研究テーマ 思考・判断を繰り返し、発想や構想の能力を高める図画工作

研究テーマ
思考・判断を繰り返し、発想や構想の能力を高める図画工作指導の工夫
提案者
Ⅰ
研究テーマについて
1
テーマ設定の理由
廣
田
和
人
これまで、図画工作科の学習において、発想や構想の能力を高めることを重視して授業づくりを
行ってきた。発想や構想の能力が高まった児童とは、活動を進める中で、思いのこもった表現を目
指し、新しい発想を加えながら、表現を豊かにしていく児童ととらえている。図画工作科の学習に
おいて、主に発想や構想の能力と鑑賞の能力を働かせる場面で児童は思考・判断を行う。この思考
・判断を繰り返すような場面を教師が意図的に設定していくことが、発想や構想の能力を高めるこ
とにつながると考える。
昨年度は、「思考を繰り返す、図画工作指導の工夫」を研究主題にかかげ、表現活動において、
自他の思考を比較することを視点に研究を進め、思考・判断が繰り返し行われるように実践に取り
組んだ。教師が意図的に児童が思考・判断する場面を設定し、児童の思考を把握するようにした。
そして、児童の思考の共通点や相違点を比較するように指導していった。そのために、「イメージ
マップを活用すること」「全体で友人の作品について話し合う場面を設定すること」の二つの視点
を設け、主に発想や構想の場面を重点に指導の工夫を試みた。その結果、自分の考えを広げたり、
増やしたりしながら表現していく姿や自他の表現の共通点や相違点を比較し、自分の表現に生かし
ていく姿が見られた。
このように二つの視点から実践を行った結果、思考・判断する姿が見られるようになった。しか
し、思考・判断が繰り返し行われたかについては、十分とは言えなかった。そこで今年度は、思考
・判断がより繰り返し行われ、表現を豊かにしていくように指導法を改善していくことにした。
そのために、児童が自分や友人の活動を振り返ることに焦点をしぼることにした。児童は、表現
しては手を止め、活動を振り返ることで作品を鑑賞し、そこで感じ取ったことを基に、思いをふく
らませながらさらに表現していく。このようなサイクルをつくることが、思考・判断を繰り返すこ
とになり、その結果、発想や構想の能力をを高めることにつながっていくと考えたからである。
具体的には、「鑑賞タイム」を設定し、自分の表現の写真を撮る活動を行うようにする。タブレ
ット型端末を使って、学習の最後に写真を撮り、その時間の活動がどのようなものだったのかを確
認してい くように する。そして、撮った写真
は、印刷 してファ イルに蓄積していくように
して、前 時の表現 と今の表現を比較できるよ
うにする 。また、 題材の過程で、自分がイメ
ージして いること を短い言葉で記入し「イメ
ージマッ プ」をつ くるようにする。昨年度の
研究でも 取り組ん だが、今年度はさらに自分
の表現を 振り返り 、活動したことや今後の表
現についても記入していくようにする。「イメ
ージマッ プ」は、 自分で撮った写真と一緒に
ファイル に蓄積し ていくようにする。低学年
においては、材料の特性から児童がイメージ
したことを教師が「熊手チャート」に板書し、
自分の表現を振り返られるようにする。「熊
手チャート」とは、考えを広げるために、熊
手の柄の部分に何について考えるのかを書き、
歯の部分に考えを書く思考ツールである。
次に、題材の過程において、友人の表現を
鑑賞する活動を設定する。ここでは、自他の
表現の共通点や相違点を観点に見るようにす
る。そうすることで友人の表現のよさに気付
き、自分の表現に生かすようにするとともに、
自分の表現のよさにも気付くことができるよ
うにする。教師は、積極的に関わるようにして児童の活動をとらえ、価値付けたり、意味付けたり
していく。
これらの手立てを講じることで自他の表現を振り返り、どのような表現にしていくか、思考・判
断を繰り返すようになると考えた。
以上のことから、上記の研究テーマを設定し、実践を通して検証を行っていく。
2
テーマにせまるための方策
テーマにせまるために、次のような研究の視点と手立てを講じ、実践を通して検証を試みる。
視
点
1
自分の表現を振り返ることによって、思考・判断を繰り返すようにする。
〈手立て〉
(1)
鑑賞タイムを設定し自分の作品の写真を撮り、蓄
積することで前時の表現と比較しながら、その時間
の活動がどのようなものだったのか、自分の表現を
振り返るようにする。
(2)
イメージマップに活動したことや今後の表現につ
いて記入し、蓄積したものを比較することで、自分
の表現を振り返るようにする。
(3)
児童がイメージしたことを教師が熊手チャートに
板書することで、自分の表現を振り返るようにする。
視
点
2
友人の表現を振り返ることによって、思考・判断を繰り返すようにする。
〈手立て〉
(1)
題材の過程において、友人の作品を鑑賞する時間を設定することで、友人の表現を振り返るよ
うにする。