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重不況の経済学 -第3章 2節-
漏出からみた「貨幣の流通速度」
09BA386N 長谷川雄紀
1 漏出と貨幣の流通速度
• 貨幣の流通速度
簡単には、お金が経済取引に年間何回
使用されるかを表すもの。
⇒「名目GDP/マネーサプライ」であらわされる。
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1 漏出と貨幣の流通速度
セイ・サイクルからの漏出が超過するのに応じて、
貨幣の流通速度は低下する
貨幣の流通速度の計算には、一般に名目GDPが使われ、
セイ・サイクルを前提とした新古典派側からみれば、貨幣の流通速度低下
セイ・サイクルの取引はGDPにカウントされる取引であるため
はパラドックスだが、
両者は一致する。
「漏出・還流モデル」の視点から考えれば「セイ・サイクルから漏出がある」
一方セイ・サイクルから漏出する資金は、GDPにカウントさ
という視点と整合的であり、妥当性を証明する材料の一つといえる。
れない取引に使われるため、漏出した資金は貨幣の流通速
度にもカウントされない。
流通速度の低下=漏出の超過
流通速度の上昇=還流の超過
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1 漏出と貨幣の流通速度
貨幣の流通速度(名目GDP/マネーサプライ)
②
③
⑤
➀
➃
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2 ヴェルナーの貨幣流通速度低下原因解明
交換方程式(フィッシャー)
MV=PY
⇔V=PY/M
ヴェルナー
…今日では、「交換方程式」の右辺の代わり
に名目GDPが使用されていることが問
題!!
(M:マネーサプライ V:貨幣の所得流
通速度 P:物価水準 Y:数量ベースの
産出量(または実質国民所得))
M V = 名目GDP
⇔ V = 名目GDP / M
GDPは取引のすべてをカバーしていない!
→本来「取引の際の支払額×取引の数」であるべき右辺にGDPを使うと土地取引等の取
引の一部が抜けてしまい、左辺と右辺の対象範囲が異なってしまう。
マネーサプライの定義を再検討し、「信用総額から三大バブル業種または四大バブル業
→「貨幣流通速度」は計算上低下して見える。
種の信用量を除いた実物取引における流通速度は驚くほど安定している」ことを実証し
た。(ヴェルナー)
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3 貨幣の流通速度の低下問題は
「漏出・還流モデル」の枠組みに吸収される
GDPにカウントされる取引とGDPされない取引を
分離するという視点(ヴェルナー)
セイ・サイクル財とそれ以外を区分するという、
漏出・還流モデル(重不況の経済学)
土地取引などGDPから除外されている取引は、セイ・サイクルの対象からも
除外されており、漏出に関わる取引の中に包含されている。
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4 変化率が小さい要因の排除問題
①セイ法則やそれに関連した「供給と需要は常に一致する」という視点が
根強く、そこに抵触する部分に視野が及ばなかった点がある。
②新古典派には、基礎的な仮定が誤っていたとしても、
それを元に組み上げられた理論体系全体が事象をよく説明できて
いれさえすればよいという観点が根強く、理論体系の基礎をみると
いう視点が弱いと考える。
③一見重要性が低いようにみえる要因を軽視する傾向がある。
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論点
設備投資の現状と今後
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