平成26年度 2年目研修 授業実践記録 つけたい力を明確にした国語の授業づくり 1 テーマ設定の理由 昨年度の授業実践のテーマは「充実した言語活動を通して、生徒が主体的に学ぶ授業づくり」であっ た。振り返ってみると、手応えのある単元とそうでない単元、また学年による手応えの差があったよう に思う。学習指導要領の各学年の目標及び内容の系統表の扱いも実際あいまいになっていなかっただろ うか。こういった反省を踏まえ、今年度は、なぜその言語活動を設定するのかといった「つけたい力」 を明確にした授業づくりを心がけていきたい。 今年度のテーマは、福井ブロック国語部会の研究主題と同様である。 「読む」領域の研究授業をするこ とになったため、福井ブロック国語部会の研究主題とあわせて、自身の課題解決に向けた授業実践を心 がけていきたい。部会内では、 「国語科の目標は学習内容を示したものになりがちで、その結果、授業で どのような学力を育てていくのかということがあいまいになりやすい」と分析されている。 「この力をつ けるためにこのような学習活動を行う」「生徒の実態に即したより適切な学習活動の開発」、学習指導要 領の目標及び内容に沿って「何を学ぶのか」、「どのような国語の力を育てることを目的とした授業なの か」といった授業の狙いを絞って授業づくりをしてきたい。 2 実践内容(3単元) (1)単元 2年生 説明的文章「やさしい日本語」 (2)指導計画や実践のねらい、単元構想 教科書会社による指導事項配列表を参考にしながら、主体性や言語活動といった言葉に踊らされず、 生徒の興味・関心を高める内容、生徒の学びや言語活動のもとになるものを考え、授業づくりを心がけ た。 「読むこと」については、テキストから得た情報を自分の中に蓄積するだけでなく、自分の思考を他 者に発信する言語活動が重要となっているため、筆者が本文を通して伝えたかったことを読み取り、自 分の考えを持ち、グループで考えを交流させる活動を取り入れた。奇をてらった言語活動ではなく、基 本的な言語活動を通して、つけたい力(目標)に向かって授業づくりをしていった。 目標①「文章全体と部分の関係、例示の効果などを考え、内容の理解に役立てることができる。」 読むこと(1)イ 目標②「文章に表れているものの見方や考え方について、知識や体験と関連付けて自分の考えを持つ ことができる。 」 読むこと(1)エ 言語活動「筆者が本文を通して伝えたかったことを読み取り、自分の考えを持とう」 (3)授業の実際 本文プリントを用意して、一読法で学習を進めていった。接続詞にチェックを入れるなど、筆者の主 張が書かれている部分に線引きをすることで要旨を捉えていった。たとえば、逆接の接続詞にチェック を入れ、続く文には筆者の主張が書かれていることが多いので線引きをするといった具合である。 「筆者の主張(本文を通して言いたかったこと)は何であると読み取ったか」という課題に対しては、 ほぼ全員が結論の段落の言葉を用いてまとめられていた。しかし、 「そう考える根拠」は本文に書かれて いることから自分の考えをまとめるのではなく、「『~ではない』の後には、筆者の主張が書かれている から」などといった型を理由にまとめている生徒が多く、こちらのねらいが外れてしまった。型を押さ え、キーセンテンスを理解し、それらを参考にして筆者の考えや思いを読み取っていくというアプロー チをねらったのだが、大半の生徒が「型」のみの根拠で読み取りを行っていた。筆者の思いを中心に読 み取っていく授業ではなく、 「型」を押さえ読み取っていった授業で、課題の記述で筆者の思いを求めて いる。そういった矛盾があった。 その後のグループでの話し合いの課題は、 「①読み取ったこと、考えたことを交流することで論旨を確 かめ合う②日常の場面でうまく伝えられなかった体験を話し合う」とした。①については先に述べた記 述でのつまずきがあったため、どのように意見を交換し、メモをとればよいのかわかりにくそうであっ た。②については各グループで活発な話し合いが行われた。 学習のまとめとして、直前のグループでの話し合いを受けて、 「一段落目に筆者の主張についてあなた が考えたこと、二段落目に知識や体験と関連付けて、今後どのような工夫で人に情報や思いを伝えるか を 200 字以内で書きなさい」という課題作文を書かせた。生徒たちの作文には、 「友達との会話」 「帰り の会での係連絡」「お年寄りとの会話」「知らない用語が出てきて話の内容が理解できなかったこと」な どの体験と関連付けて、 「声の大きさ」 「ゆっくり、はっきり話す」 「ジェスチャーを使う」といった技術 的なこと、「受け取る側の気持ちを考えながら伝える」「誰に何を伝えるのかを自覚する」といった伝え る上での意識をそれぞれの考えで述べることができていた。 (4)考察 目標①の課題設定については、抽象的な発問や課題であったように思う。素直な生徒たちが多いので、 彼らなりに考えて、課題に取り組むのだが、こちらの意図したものにならない。ゴールを用意してやる など、具体性に欠けたところがあった。また、10 分間で2つの課題を話し合うという、話し合いの時間 が十分ではなかった。こういった反省を受けて、別のクラスでは、「日常の場面をふり返り、『情報が伝 わった』 『情報がうまく伝わらなかった』経験を書き出そう」という課題に変更し、話し合いのテーマも 「情報がうまく伝わらなかった」経験について、 「どのようにすれば情報や思いが伝わったかを筆者の考 えを参考に話し合う」というものにした。話し合う内容については具体的になったため、メモ欄にも多 くのメモが残るようになった。生徒にとって何をするのかわかりやすい課題、本文をどう生かして考え るのがよいかがわかりやすい課題設定を心がけていきたい。 目標②の課題作文については、日常を作文に取り入れられたらそれでいいのではなく、日常と筆者の 主張との関わり、筆者の主張を受けた上での日常(体験)になっていたかという観点が必要となってく る。その場の思いつきで作文を書くのではなく、授業を進めている間にニュースや本から得た情報を、 生徒に知識として与える仕掛けも必要になってくることが課題となる。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)単元 2年生 評論「君は『最後の晩餐』を知っているか」 (2)指導計画や実践のねらい、単元構想 各学年小説・物語教材の授業をする中で、描写や心情の読み取るために、本文にこだわる授業をし ていたが「教科書を教えるのではなく、教科書で教える」ができていないのではないかと気がついた。 自分のアイデアではしっくりくる授業構想ができず、参考文献を開いたところ、しっくりくる実践が あったので、それをもとに教材研究をした。 目標①「書き手が説得のために工夫している表現を探し、書き手の意図や主張を読み取ることがで きる。」 関連する指導事項 読むこと(1)ウ 言語活動「光る表現を探そう~書き手の表現の工夫を理解する~」 (3)授業の実際 2学期になってから、単元の1時間目には語句の意味調べをしてから本文の通読をするようにして いる。ワークにも意味調べのページがあるが、辞書を開かず、解答を開いて写してしまう生徒が多い ので、授業の中で辞書を開いて調べる時間を設けている。本文通読の際にも、内容理解の手助けにな るため。私の授業の組み立ての一つとして定着させていきたい。 この文章は生徒が初めて出会う「評論」である。評論とはどういった文章かという講義のあと、第1 次~第3次で、文章の内容や構成について整理し、全体をつかみ、「解剖学」「遠近法」「明暗法」の 説明と効果をまとめさせて、それらが筆者の言う「かっこいい」と思わせる要因であることを確認し た。筆者が「最後の晩餐」を「かっこいい」と思った理由をまとめ、第4次以降の文章の魅力について 考える活動にうつった。 まず、「光る表現」として「発見(へーそうなんだ)」「共感(なるほどそうだ)」「疑問(どうな んだろう)」の3つの視点で本文に線引きを行わせる。数や場所は自由で、自分の主観で線を引かせ た。つぎに、「なぜ光るのか(なぜここに線を引いたか」」根拠を挙げてグループ内で説明させた。そ のあと、自分が線を引いたところが、文章全体でどのような役割を果たしているのかをノートにまと めさせた。 【生徒の意見】 ・根拠を説明して読者を絵にひきつけている ・絵の修復によって、細部が見えないというマイナス点を、プラスのイメージにしている ・「~にちがいない」と言いきって、読者に自分の気持ちを強く伝えようとしている ・「まるで」という言葉を使い、読者が想像しやすいようにしている ・筆者自ら絵に対する評価を書くことで、「なぜそう思うのだろう」と疑問を抱かせている 分類すると、書き出しの工夫や、疑問文を用いることで読者の興味を引き付ける役割、強調するこ とで筆者の主張にかかわる役割などになる。中には、鋭い読み取りをしている生徒もいて、「力がある なぁ」と感心した。 最後に、①なぜ読み手を説得させられるのか、②筆者の主張についてどう思うか、のどちらかにつ いての作文を書かせた(2つ設定した理由は、筆者の主張に共感できない生徒は①の課題では作文で きないと思ったからである)。これまで確認してきた表現の工夫に触れて、自分の考えを書くように 指示した。 【生徒の作文】 ・序論、本論、結論の内容と構成の仕方が読み手を説得させる方法である ・筆者が文中で問いかけをたくさん使うため、読んでいるうちに、筆者と会話しているようになり、 心が通じ合うため説得することができる ・説得させられる理由は、「~なのだ」と断言する文末が多いので「そうなのかもしれない」と納 得してしまうからだ ・「また」「さらに」という接続詞を使って、絵のいいところや優れているところを述べているの で、たくさん情報が入ってきて納得につながる ・筆者が事実と自分の分析を交えて話しているので、説得力がある。自分の考えを一方的に押し通 すだけでは読み手に納得してもらえないことがわかった ・絵の美しさは筆者と同意見だが、「かっこいい」という表現とその理由に納得できません。 このように、あらゆる視点から書き手が説得のために工夫している表現に触れて、自分の考えをま とめており、評価規準を満たす生徒がほとんどだった。課題に対して積極的に取り組み解決していく 姿が見られたこともよかった。2年生を2クラス担当しているため、刺激を与えるためにも特にすぐ れた作文 12 点をプリントにして両クラスで読ませた。自分にはなかった視点や意見を発見できた生徒 が多かったようである。 (4)考察 2学期以降、今までよりも「本文にこだわる」ことを心がけ、生徒にも伝えてきた。指導事項におい ても、心情や描写に関するもの、筆者の意図や表現の工夫に関するものが多いので、本文に線を引か せることで本文の表現に着目させてきた。線の引き方は押し付けるものではないと思うので、「こう いうところに線を引こう」という指導だけでなく、生徒たちが自分で気づいた大事そうなところ、大 事だと思うところに線を引かせることができたのはよかった。 単元の最後で、「次、新しい評論文を読むのが楽しみだと思う人?」と問いかけたところ2クラスと も5人ほど手を挙げてくれた。「普通?」の問いに対しては大半の生徒が手を挙げ、「嫌」はほとんど いなかった。毛嫌いしがちな文章であると思うが興味を持ち、また抵抗がないというのはこちらとし ては喜ばしいものであった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (1)単元 1年生 説明文「流氷と私たちの暮らし」 (2)指導計画や実践のねらい、単元構想 冬休みに中教研福井ブロック国語部会冬季研修会があり、 「言語活動を通して言葉の力・考える力をつ ける授業づくり」というテーマで、お茶の水女子大学附属中学校の宗我部先生の講義を受けた。国語科 にとっての「活用」とは、自分自身で、仲間と協力してことばで目標を達成できたり、課題を解決でき たりすることである。活用できないというのは、ことばの力が身についていないということになる。 「国 語の学力」を「使える力」として身につけるために、授業をより活用型にしていく必要性を感じた。 「言葉の力」が育つ授業の鍵として、①本気で取り組みたくなる魅力的な「学習活動」②考えて、判 断して、伝え合う場面(言語活動)③過程で□□を確実に使うようにデザイン④活動をふり返って、学 びを自覚化する、この4つについて教えていただいたので、これらを意識しながら教材研究に取り組ん だ。 単元を貫く言語活動として「要約」にチャレンジすることを生徒に伝えたうえで、学習活動が「要約」 に向かうような授業展開を心がけた。 「要約」については苦手、嫌だという思いを持った生徒ばかりであ ったので、安心して「要約」にチャレンジできる工夫が必要であると思い、要約の手立てになるような ワークシートを作成して、授業を行った。 目標①「文章の中心的な部分と付加的な部分を読み分け、要約したり要旨をとらえたりすることがで きる」 読むこと(1)イ 目標②「文章に表れているものの見方や考え方をとらえ、自分のものの見方や考え方を広くすること ができる」 読むこと(1)オ 言語活動「文章の中心となる部分を見つけ、要約しよう」 (3)授業の実際 まず、語句の意味調べをしてから、本文を通読させた。本文は、流氷が私たちの暮らしと深くつなが っていることを述べた説明文である。本文を読むだけで内容を理解することは容易ではなく、図を参考 にしながら、筆者が説明していることを確認していった。 本文通読後に「本文からわかったこと」を箇条書きでノートに挙げさせた。生徒たちは5点ほどわか ったことをノートに書き出していた。挙手による発表で、生徒たちが本文からわかったことを黒板に書 き出していった。その際、こちらが投げかけては、生徒に詳しさを求めるというやりとりを繰り返して いった。例えば、生徒が本文からわかったこととして「流氷が減っている、薄くなっている」と発言し た際に、 「その結果どうなるかは気にならない?」と聞き、生徒の「気になる」という答えを受けて、 「じ ゃあそこまで書いてみよう」と促すといった具合である。流氷が減少していることではなく、流氷が減 少した結果、どういうことが起こるのかが筆者にとっては大事な主張となってくるので、短絡的に本文 から情報を抜き出すのではなく、完結性のあるまとめ方を身につけさせていきたい。 このようにして、黒板に書き出された生徒たちの本文からわかったことは、本文の要点となっている。 個人で取り組んだ課題をクラスで確認できるようにもなっており、読み取りによって明らかにしたい学 習課題もクラスで共有できる。 明らかにしたい学習課題はワークシートを用いて取り組み、筆者が説明していることを図や表を参考 にしながら読み取り、明らかにしていった。同時に付加的な部分と、筆者の意見・考えが書かれている 中心的な部分の読み分けをした。 いざ、要約をしよう!と言っても、生徒たちは戸惑いを見せるであろう。どこから手をつけたらよい かわかるように、要約の仕方の説明をした。序論・本論・結論において、中心となる段落を挙げさせ、 クラスで確認をした。また、段落の冒頭に「このように」などといった幅広い指示語がある段落は、前 段落の内容を受けつつ次へ展開していく段落であり、本文全体の趣旨を含んでいることが多いというこ とも併せて紹介していった。 挙げた中心となる段落をつなげていくと要約が書けると生徒たちに言ったのだが、生徒たちはどこか ら手を付けて、どう接続していくといいのか、また中心となる段落をつないでいくと本当に要約が完成 するのか半信半疑の様子で要約に取りかかった。途中、 「書き出しはどうすればいいか」という質問があ り、問題提起を書く必要があるので書き出しを統一した。それでも生徒の手があまり動いていなかった ので全体に「ニュースでサッカーの試合結果が流れるとき、どんな場面が流れる?」と声をかけた。す ると生徒たちは「ゴールシーン!」と答えたので、 「そう、ゴールがその試合において大事な場面であっ て、ニュースではゴールシーンが試合のダイジェストとして流れる。それと同じようにみんなもこの文 章のダイジェストを書けばいいよ」と言うと、「あ~!」「なるほど!」という声が上がり、要約に取り 組む手が動き出した。できあがった要約に目を通すと、中心となる段落の要点を押さえながら書き上げ られている生徒が多かった。 【生徒の振り返り】 ・初めて要約をやってみて思ったことは、最初「難しそう」と思っていたけれど、やってみたらそうで もなかった。自分の要約と模範解答を比べて、もっと消せる文があるなと思った。 ・要約するというのは、長い文章の中から相手が伝えたいことを抜き出し、わかりやすく短くするこ とだということがわかりました。 ・最初は要約なんてできるはずないと思っていたけれど、少しコツを覚えるとかなりできるようにな りました。でも、今でも要約は難しいと思います。 ・要約の勉強をして意外と難しいと思った。自分でうまくできたと思った要約でも、もっと削れると ころがあった。要約がうまくなれば、メモや発表などいろいろな場面で生かせる。要約は難しいと 同時に面白いものだ。 ・文章の大事なところを見つけるのは大変だったけれど、すべてをつないで読むと筆者が伝えたいこ とがわかったので、要約は大事だと思いました。少ない時間でいろいろなことがわかるのですごい と思いました。 ・要約をしてみて、その難しさがわかった。自分ではできていたつもりだったが、例を見ると削れる部 分がたくさんあった。僕の削れる部分には、まとめのような部分ではなく、細かい説明が入ってい る。逆に削れない部分は、一目見ただけでわかるような部分がたくさんある。次、要約をやるときに は本当のまとめの部分だけ抜き出していきたいと思う。 目標②については、新たに二酸化炭素・酸性雨・オゾン層・森林伐採についての環境問題をまとめた 資料を配付した。生徒たちは、それぞれ興味のある環境問題について、自分の考えを述べながら 400 字 詰め原稿用紙にまとめ、それをもとにグループで読み合いをした。生徒たちは、流氷の減少がもたらす 地球環境への影響の他にも、現在地球が脅かされている環境問題を知ることができ、自分のものの見方 を広げることができたようだ。 【生徒の振り返り】 ・筆者の考えを読んだり、二酸化炭素の作文を書いたりして、つながっていることがわかった。二酸 化炭素が排出され、地球温暖化がすすみ、流氷が溶け、海の体積が増える。これが続くといけない と思う。二酸化炭素を減らすために節電、節水などをすれば、流氷にも悪影響がなくなる。だから 僕は、このようなことを考えて生活していきたいと思う。 ・環境問題について、今まで自分が知らなかった知識を得られ、他の子の作文からも知識が得られま した。この得られた知識を今後に生かしたいです。 ・はじめは実感がわかなかったけれど、少しずつ流氷も自分たちの生活に関わっているのだなと思え るようになりました。これからは、なにげなく使っているものにも関心をもっていきたいです。 ・私の全く知らないことが多くわかった。流氷は単純なものではなく、とても奥が深いものだ。この 流氷をなくさないために、私たちは生活をどう変えていけばいいのか。少しずつでもいいから考え、 実行していきたいです。 (4)考察 「要約って嫌だな」と思う生徒がほとんどの状態で学習が始まったが、授業を通して多くの生徒が「で きた!」という感覚を手に入れられたと同時に課題も見つけられたのではないかと思う。学習を通して、 生徒たちが学んだことを「活用できる」ことが大切になってくるので、活用にも注視していきたい。 生徒の学習活動の中に、本文を読まざるを得ない状況を作り、主体性を持たせる仕掛けをしていきた い。今回の学習活動において生徒たちは、ワークシートの課題に取り組むときや要約を書くときに本文 を何度も読んだと思う。読まされて読んでいるのではなく、必要があって読むという課題設定のあり方 を目指したが、生徒が心から「やってみたい」と思うような、本気で取り組みたくなるような課題設定 ではなかったと思う。生徒の素直さに甘えることなく、 「学び」を考え、授業で体現できるように努めて いきたいと思う。 3 まとめ 1年を通して授業のつくり方を模索してきた。学習指導要領の目標及び内容に沿って「何を学ぶの か」 、「どのような国語の力を育てることを目的とした授業なのか」を考えることにより、昨年よりも授 業の質が高まったと思う。しかし、目標を達成させるための言語活動の設定が自分のアイデアだけでは できない場合が多い。それがストレスではあるが、「真似るは学ぶ」という言葉があるように、いろい ろな実践・先輩方の指導事例をまねすることで、自分の引き出しの中身を充実させていきたいと考えて いる。実際、まねたりアレンジしたりすることで、何がポイントなのか、何を大切にすべきなのかを考 え、あれこれ悩んだり、やってみてやはり修練が必要だなと気づいたりすることができた。これも一つ の財産だと思って前向きに考えていきたい。 来年度に向けての課題として、説明文や物語文の学習をそれぞれワンパターン化できないかというこ とを考えている。ワンパターン化することのメリットとして、①学習スタイルが定着し、生徒たちが見 通しを持って学習することができる②生徒たちの学びの変化がわかりやすくなる。この2点が挙げられ る。今年度は、どうしても「こうするといいかな、ああするといいかな」と行き当たりばったりという かたちになってしまい、学習スタイルに定まりがなかった。生徒にとっても、自分にとってもあまりよ くないと思うので、ぜひとも「これ」というものを見つけ、実践できるようにしたい。 今年度は、授業のほかに、2年生の朝学習用の NIE プリントを、福井新聞の越山若水や朝日新聞の天 声人語をもとに作成し、取り組ませることができた。漢字の書き取りや語句の意味調べ、記述問題や要 約、感想などを書く設題を中心とし、少しでも世の中のことを知るとともに、語彙を増やし、記述に対 する抵抗をなくしてもらいたいという思いで作成、チェックに努めた。成果が出ることを願っている。 私は、同じ単元の授業を毎年する立場にあるが、生徒たちは一度きりである。その「一回性」に重き を置いて自己研鑽に努めていきたい。 【引用・参考文献】 中学校国語科新授業モデル 読むこと編 明治図書 国語科授業の教科書 さくら社 野口芳宏
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