特設単元 「ちがいに目をつけて」 -4年- Ⅰ 嬬恋村立田代小学校 毒島 久幸 単元に対する考え方 児童は、これまでに整数の四則計算を学習している。それに伴い、文章題にも取り組み、題意の読 み取り方、式の表現につながる言葉や式に必要な2量の捉え方を学習している。第2学年では、具体 物と関連させて、テープ図を学習し、2つの量をテープ図で表し、それを並べて比較することを学習 している。第3年年では、問題文をテープ図・線分図に表し、それらの利用の仕方を学習している。 本単元では、等分除による誤答をする児童が多くいると考えられる。児童に「ちがい」に着目させ、 問 題 構造 を しっ か りと 捉 えさ せ るこ と で、 等 分で は ない こ とに 気 づか せ る。「 ち がい 」 に着 目し やす くなる線分図の表し方を学習することで、問題構造を図を使って簡潔にすることの有効性を実感でき ると考える。それを実感することが、図の活用を高めると考える。問題構造を図でしっかりと捉えさ せ、児童が意欲を失わず、さらに興味を持てるような指導・支援していく。 Ⅱ 思考力・表現力を育てる指導の工夫 【手立て①】問題構造を、図や絵にしたり、具体物を操作するしたりして考える活動の工夫 折り紙を分ける場面において、題意にあった枚数の折り紙を用意し、それを操作することで問題構 造を捉えやすくすることにより、解決する方法を考えやすくすることができるようにする。 また、具体物を使って表した問題構造を、より簡潔に表せることができるように、折り紙を抽象図 (〇や□など)や、3年次に学習した線分図やテープ図を使って表すことを確認する。 【手立て②】グループ活動における発表や説明することによる表現する活動の工夫 自分の考えや解決方法を図や絵に表し、2~3人のグループで発表や説明をしたり、5人グループ で発表し合ったりする活動を行っていく。それにより、児童が自分の考えや解決方法に自信を持ち、 その考えを相手にも分かりやすく伝えられるようにする。 Ⅲ 実践例 1 目 標 分配や移動に伴う2量の差に着目し、問題構造を図に表して問題を解決することを通して、問題 構造を簡潔に捉えられる図の良さに気づくとともに、問題解決の能力を高める。 2 評価規準 (1) 分配や移動を伴う2量の差に着目して、問題を単純化して捉え、言葉や図、式を用いて表すこと ができる。 3 学習計画(全1時間予定) (1) 分配や移動を伴う2量の差に着目し、問題構造を図にして問題を解決する。(本時) 4 本時の授業 (1) ねらい 分配や移動に伴う2量の差に着目し、問題構造を図に表して問題を解決することを通して、問題 構造を簡潔に捉えられる図の良さに気づくとともに、問題解決の能力を高める。 (2) 準 備 問 題 プリ ン ト 自 己解 決 用プ リ ント 図を 入 れた 解 答用 プ リン ト 図を入 れた 画用 紙 (3) 展 開 学 習 活 動 支援及び指導上の留意点 子 ど も の 反 応 や 動 き 1 本 時のめ あて 〇 20枚 の 折 り 紙 を 、 2 人 で 6 枚 ・「分ける」があるから、わり算だな。 をつかむ。 違 う よ う に 分 け る 場 合 の そ れ ・6枚が違うから、10に分けた後に片方か ぞれの枚数を求める場面を設 ら6を引いて、もう片方に6を足せばい 定し、図や絵、具体物、式を いんだ。 活 用 し 、 問 題 解 決 へ の 意 識 を ・分からないから、折り紙を使ってみよう。 高めるようにする。 ・絵で四角を描いて考えてみよう。 -1- 2 自 力解決 を図 る。 〇題意を捉えさせる手立てとし て、解答を説明させる。 〇図や絵に表すことが困難な児 童 の た め に 、 折 り 紙 を 20枚 用 意し、具体的な操作ができる ようにする。【手立て①】 3 〇本時のめあての「ちがい」に 目を向けさせて、解答が違う ことを確認する。 〇本時の課題が等分除でないこ と を 確 認 し 、「 ち が い 」 に 目 を向けることを明確化する。 結果の違い に着目し、問 題構造をしっ かりと捉える 必要性を考え る。 4 図 を 使 っ て 〇図を示したプリントで、全体 考え、グルー の枚数や「ちがい」を明確に プ発表をする。 し、それを用いて立式と説明 を考えさせる。【手立て①】 き 〇2~3人のグループを作り、 ちがい 自分の考えを図や絵に表し、 12 まい 説明したり、分からない場合 あ には一緒に考えたりさせる。 さらにグループの中でやり方 線分図 を確認し、画用紙にそのやり 方を書かせる 【手立て②】 5 考えた解法 を発表し、気 付いたことを 話し合う。 ・「 分 け る 」 が あ る か ら 、 20÷ 2 = 10、 6 枚ちがうから10-6=4、10+6=16。 だから4枚と16枚だ。 ・折り紙を10枚ずつにして、そこから、片 方から6枚をとって、もう片方に入れる と 、 4 枚 と 16枚 だ け ど ・・・。 お か し い な あ。 ・6枚ちがうから、まず20-6=14。それ を2人で分けて、14÷2=7。少ない方 が7枚になる。それより6枚多いんだか ら、7+6=13。だから多い人が13枚。 ・答えが2通りある。どっちが正しいのか な。確かめる方法ないかなあ。 ・4 枚 と 1 6 枚 だ と 、 ちが い が 16 - 4 = 12。 ち が い が 12 枚 だ か ら 、 こ っ ち は ま ち が い 。 13 枚 と 7 枚 だ と 、 ち が い が 13 -7=6。ちがいが6枚だから、こっち が正解。 ・問題を絵にして表すことで、問題の意味 が分かるようになるな。 ・図にすると、問題を理解するのに簡単だ し、時間もかからないな。 ・図を見たら、式を作るのも簡単だし、式 を作った説明もしやすいな。 ・図の意味がよく分からないな。グループ になって発表を聞く時に、友達に質問し てみよう。 〇 そ れ ぞ れ の グ ル ー プ で 考 え た ・□で折り紙の枚数を表してやってみた 解法をホワイトボードに書き、 ら、操作で答えが分かったよ。でも、合 それを黒板に貼り付けて、発 計の枚数が多くなったら大変だな。 表をする。 ・線分図を使って表している人がいたな。 〇発表を聞き、気づいたことを 線分図だと、枚数が多くても分かりやす 発表する。 いな。 Ⅳ 指導後の考察 〇複雑な問題を図に表すことで、図に応じた立式ができるようになった。 ●子どもたちが、問題構造を図にすることの有効性を知ることができたが、それを活用するまでには、 不 十分 な 面が あ った 。 この 後 の学 習 で、「 共 通部 分 に目 を つけ て 」と い う単 元 があ っ たが 、自 力解 決の場面において、図を用いて考える児童もいたが、絵や抽象図などを用いて学習を進めた児童も いた。問題構造を絵や抽象図に表し、それを用いて解決することを認めながらも、図や式を用いて 考えたり、それを使って自分の考えを説明させたりするにはどのような支援が必要かを考えること が大切である。 -2-
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