなる 。 労働供給と労働需要は均衡賃金を決定する 。 労働需要曲線と労働供給曲線のシフトは均 衡賃金を変化させる。 18.生産要素市場 19 図18-4 労働市場の均衡 賃金 (労働の 価格) 供給 均衡賃金 W 需要 0 労働量 均衡雇用量 L Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 図18-5 労働供給のシフト 賃金 (労働の 価格) 1. 労働供給が 増加すると、 供給、 S S W W 2. 賃金が 下落して 需要 0 L 労働量 L 3. . . . 雇用量が増加する Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 労働供給のシフト 労働供給の増加は、 - 労働の増加をもたらし、 - 賃金への下向きの圧力をかけ、 - 企業がより多くの労働者を雇用することが利潤を 生むようになり、 - 限界生産物が逓減し、 - 限界生産物の価値を下げ、 - 新しい均衡をもたらす。 18.生産要素市場 22 図18-6 労働需要のシフト 賃金 (労働の 価格) 供給 W 1. 労働需要が 増加すると、 W 2. . . . 賃金が 上昇して . . . D 需要, 0 L L D 労働量 3. . . . 雇用量が増加する。 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 労働需要のシフト 労働需要の増加は、 - 企業がより多くの労働者を雇用することが利潤を 生むようになり、 - 賃金へ上向きの圧力をかけ、 - 限界生産物価値を上昇させ、 - 新しい均衡をもたらす。 18.生産要素市場 24 表18-2 アメリカにおける生産性と賃金の成長 Copyright©2004 South-Western 他の生産要素:土地と資本 資本(Capital) とは、財・サービスの生産に使 用される設備と建造物のストックを指す。 - 経済の資本とは、新しい財・サービスを生産する ために現在利用されている、過去に生産された 財の蓄積を表す。 18.生産要素市場 26 他の生産要素:土地と資本 土地と資本の価格 - 購入価格とは、その生産要素を無期限に所有す るために支払われる価格である。 - レンタル料とは、ある限定された期間にその生産 要素を使用するために支払われる価格である。 18.生産要素市場 27 土地と資本の市場の均衡 土地のレンタル料と資本のレンタル料は、供 給と需要で決定される。 - その生産要素の限界生産物価値が生産要素価 格と等しくなるまで企業はその生産要素の利用を 増加させる。 18.生産要素市場 28 図18-7 土地と資本の市場 (a) 土地の市場 土地の レンタル 料 (b) 資本の市場 資本の レンタル 料 供給 P 供給 P 需要 需要 0 Q 土地の面積 0 Q 資本量 Copyright©2003 Southwestern/Thomson Learning 土地と資本の市場の均衡 それぞれの生産要素のレンタル価格は、その 限界生産物価値と等しくならなければならな い。 それぞれの生産要素は、生産過程への限界 寄与度の価値を所得として得る。 18.生産要素市場 30 生産要素間の関係 生産要素は合わせて利用される。 - どの生産要素の限界生産物も、利用可能な全て の生産要素量に依存する。 一つの生産要素の供給の変化により、全て の生産要素の所得が変化する。 どの生産要素の所得の変化も、その生産要 素の限界生産物価値におきた変化を分析す ることによって説明することができる。 18.生産要素市場 31 要約 経済の所得は、生産要素市場において分配 される。 三つの最も重要な生産要素は労働と土地と しほんである。 労働のような生産要素に対する需要は、生産 用を使用して財・サービスを生産する企業か ら生じる派生需要である。 18.生産要素市場 32 要約 利潤最大化する競争企業は、生産要素の限 界生産物の価値が価格に等しくなる点まで各 生産要素を雇用する。 労働供給は、労働と余暇の対する個人のトレ ードオフから発生する。 右上がりの労働供給曲線は、人々が余暇を より少なく享受し、より長い時間働くことによっ て賃金上昇へ反応していることを意味してい る。 18.生産要素市場 33 要約 各生産要素に支払われる価格は、その生産 要素の需要と供給が釣り合うように調整され る。 生産要素需要は、その生産要素の限界生産 物の価値を反映するので、均衡においては 財・サービスのせいさんへの限界寄与度に従 って各生産要素に報酬が支払われる。 18.生産要素市場 34 要約 生産要素は合わせて使用されるので、どの 生産要素の限界生産物も利用可能なすべて の生産要素の数量に依存する。 その結果、一つの生産要素の供給量の変化 によってすべての生産要素の均衡所得が変 化する。 18.生産要素市場 35
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