校長式辞 - 島根県立松江農林高校学校

式
辞
校内の草木が日に日に華やかさを増し、生きるものすべてに生命の息吹きがみなぎ
る希望の季節を迎え、また、本校生物生産科の生徒が育てたサイネリアが出迎える中、
本日、ここに平成27年度
島根県立松江農林高等学校入学式を挙行できますことは、
誠に喜びに絶えないところでございます。
ただ今、入学を許可いたしました新入生140名の皆さん、保護者の皆様、ご入学
おめでとうございます。皆さんの入学を私たち教職員一同心から歓迎いたします。
また、本日は、島根県教育委員会から教育監
毅様、PTA 会長
山下
小林
邦彦様、松農会副会長
倉井
孝治様をはじめ、ご来賓の皆様には、公務ご多用の中、ご臨
席いただいております。高いところからではございますが、厚くお礼申し上げますと
ともに、平素から本校の教育活動の推進に格別のご理解とご支援をいただいておりま
すことに、改めて感謝申し上げる次第でございます。
さて、本校は1900年(明治33年)に創立し、今年で115年目を迎えます。
この間、学校名の変更や学科の改編などを経ながら現在に至っております。
本日入学した皆さんには、これまでの先輩たちが築いてこられた松農魂についてお
話をしたいと思います。
本校の校訓は、「質実・剛健」「自主・創造」「奉仕・協同」の3つです。本日お配
りしました栞に記載しております。この校訓というのは、学校がこのような生徒を育
てたいとか、教育目標を示したスローガンのようなものですが、制定されたのが今か
ら38年前の昭和52年だそうです。それまで、実践されてきた様々な目標を、校訓
として集約したのが現在の校訓になっています。昭和52年当時、生徒の個性や自主
性を重視し、自主的な学習から生まれる学ぶことの喜びと、自然を愛し、親しむこと
を教育の基本として、当時の校長先生が定められたようです。
最初にあげられている「質実・剛健」は当時行われた教育目標の精神を継承したも
ののようですが、高度化した今の社会においても再認識されるべき第1の松江農林高
校生の気質として掲げられたものです。当時、松農魂とはどういうものかという問い
に対し、最も多かったものがこの質実剛健という言葉だそうです。飾り気がなくまじ
めで、粘り強く、心や体が強くたくましいという意味です。
次に、「自主・創造」です。これは自ら進んで新しいものを作り出し、豊かな未来
を切り開いていこうとする力の育成を目標としたものです。そして、社会とともに自
己を磨き、進んで自らを高めようとする姿を現したものです。自主的な学習活動や、
自発的な取り組みを重視し、創造性豊かな人間の育成を図ろうとしたものです。
そして、三つめに、他人を受け入れる大きな度量と、正しい自治精神を持ち、自然
を愛する心を深め、公共のために尽くす心を育て、協力して学校や郷土のために献身
する精神としての校訓が「奉仕・協同」です。
本校は、約40年も前から、もっとそれ以前から、飾り気がなくまじめで粘り強く
心や体がたくましい生徒。自主的に様々な活動に取り組み、新しいものを作り出して
いこうとする生徒。そして、自然や人を愛し、協力しながら世のため人のために尽く
す生徒の育成を目指してきました。少し欲張っているようにも感じますが、これは今
も変わりません。
新入生の皆さんは、この過去から延々と引き継がれた松農魂である校訓を意識しな
がら、松江農林高校での新しい生活を始めてください。私たち教職員は全力をあげて
応援して参ります。
体育館を出て右側、第1記念館の前に、「すべての蕾よ花とさけ」と刻まれた石碑
があります。本校第14期(大正5年3月卒)卒業生の方から送られた教訓碑です。
この石碑は、昭和48年に建てられたようです。今の皆さんはまだ蕾ですが、3年先
には大輪の花となるよう願っての応援メッセージです。これも、ずっと前の先輩から
送られた言葉です。大切にしてください。
子どもさんの成長のためには、保護者の皆様と学校が連携しながら協力し、それぞ
れの役割を果たしていくことが大切となります。改めまして、保護者の皆様には本校
教育へのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、新入生の皆さんが本校で大
きな花を咲かせて成長してくれることを願って、式辞といたします。
平成27年4月9日
島根県立松江農林高等学校
校長
吉
川
靖