3 外国為替市場と 外国為替相場

2-1-1 外国為替市場の構成
• 自国通貨と外国通貨との交換
• 外国為替市場の参加者
銀行の顧客(企業や個人)
銀行 為替売買益を生み出すため取引
為替ブローカー 仲介で手数料
中央銀行 動きを制御するため介入
• 対顧客市場
• 銀行間市場
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2-1-2 24時間市場
• 2010年4月 世界の1営業日平均外為取引高は3
兆9810億ドル
• ロンドン,ニューヨーク,東京市場
香港,シンガポール,チューリヒ,パリ,フランクフ
ルト,サンフランシスコ,シドニー
電話回線,テレックスでつながれたオープン市場,
世界のどこかで24時間動く.
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2-1-3 銀行間市場(インターバンク市場)
• 対顧客市場
• 銀行間市場
ブローカー経由取引
銀行間直接取引
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2-1-4 銀行の為替持高操作と
資金操作
• 対顧客取引から生じた特定の外貨に関す
る買越し・売越しを内部で,銀行間市場で
調整
「持高」
「買持ち」「売持ち」「スクエア」
• 対顧客取引から生じた外貨と円の資金の
過不足を内部で,銀行間市場で調整
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2-1-5 中央銀行の介入
• 市場介入(為替平衡操作) 相場の乱高下
や一方向への偏った動きを抑制する
• 日本銀行が,大蔵省の資金(外為資金特
別会計)を用いて代理で行う.
• ドル買い(売り)介入→外貨準備増(減)→
マネタリーベース増(減)
• 口先介入(アナウンスメント効果)
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2-2-1 為替相場の表示
• 自国通貨建て($1=\100)表示
外国通貨建て(\1=$0.01)表示
• 基準相場(対ドル相場),裁定(クロス)相場
■2-2-2 銀行間相場と対顧客相場
・銀行間相場:基本的に時々の需給で変動
・対顧客相場:外貨の売り相場と買い相場の
差が銀行にとっての利ザヤ
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2-2-3 直物相場と先物相場
2-2-3-1 直物 spot 取引と先物 forward
•
•
•
•
取引
直物相場 2営業日後に資金の受渡し
先物相場 輸出業者は代金の受取時期に
あわせて先物予約をし,円受取額を確定
する.リスク・ヘッジ risk hedge
アウトライト取引 outright transaction
スワップ取引 swap transaction 外貨の直
物売りと先物買い,直物買いと先物売りな
ど反対方向の取引と組み合わせる
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2-2-3-2 直先スプレッドと金利差
金利裁定取引
• 直先スプレッド 対顧客市場では相場を金
額で表示するが,銀行間市場では相場の
差で表示する.
• 先物プレミアム,先物ディスカウント
• 金利裁定取引
金利差=(先物相場ー直物相場)/直物相
場x(12ヶ月/月数)
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2-2-4デリバティブ(金融派生商品)取引
2-2-4-1通貨オプション取引
• 将来一定の条件で金融資産を買う権利(コール
オプション),売る権利(プットオプション)の店頭
市場における相対取引.
• 先物は売買契約の義務.オプションでは,不利
益を被る場合には権利放棄できる.
• 損失は権利を得るために支払われたオプション
料=プレミアム以上にはならない.
• プレミアムを決定する要因:①原資産価格,②権
利行使価格,③金利,④満期までの期間,⑤原
資産のボラティリティ(変動度合い).
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2-2-4-2 通貨先物取引 future
• 金融先物取引所で,取引単位,引渡期日
など規格化された商品で取引される.
• 期日前に差金決済も可能,契約に際して
一定の証拠金の積立が求められる.相場
変動で証拠金が不足すれば,追証が必要.
2-2-4-3 通貨スワップ
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2-3-1 為替相場の決定理論
フロー中心からストック中心へ
• 金本位制では,各国貨幣価値の比率.
• 為替相場を決定するフローの外貨需給は,
国際収支差額による.財・サービス取引,
資産取引から発生する外貨需給を反映し,
銀行間市場における直物相場が中心.
• 経常取引重視では,購買力平価説(中期).
• 資本移動の自由化→異なる通貨建ての資
産の持替え→アセット・アプローチ(短期).
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2-3-2 購買力平価説
PPP: Purchasing Power Parity
• 一物一価の法則 価格差を利用した裁定取引により,内
外の財市場では同一の財が同一の価格で取引される力
が働く(貿易財の物価).
• 自動車1台日本で120万円,米で1万ドルのとき,為替相
場は$1=\120となる.
• 絶対的購買力平価による相場=日本の物価(円表示)/
アメリカの物価(ドル表示)
• 相対的購買力平価による相場の変化率=日本の物価上
昇率ーアメリカの物価上昇率
• 均衡為替相場=基準年の為替相場x(日本の物価指数
変化÷アメリカ物価指数変化)
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2-3-3 アセット・アプローチ
(1)カバーなし金利平価
• 国際金融市場でリスク負担能力のある多くの
投資家が投資を行うとき,各通貨建て資産の
収益率が為替相場の決定に重要.
• 内外資産の完全代替性の仮定
日本の金利=アメリカの金利+(為替相場予
想値ー現在の為替相場)/現在の為替相場
• 日本の金利=アメリカの金利+円の予想減価
率+リスクプレミアム
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2-3-4 アセット・アプローチ
(2)オーバーシューティング・モデル
• 為替相場は長期的には購買力平価へ回帰する
(回帰的予想).
• しかし財市場における物価調整が緩慢なため,
為替相場が長期的均衡値を一時的に乖離する
状況が発生する overshooting.
• 日本の金融緩和→金利すぐに低下+物価穏やか
に上昇.円建て資産収益率は左シフト→円の減
価予想→収益率曲線右シフト→為替相場も長期
均衡水準に収束.
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