4章 標本分布 (Sampling Distributions) 4.2 標本平均の分布(続) ■ポアソン確率変数の和の分布 (テキスト:例4.3) 0.3 p (x ): 0.2 0.3 X=2 p (y ): 0.2 Y= 3 0.1 0.1 0.0 0.0 x 0 2 4 6 y 0 8 2 4 6 8 Z= 5 X+Y=Z 0.3 X, Y が独立 p (z ): 0.2 0.1 0.0 z 0 2 4 6 8 10 12 10 定理 ポアソン分布の再生性 X ~ ポアソン分布(平均 λX ) Y ~ ポアソン分布(平均 λY ) X, Y が独立なら Z=X+Y ~ ポアソン分布(平均 λZ = λX + λY ) pZ ( z ) p x yz XY ( x, y ) pX ( x) pY ( y) x yz 独立な時 z pX ( x) pY ( z x) x 0 5 4 3 2 1 0 0 1 2 3 4 ( z 0,1,2,) 5 X x X Y z x Y pX ( x) pY ( z x) e e x 0 x 0 x! ( z x)! z e z ( X Y ) z X Y x z x x!( z x)! x 0 e ( X Y ) Cx z 1 z z! x z x X Y z! x 0 x! ( z x )! ( X Y ) z ( X Y )z ( X Y ) e z! ( z 0,1,2,) 系 ポアソン分布母集団からの 標本合計値の分布 X1, X2, …, Xn が互いに独立に、同平均 E[Xi] = λ (分散 V[Xi] = λ ) (i = 1, …, n) のポアソン分布にしたがう時 その和(標本合計値) S = X1 + X2 + … +Xn ~ ポアソン分布(平均 nλ ) (証明) n = 2 として前の定理を使い、 その和と X3 との和に再び前の定理を使えば n = 3 が証明される(以下同様)。 ■正規確率変数の和の分布 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 X= 3 2 X =1 x 0 2 4 6 8 Y =5 2 Y =2 y 0 2 4 6 8 10 X+Y=Z X, Y が独立 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 Z=8 2 Z =3 z 0 2 4 6 8 10 12 14 定理 正規分布の再生性 X ~正規分布(平均 μX 、分散 σX2 ) Y ~正規分布(平均 μY 、分散 σY2 ) X, Y が独立なら Z=X+Y ~正規分布(平均 μZ = μX + μY 、 分散 σZ2 = σX2 + σY2 ) (証明) 証明は途中の式が複雑になるため、以下 では導出原理を見るために、X, Y が標準正 規分布にしたがう時、和 Z = X + Y の分布が 正規分布になることを導く。 f ( x ; , ) 2 平均 μ 分散 σ2 の正規分布の 確率密度関数 f ( z ; z , ) 2 Z f ( x ; 0, 1) f ( z x ; 0, 1) dx 1 2 2 1 1 1 exp 2 x exp 2 z x dx 2 2 1 2 2 1 exp 2 x z x dx 2 1 2 2 1 exp 2 2 x 2zx z dx 2 2 2 1 z z 1 exp 2 2 x dx 2 2 2 1 2 1 2 1 2 2 2 z z 1 exp 2 2 x 2 2 dx 2 2 1 x z/ 2 z exp 2 1 / 2 2 dx 2 2 1 z 1 x z/ 2 exp 2 dx exp 2 1/ 2 2 平均z / 2 分散 1 / 2 の正規分布密度の 指数部の積分値 2 1 / 2 2 1 1 z exp 2 f ( z ; 0, 2) 2 2 2 系 正規分布母集団からの 標本合計と標本平均の分布 X1, X2, …, Xn が互いに独立に、同じ 平均 E[Xi] = μ , 分散 V[Xi] = σ2 (i = 1,…,n) の正規分布にしたがう時 標本合計 S = X1 + X2 + … +Xn ~ 正規分布(平均 nμ , 分散 nσ2 ) 標本平均 X n1 X1 X2 Xn n1 S ~ 正規分布(平均 μ , 分散 σ2/ n ) ■有限母集団からの標本平均 (非復元抽出) 母集団サイズ = N 1 1 2 μ x x x σ 2 N 母平均 母分散 N 1 N 2 x μ i N i 1 標本サイズ = n σ V[ X ] σ n 2 標本平均値の分散 2 X N n N 1 有限母集団修正項 (FPC: Finite Population Correction factor) 実際的な目安 「標本抽出率(= n / N)が 5% (または 2%) 以下な ら、有限母集団修正項(FPC) は無視しても良い」 4.3 大数の法則 (Law of Large Numbers) 密度 3.5 3.0 2.5 標本平均値の分布 標本平均の分布 平均 n = 64 E[ X ] μX μ 2.0 分散 σ V[ X ] σ n 1.5 1.0 0.5 0.0 2 2 X n = 16 n=4 x 定理 4. 3 チェビシェフの不等式 任意の実数 λ > 0 標準化された確率変数 Z P Z ≧ ≦ 1 2 X 1 標本平均値 P ≧ ≦ 2 / n n c c と置くと n P X ≧c ≦ 2 nc2 定理 4. 4 大数の法則(数学的) 「標本平均値が、母平均 μ から任意の実数 c > 0 以上隔たる確率」 P X ≧c ≦ 2 nc 2 は、標本サイズ n が大きくなるにつれて、 ゼロに収束する。 lim P X ≧c 0 n 標本平均 X は μ に確率収束する 4.4 中心極限定理 (Central Limit Theorem) 一様分布母集団からの 標本平均値の分布 密度 右歪分布母集団からの 標本平均値の分布 密度 4.0 3.0 n =5 3.5 n =5 3.0 n =4 n =4 2.5 n =3 2.0 n =3 2.5 n =2 n =2 2.0 1.5 1.5 1.0 n =1 n =1 1.0 0.5 0.5 0.0 0.0 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 x x 中心極限定理(直感的) 平均 μ 分散 σ2 の分布を持つ母集団からの 無作為標本において、 標本平均値の確率分布は、標本サイズ n が大きくなるにつれて、正規分布に近づく。 定理 4.6 中心極限定理(数学的) 平均 μ 分散 σ2 の分布を持つ母集団からの 無作為標本において、標本平均値は、標準 化した統計量 Xμ n Z X μ σ σ/ n の確率分布が、標本サイズ n が大きくなる につれて、(標準)正規分布に近づく。
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