15章 パクス・アメリカーナの時代 • • • • 1 2 3 4 2013-15 アメリカの戦後構想とIMF体制 IMF体制の成立と発展,ドル危機 固定相場制の崩壊と変動相場制 パクス・アメリカーナの再編とドル MohriR 1 15-0パクス・アメリカーナの成立 • 定義:アメリカの力による世界秩序の維持.自 由・無差別・多角主義(英仏押え込み) • 経済力・軍事力・政治力;ソフトパワー • 貿易:GATT(貿易・関税に関する一般協定) • 通貨制度:IMF(International Monetary Fund 国 際通貨基金) 金ドル交換制+固定相場制 • 援助:世界銀行(International Bank for Reconstruction and Development),2国間援助 • 軍事:NATO,日米安全保障条約,etc.東西冷戦 2013-15 MohriR 2 15-1アメリカの戦後構想とIMF体制 15.1.1米国の戦後構想とブレトン・ウッズ会議 • 米ホワイト案 ①国際通貨ユニタス,②基金による赤字国 への短期融資,50億ドル規模,③通貨価 値の変動は基礎的不均衡のある時のみ, ④経常取引自由化,資本取引制限認める • 英ケインズ案 ①国際通貨バンコール(換金不可),②清算同 盟による多角的決済,260億ドル規模,③ 赤字国と黒字国双方に課徴金,④同上 2013-15 MohriR 3 15.1.2 IMF体制の基本的仕組み • 加盟国は金またはドル(1オンス=35ドル)で自国 通貨を表示 • 平価を基準にして為替相場を上下1%の範囲内 に固定 • 平価の変更はIMF理事会の承認事項 • 加盟国はクオータの25%を金,残りを自国通貨 で拠出(基金方式)し,経常収支赤字のとき短期 融資を受ける.ただし後にコンディショナリティ • アメリカは外国通貨当局に対し,金1オンス=35ド ルの比率で,金ドル交換を約束(紳士協定) 2013-15 MohriR 4 15-2IMF体制の成立と発展 15.2.1 ドル不足とマーシャル・プラン • IMFは1947年3月に連合国39か国で業務開始 • 武器貸与法 467億ドル 返済不要 対英特別借款 37億5000万ドル特別に 欧州復興計画(マーシャル援助)102億ドル • 西欧主要12か国 貿易黒字でドル不足を 克服,対ドル交換性回復1958/12 同 IMF8条国移行 1961 2013-15 MohriR 5 15.2.2 ドル不足からドル過剰へ • 西欧復興し,1958以降,金ドル交換増大 • アメリカからの金流出急増 • 主要諸国の対米金請求 フランス,スイス,イタリア (金選好) イギリス (ポンド危機) 西ドイツ,日本 (対米従属) 2013-15 MohriR 6 15.2.3 ドル危機の発生とドル防衛 • ドル危機の展開 アメリカ貿易黒字の減少 海外直接投資,投融資の増大 海外軍事支出の増大 • ゴールド・ラッシュ→金価格高騰 • ドル防衛政策 ①スワップ協定,②GAB(一般借入協定),③IMF増資, ④ローザ・ボンド,⑤金プール協定,⑥金利平衡税,対 外投融資規制,⑦対外援助の他の先進国への肩代わり 2013-15 MohriR 7 15.2.4 ドル危機の深刻化 • 1968年3月 金プール協定崩壊→二重 価格制(ロンドン金市場価格高騰) • 1967年11月 ポンド危機と切下げ • 1968年11月 マルク買い・フラン売り投 機 2013-15 MohriR 8 15.3.1 ニクソン・ショックと スミソニアン協定 • 1971/8/15 ニクソン 金ドル交換停止 各国は為替市場を閉鎖,介入放棄 日本は円売り・ドル買い介入を継続 (→過剰流動性発生し,狂乱物価へ) • 1971/12 スミソニアン協定 ドル切下げ 金1オンス=38ドル, 円切り上げ(最大幅)308円←360円 変動幅を上下2・25%に拡大 2013-15 MohriR 9 15.3.2 変動相場制への移行と その合法化 • 金ドル交換停止→黒字国ドル買い介入停止→ド ル下落放置→変動相場制 • ミルトン・フリードマンらの変動相場制の主張 ①国際収支の自動調整,②独自の財政・金融 政策の採用,③市場メカニズムによる資源の 最適配分,④為替投機の終息 • 石油ショック ←産油国のドル下落への対応 • 1976年 キングストン会議 各加盟国は為替相 場制度を自由に選択できる 2013-15 MohriR 10 15-4パクス・アメリカーナの再編とドル 15.4.1 アメリカの国際収支赤字と プラザ合意 • 金ドル交換停止→アメリカ国際収支節度弛緩→ 経常収支赤字拡大,1974年資本流出入規制 撤廃(オイル・マネー流入促進) • スタグフレーション(停滞+インフレ) • レーガノミクス第1期 高金利・ドル高の強い米国 • 1985年9月 プラザ合意 ①ドル高是正→ドル安・円高,マルク高で経赤縮小 ②国際協調利下げ(ドル円の金利格差維持)→資本収 支黒字維持を狙う 2013-15 MohriR 11 15.4.2 パクス・アメリカーナの再編 と「アメリカの再生」 • 東西冷戦の終結 • クリントン(民主党)政権でITやハイテク・金融部 門強化→パクス・アメリカーナ再編. 米国は「帝国循環」の中心になる.経常収支赤字 を超える資本流入→米株式市場活性化→外国の 高収益部門への投資 • 1995年,WTO(世界貿易機関)誕生←GATT. ①サービス,②農産物,③知的所有権など米国 の比較優位部門で国際通商ルール化. 2013-15 MohriR 12 15.4.3 パクス・アメリカーナの行方 • 米国 1987年に世界最大の純債務国に転化. 再生産には巨額の資本流入が必要.東アジ ア諸国,産油国や中南米,アフリカ諸国も米国向 け輸出に依存. • 2008年 住宅投機・金融派生商品への投機に よるバブルが崩壊→世界金融危機. • 投資家や金融機関は現金を求めて金融資産 を売却→本国へ送金→世界市場で株価・為 替が暴落→世界各国で財政金融政策総 動員→G20など新興国発言力増大. 2013-15 MohriR 13
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