自他のよさや違いを生かし,つながり合い共に高め合う児童

平成 26 年度 研究推進について
1
研究推進
(1)研究主題
自他のよさや違いを生かし,つながり合い共に高め合う児童の育成
~人権を尊重した授業づくりと人間関係づくりを通して~
(2)副題設定の理由
これまで本校では,国語科を中心として人権教育を進めてきた。授業の中で「書く」「交流する」
活動など,児童同士が表現し合い関わり合う場面の充実を図ることで,コミュニケーション力を高
め,児童の「学力」と「人と関わり合う力」を伸ばしていくことをめざしてきた。特に昨年度から
は,本校が位置する安芸高田市立高宮中学校区(中学校1校,小学校3校)が文部科学省委託事業
「人権教育総合推進地域事業」の3年間の指定を受け,4校で構成する「たかみや人権教育総合推
進会議」が核となって人権教育の研究を推進してきた。「広島県人権教育推進プラン」を基にして,
「生命の尊さ」
「他人との共生・共感の大切さ」
「自己についての肯定的な態度」
「能動的な傾聴,適
切な自己表現等を可能にするコミュニケーション力」などの視点で取り組んでいる。児童が人とか
かわり合って生活する中で,これらの視点での取組を進めることは,児童の感性や人権感覚を高め
ることにつながると考える。
授業の中では,自分の考えを書く活動や目的の明確な意見交流の場面を意識して位置づけたこと
で,全体的には自分の考えを持って友達とかかわりながら話し合う活動が増え,学習意欲の向上が
みられた。生活面でも,行事や異学年交流など全校での取組によって,児童が自然に感謝の気持ち
を伝えるようになり,学年を超えてのつながりも見られるようになった。しかし,昨年度の広島県
「基礎・基本」定着状況調査においては国語科・算数科とも県の平均を下回り,学力面での課題が
非常に大きい状況にある。さらに,本校は外国籍の児童も在籍しており,児童同士の気持ちの行き
違いによるトラブルも多く,
「共生・共感」の面での課題がある。
そこで研究主題を「自他のよさや違いを生かし,つながり合い共に高め合う児童の育成」
,副題を
「人権を尊重した授業づくりと人間関係づくりを通して」とし,今年度も人権教育を基底に据えて
校内の研究を推進していくこととした。児童にとって,自分を支えてくれたりはげましてくれたり
する仲間の存在は大きい。仲間と共に共感したり感動したりする経験を通して,児童は自己を肯定
的にとらえさらに高まろうとする向上心が生まれる。つまり,自他を大切にし,共に生きることを
理念とする人権教育をすべての教育活動の土台とすることで,学校教育目標の「夢と志をもち,自
らを高め,みがき合う児童の育成―つながる船佐小教育の創造―」にせまり,一人一人が夢や目標
にむけ,高い志を持って自分を高め,互いを磨きあいながら成長していく児童を育てていきたい。
本研究は,次の二点に重点を置いて取組を進める。
①人権が尊重される授業づくり
②人権が尊重される人間関係づくり
授業研究の中心には「国語科の授業づくり」を据え,国語科の授業の中に「人権教育の視点」を
位置づける。学校生活の一日のほとんどを授業が占める。
「授業で集団をつくる」という意識を持っ
て授業づくりをしていく。具体的には,授業の過程において,「自分を大切に」
「他者を大切に」の
視点を明確にし,教科の活動の中で児童の人権感覚を高めることができる授業をめざしたい。そし
て,他教科・領域においても,国語科で培った力を発揮したり,より高めていったりすることがで
きるよう実践を重ねていきたいと考えている。
一方で,生活全般の中でも児童同士をつなぐ活動を意識的に仕組んでいくことによって,よりよ
い人間関係の構築を図るとともに,他者とのかかわり方の学びにしていく。
学習意欲が高まれば生活意欲も高まり,生活意欲が高まれば学習意欲も高まると考える。この両
面からの取組を行うことによって,人権が尊重される集団をつくり,研究主題の「自他のよさや違
いを生かし,つながり合い共に高め合う児童の育成」に迫っていきたい。
(3)研究仮説
1
人権を尊重した授業づくりを行えば,共に学ぶ喜びを感じ,学習意欲が高まり基礎学
力が向上するであろう。
2
人権が尊重される人間関係づくりを行えば,学級集団のつながりが深まり,学校生活
を楽しいと感じ,生活意欲が向上するであろう。
(4)検証の方法
検証項目
①人権感覚の高揚が図
検証方法
・人権アンケート
られている。
②学級集団のつながり
が深まっている。
検証指標 (目標)
・人権感覚の項目における数値の
向上
・Q-Uテスト
・学級生活満足群の数値の向上
・児童の記述・行動観察
・抽出児童の記述・発言の質的量
的変容
③児童の学力・学習意欲
が高まっている。
・学力調査
・学力調査結果の数値の向上
・単元末テスト
・各学年単元末テスト「読むこと」
・Q-Uテスト(学習意欲)
・児童アンケート
・児童の記述・行動観察
の通過率 83%以上
・抽出児童の記述・発言の質的量
的変容
(5)研究内容
①人権が尊重される授業づくり(国語科)
②人権が尊重される人間関係づくり
①人権が尊重される授業づくり(授業づくりプロジェクト)
人権の視点を明確にした国語科の授業づくりを研究していく。「読むこと」の授業において,発問
を工夫し,書く活動・意見交流を設定することで,自分の考えを持たせ,多様な考えに出あわせる。
それをふまえて自分の考えを再構築するという思考の流れを授業の中で位置づけることとする。
船佐小学校における国語科「読むこと」の授業づくりの基本的な考え方
個
集団
個
つかむ 見通す
自分の考えを持つ
交流する
考える
深める
書く
自分を大切にする
かかわる
つながる
他者を大切にする
自分の考えを再構築する 書く
自分の考えを決定する
自分を大切にする
授業研究では,人権教育の視点を明確に位置づけた学習指導案を作成し,教科のねらいが達成さ
れたか,ねらい達成のために書く活動と意見交流が有効であったか,人権教育の視点が明確な授業
であったかを研究していく。国語科での授業構成は他の教科・領域にも広げ,書く活動や交流をど
の学習にも位置づけるようにしていく。
書く活動では,何を書かせるのかを明確にして書かせることはもちろん,交流して学んだことを
どのように書かせるかも工夫していく。また,国語科だけでなく他教科・領域において,さらに生
活のなかや家庭学習でも書く活動を意図的に位置づけ,継続して取り組んでいく。
交流の場面では,児童同士のかかわりが深まるように工夫していく。例えば,話し合いたくなる
場面設定や,教材に仕掛けをして児童の意欲と表現を引き出すこと,表現せざるを得ない状況をつ
くるなど,交流にすべての児童が主体的に参加できるように工夫する。さらに,ペアやグループ活
動を効果的に取り入れることや,友だちのモデル発言を教材化(発言の再現・想像・再構成させる
など)することも自他のよさや違いを感じさせるために有効であると考える。
授業研究に加え,学力向上のための取組を進め,児童にわかる楽しさや充実感をもたせ,個々の
意欲を向上させる取組も進めていく。
②人権が尊重される人間関係づくり(人間関係づくりプロジェクト)
生活の中で,学級はもちろん,小規模校のよさを生かして全校で互いのよさや違いに気付き認め
合えるような活動を仕組んでいくことによって,児童同士のつながりを深め,児童の居場所をつく
っていく。何よりもまずは指導者が子どものよさを発見する目を持ち,それを評価していくことを
大切にする(評言)
。児童が主体的にかつ本気で一つ一つの活動に取り組むことが,児童の達成感に
つながり,自他を大切にする心情につながっていく。そのためにも,一段高く引き上げるような目
標を児童に持たせるなど,児童の達成感につながる仕掛けをして行事や活動に取り組んでいく。
集団づくり
授業づくりプロジェクト
人間関係づくりプロジェクト
~つながる授業を通して
学習意欲を向上させる~
~つながる活動を通して
生活意欲を向上させる~
○授業づくりプロジェクト年間計画の作成
○人間関係づくりプロジェクト年間計画の作成
○人権の視点を明確にした国語科の授業づくり
○
三つの「あ」の取組
(船佐小の授業スタイルの構築)
・あいさつ
・人権の視点を明記した指導案
・ありがとう(感謝)
・書く活動と交流の位置づけ
・アイコンタクト(傾聴)
・書く活動の工夫
○
ありがとうの木の取組
・交流の工夫
○
国際交流活動
・協議の持ち方の工夫
○
地域学習・伝統芸能の伝承
○
行事・集会などにおける全校での感想交流
・ドリルタイムの活用
○
構成的グループエンカウンター
・語彙を広げる工夫
○
異学年交流・縦割り班活動
・読書の推進
○
ソーシャルスキルトレーニング
○学力向上に向けて
・家庭学習の共通理解,てびきの作成
・ペア学習・班学習の効果的な活用
・自学展覧会の実施
・学びの土台となる学習規律の確立
・学習規律(聞く・話す)の徹底
・全校漢字テストの実施
・全校一斉学力補充