単元 「速さの表し方を考えよう [速さ]」 ―6年― 太田市立城西小学校

単元
Ⅰ
「速さの表し方を考えよう
[速さ]」
―6年―
太田市立城西小学校
星野
薫
単元に対する考え方
児童は学校生活の中で、50m走や持久走大会のタイムでの速さ比べを行ってきている。また日
常生活の中でも「(時速)何㎞」や「(秒速)何m」という速さの単位を聞いたりしたこともある。
実際に学校で比べるタイムでは数値の小さい方が速く、速さの単位では数値の大きい方が速いこと
はなんとなく理解している場合が多い。
この単元では活動を通して速さの感覚を培ったり、新しい単位の必要性に気付かせていく。本時
の学習では、距離と時間のどちらも異なる場合の速さの比べ方を考えることを通して、速さは単位
量あたりの大きさの考えを用いて表せることを理解する。速さの比べ方は何通りもあることから、
児童の多様な考え方を引き出すことが期待できる。
Ⅱ
思考力・表現力を育てる指導の工夫
【手立て①】具体物を使って考える活動の工夫
(1/11)
速さ比べをするには、時間を一定にしたり進む長さを一定にしたりして単位量あたりの考え方を使
うことに気付かせるために本単元の導入ではミニカーを使っていろいろな方法で速さ比べをさせる。
【手立て②】多様な考えをまとめる工夫
(本時
2/11)
全体で話し合う場面では多様な考え方を引き出し、それぞれのよさや共通点を見つける中でどの方
法でも速さは比べられることに気付かせる。そして「数値が大きい方が速さが速い」表記の方が比較
しやすいことから時間を一定にして進んだ距離を比べる速さの単位の有用性に気づかせていく。
Ⅲ 実践例
1.目標
速さについて理解するとともに、求めることができるようにし、生活や学習に活用する能力を伸
ばす。
2.評価規準
(1)速さを単位量あたりの大きさの考えを用いて数直線化したり、実際の場面と結びつけて生活や学
習に用いたりしようとする。
(2)速さの表し方や比べ方について、単位量あたりの大きさの考えをもとに数直線や式を用いて考え、
表現することができる。
(3)速さに関わる数量の関係において、速さや道のり、時間を求めることができる。
(4)速さは単位量あたりの大きさを用いると表すことができることを理解する。
3.学習計画(全11時間予定)
(1)速さの比べ方をいろいろな方法で考える。(3時間)本時は2/11
(2)速さ,道のり,時間の求め方を理解する。(4時間)
(3)速さと比例の関係を理解する。(1時間)
(4)作業の速さについて理解する。(1時間)
(5)まとめと評価をする。(2時間)
4
本時の学習
(本時
(1)本時のねらい
2/11
)
距離と時間のどちらも異なる場合の速さの比べ方を考えることを通して、速さ
は単位量あたりの大きさの考えを用いて表せることを理解する。
(2)準備・資料
児童:前時のワークシート
教師:5年時混み具合の導入のイラスト
(3)展開
学習活動
支援及び指導上の留意点
1.前時にミニカーの速 ・「速い」とは時間が一定の時には距離
子供の反応や動き
・1mにかかった時間を測る
さを比べた方法と結果
が長い方が、距離が一定のときには時
と赤い車が一番速い。
を発表し合う。
間が短い方が速くなることを確認する。・2mの時間で比べたときに
2.学習課題をつかむ。 ・それぞれの班が何を一定にして比べて
すぐ止まっちゃう車は2m
6つの班の調べた速さ
いるのか確認することにより、単位量
走ったとして考えて比べた。
を比べて順番をつけよ
あたりの大きさの考え方に結びつけて ・曲がったとき長さをたした
う
いけるようにする。
よ。
3.各自、速さの順位を ・長さや時間がまちまちな場合の速さを ・全部の長さを1mでそろえ
考える。
比べることを確認して測定した数値を
るとかかった時間は1班
1班・2m 1.18 秒
比較しただけでは速さを比べられない
0.509 秒、2 班 0.5 秒、3 班 33
2班・4m2秒
ため、比べ方の方法を考える必要があ
㎝を 3 倍して約 1.38 秒、4
3班・33 ㎝ 0.46 秒
ることに気づかせる。
班 0.57 秒、5 班約 0.54 秒、6
4班・1m 0.57 秒
・1の学習活動で距離が一定にならなか
班 0.575 秒になる。
5班・3 秒5m50㎝
った班があった時にどうやって比べた ・2班は1秒2mだから他の
6班・2m 1.15 秒
のか想起させ、考えやすくする。
・自分で考えつかない児童には5年生の
時に混み具合を比べた時の考えが利用
できることをヒントとして提示する。
班も秒数でわって1秒あた
りの距離を調べて比べられ
る。
・数直線を使っても求められ
る。
・4mにそろえれば計算が簡
単になる。時間がおよそだ
と比べづらい。
4.それぞれの考えを発 ・速さを多面的にとらえることができる ・1秒あたりの走った長さを
表し、検討する。
ようにするため、自分と違う考えも記
比べるとおよそで求めた数
入させる。
が少しでも大きい方が速く
なるからわかりやすい。
速さを比べるときには、1秒間あたり
5.速さの比べ方をまと
める。
に走った距離や1mあたりにかかった
・速さの順位は決まってるか
時間などの単位量あたりの考えを使っ
らどっちで計算しても結果
て比べる方法が便利です。
は同じはずだよ。
・速さは1秒あたりに走った距離や、1
mや4mで比較すれば求められるが、
それぞれのよさや一般性を押さえ、1
秒あたりの距離を求めるとよいことを
知らせる。 【手立て②】
Ⅳ
指導後の考察
○具体物で速さ比べを行った結果、速さに対するイメージがわきやすくなったため理解も深まり、単
元末テストでは2学期の他の4回のテストでは思考力の学級平均の得点率が64~84%なのに対
して速さの単元では88%と他の単元よりもとても高いものとなった。実際に「速さは簡単。」「速
さは得意。」と言う児童は多い。
○速さ比べという児童の好きな競争を取り入れたために普段の授業よりも意見が活発に出て、友だち
の考えに賛同したりする声が多くなり、それ以降の学習でも今までよりも多様な意見が多くでるよ
うになった。
●理解が十分でない児童に自分の考え式や数直線を使って表現させるために、意欲を持続させ、積み
重ねをさせるのための適切な手助けを継続して行わなければいけない。