式 辞 - 河内高等学校トップ

式
辞
山あいのここ篁(たかむら)の里にも柔らかな風が吹き渡り、本格的な春の訪れが感じられる中、
同窓会会長、和久野 雅心(わくの まさみ)様、PTA会長、土居 篤志(どい あつし)様を
はじめとするご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を賜りまして、ここに平成二十七年度、広島県立
河内高等学校入学式を挙行できますことは、この上ない喜びであります。高いところからではござ
いますが、生徒、教職員を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました七十三名の新入生の皆さん、入学おめでとう。河内高等学校の
教職員、在校生一同、皆さんの入学を心から歓迎します。また、これまで温かくお子様を慈しみ、
支えてこられました保護者の皆様のお喜びはいかばかりかと拝察いたします。今日の晴れのご入学
を心よりお祝い申し上げます。
本校の歴史は明治四十二年創立された私立白市実科学校に遡り、以来百有余年にわたってこの地
に根付き、幾多の有為の人材を送り出してまいりました。本校で高校生活を送る皆さんが、校訓で
ある「心美 体健」を実践し、健やかに心豊かな人材として成長し、本校に学んだ先人たちがそう
であったように、地域から愛され信頼される存在となることを願ってやみません。
創立百周年を記念して建立された記念碑には、英語と日本語で「進化 さらなる百年に向けて~
二千百九年創立二百周年をめざして~」と刻まれています。皆さんは創立百五十年目の本校、創立
百六十年目の本校を見ることになると思います。その頃の河内高校がどんな学校になっているか想
像もつけがたい。確実なのは、今日ここに入学した皆さんには、これまでの伝統を踏まえ、新時代
にふさわしい、さらには時代をリードする、新しい「河内高校づくり」に取組んでいく覚悟が求め
られているということです。五十年後また六十年後に向けて、地域ともに築きあげられたよき伝統
にさらに磨きをかけ、
「守る伝統」から「創る伝統」へ、を合言葉に、一人一人の限界に勇気をもっ
て、ひたむきに挑戦してください。
さて、今日から高校生活のスタートを切る皆さんに、私は三つのことを期待したいと思います。
一つ目は、
「将来の夢や目標をもつ」
、ということです。人は、心の深いところで自らが描いてい
る自分にしかなりえません。
「自分は何ほどの人物でもない」と思って夢を追うことをやめてしまえ
ば、
自分の思いはまずかなうことはありません。
「自分は未熟で、
小さな存在かもしれないけれども、
どこまで夢に近づけるか、やれるだけのことをやってみよう」と懸命に努力することで、皆さんは
まだ見ぬ自分の本当の力を発揮して、思いを叶えることができるのだと思います。将来の自分の姿
を描きながら夢を高く掲げて過ごす本校での三年間が、
皆さん一人一人の将来に続く
「夢の通り道」
であってほしいと思います。
二つ目は、これから言うように考え方を転換して欲しいということです。これまで恐らく皆さん
は、
「学校や親は、自分のために何をしてくれるだろう」という考え方をしてきたと思います。こう
した考え方でもよいのは中学生までです。今日、高校生となった皆さんは、この受け身的な考え方
を改め、
「自分は、学校や親や地域の人たちに何ができるだろう」という考え方を持つようにしても
らいたいと思うのです。そして、小さなことでもよいので、自分のやれることを見つけて実行して
もらいたいと思うのです。それができれば、皆さんは周囲への感謝の気持ち忘れず、周りからの信
頼をあつめ、心豊かに高校生活を送ることができると思います。
三つ目は、良き人間関係をつくるということです。高校3年間のもっとも大きな宝物の一つは、
おそらく皆さんの外に広がる豊かな人間関係です。人は、気が付かなくても、いつも誰かとつなが
っていて、どこかで支えられ、またどこかで誰かを支えているものです。学年やクラスの仲間、部
活動の先輩や後輩、
学校行事などでの地域の方とのつながりを大切にしてほしいと思います。
人は、
人とのふれあいや切磋琢磨を通して、自分のよいところを知り、至らないところを見つめて、成長
することができるものです。仲間とともに過ごす高校生活は、ちょっとしたことが楽しく、自分が
かけがえのない大切な自分であると実感することができて、結果として、他者の存在を認めること
もできるようになり、人として成長していけるのだと思います。
人生において最も多感でしなやかな感性のこの時期に、本校で多くの仲間と高校生活を送ること
のできる皆さんは、幸せだと思います。自分を陰で支えてくれている人たちに思いを寄せ、素直に
感謝する気持ちを表せる人になってください。義務教育を終えた皆さんは、これから本校で、少し
速度を上げながら大人への階段を登っていくことになります。大人に近づくということは、今、目
の前のことだけではなく、その奥にあるものや、自分や自分の周りのその後の未来のことにも思い
を寄せることができるようになるということです。自分だけでなく周りの人のことを考えることが
できるということです。皆さんが、家庭や学校、様々な人たちとのつながりの中で一日を生きる、
ということが、そのまま人として一歩前に進む、一回り成長することであってほしいと思います。
私たちは、皆さんが日々着実に成長する生徒であることを強く願っています。
おわりになりましたが、保護者の皆様にお約束いたします。私たち教職員は、生徒の限りない可
能性を信じ、一人一人が本校の主人公として、有意義な学校生活が送れるよう、また、三年後、お
預かりしたお子様を少しでも成長させて皆様のもとにお返しできるよう、全力を挙げて教育活動を
推進して参ります。
その実現のためには、
学校と保護者の皆様との密接な連携と信頼が不可欠です。
ご家庭におかれましても、学校の方針をご理解いただき、お子様の基本的生活習慣、将来の目標な
どについて、ご指導・ご協力をお願い申し上げます。
また、新入生の晴れやかな姿を見守るため、ご臨席をいただきました、ご来賓をはじめ関係各位
に、今後とも本校への多大なるご支援・ご協力をお願いし、式辞といたします。
平成二十七年四月七日
広島県立河内高等学校長 西山 光人