平成26年度 校内研修計画 「インクルーシブ教育推進研究部会」 1 研究主題 すべての児童の学びを支える インクルーシブ教育の実践 ~合理的配慮への取り組みやスクールクラスターの活用をとおして~ 2 主題設定の理由 インクルーシブ教育とは、共生社会の形成に向けて、障害のある子もない子も、 障害種別に関わらず、すべての子どもを排除しないで包み込み、共に学ぶことを目 指す教育であるといわれる。平成18年に国連で採択された「障害者の権利に関す る 条 約 」に お い て 共 生 社 会 : イ ン ク ル ー シ ブ 社 会 の 促 進 等 が 規 定 さ れ た こ と を 受 け 、 わ が 国 で も 平 成 24 年 1 月 に 国 連 へ 批 准 し 国 内 法 の 整 備 が 進 め ら れ て い る 。 これを受けて、教育分野においては、障害のある子とない子が共に学ぶ仕組み(シ ステム)の構築が求められるようになり、その構築に向け更なる特別支援教育の推 進が必要になっている。 また、平成24年7月中央教育審議会の「共生社会の形成に向けたインクルーシ ブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」では、個別の教育的ニ ーズにある子どもが「同じ場所で共に学ぶことを追求する」ことや「教育的ニーズ に最も的確に答える指導」、「多様で柔軟な仕組みを整備」の重要性、さらに、小 中 学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級といった 連続性のあ る「 多 様 な 学 び の 場 」を 用 意 し て お く こ と が 必 要 で あ る と 述 べ ら れ て い る 。さ ら に 、 各学校の設置者及び学校においては、障害のある子どもが他の子どもと平等に教育 をうける権利を享有・行使することができるよう「合理的配慮」やその基盤となる 「基礎的環境整備」の推進が求められている。 これまで学校においては、校内委員会の設置や特別支援教育コーデ ィネーターの 指名等の体制整備が進み、特別支援教育や発達障害等に対する理解も進んできた。 しかし、これからは、インクルーシブ教育構築に向けた特別支援教育の更なる充実 に向けた取り組みとして、一人一人の子どもに確かな学びを保障していくことや、 障害のある子もない子も障害種別に関わらず、共に同じ場で受け入れ学ぶための環 境 整 備 、必 要 な 配 慮 ( 支 援 ・ 手 立 て ) を ど の よ う に 工 夫 し て い く か が 問 わ れ て く る 。 本 校 は 、平 成 2 5 年 度 に 文 科 省 に よ る イ ン ク ル ー シ ブ 教 育 シ ス テ ム モ デ ル 事 業( ス クールクラスター・合理的配慮の取り組み)研究の指定校を受け、対象となる児童 を決めて、地域資源(福祉・医療等)との連携や、子どもにとって学びやすい授業 (教材提示方法、課題・板書量の調整、座席・グループ配置、声かけ等)、生活面、 多様な学びの場の設定、教師の連携した指導、個別指導場面での配慮、等の研究を 進めてきた。これまでの特別支援教育の取り組みも重なり、合理的配慮の基礎とな る基礎的環境整備が充実し、「連続性のある多様な学びの場として」⇒「通級指導 教室」「肢体不自由学級」「支援学級」が設置されたこと、人的配置として「学習 支援員の配置」が充実したこと、合理的配慮として「専門性のある指導体制(特別 支 援 研 修 会 等 へ の 参 加 、 SST の 授 業 実 践 ) 」 な ど は 、 研 究 の 充 実 に つ な が り 、 一 定 の成果を得ることができた。その一方で、研究の対象は限られた児童・職員に限定 された面があり、全職員による研究の共有や実践は十分でない等、課題が残されて いる現状がある。 こ れ か ら は 、障 害 の あ る 子 も な い 子 も 、す べ て の 子 ど も を 排 除 し な い で 包 み 込 む 、 インクルーシブ教育の推進に向け、すべての教職員が、一人一人の児童の学びを支 えるため、学級集団や通級指導等による少人数指導・個別指 導、職員間による連携 ・協働した指導・支援、子ども一人一人が学習活動に参加している実感や達成感を 持てる指導・支援の工夫、特別な教育的ニーズに応じる指導と「合理的配慮」(そ の子の学びを保障するために必要な支援・手立て)など、子どもの多様な学びのス タイルに柔軟に対応する取り組みの実践が不可欠になってくる。そのためには、こ れまでの研究で得られた成果や課題を全職員、関係職員が共有し、いつでも、どこ でも、だれでも、対象となるすべての児童への合理的配慮に関する取り組みの実践 を引き継ぎ、積み重ね、子どもにとって必要な指導・支援を絶やさないことが重要 であると考える。さらに、すべての子どもが社会で希望を持ち、自立して生きぬく ための学力や社会性を身につけ、お互いに支え合って生きる力の基礎を培う教育の 取り組みを充実させることが、すべての子どもの学びを保障するインクルーシブ教 育の構築に欠かせない視点であり、インクルーシブ社会:共生社会の礎を築くもの であると考え、本主題を設定した。 -1- 3 研究の方針 ①インクルーシブ教育の関連法案や条例、国、県、市の施策を参考に、関連を図 りながら研究を進める。 ② 理 論 研 究 ( 2 回 ) 、 授 業 研 究 会 ( SST1 回 ) を 行 い 、 職 員 の 資 質 向 上 を 図 る 。 ③学級担任、専科担当教諭、コーディネーター、関係職員が協力・連携し、共通 した実践の充実を図る。 ④ 合 理 的 配 慮 に 関 わ る 取 り 組 み を 、個 別 の 教 育 支 援 計 画 や 指 導 計 画 に 反 映 さ せ る 。 ⑤指導・支援でうまくいった対応やその方法、うまくいかなかった対応を学期ご とに評価し合い、必要に応じて修正を図りながら、充実した指導・支援へつな げていく。 ○研究の実践や成果・課題をまとめる。 4 研究仮説 学級における集団指導や多様な学びの場における指導において、子どもの特性 や教育的ニーズに応じた指導・支援方法などの、合理的配慮に基づいた指導の工 夫に取り組むことにより、すべての児童の学びを支えることができるであろう。 5 研究内容 ①校内研修における理論研究 (1回目 ⇒5月中旬頃) ○インクルーシブ教育システム、合理的配慮、基礎的環境整備に関する理論 ○全校体制で取り組む合理的配慮について 検討・確認・共有 ○個のニーズに応じた「合理的配慮」について (2回目 ⇒夏休み) ②合理的配慮に関わる実践研究 ○ 学 級 に お け る 個 の ニ ー ズ や 困 難 さ に 応 じ た 必 要 な 配 慮( 必 要 な 支 援 ・手 立 て ) ○ 専 科 に お け る 個 の ニ ー ズ や 困 難 さ に 応 じ た 必 要 な 配 慮( 必 要 な 支 援 ・ 手 立 て ) ○通級指導教室、支援学級などの個別指導や少人数指導における配慮 (必要な支援・手立て) ○担任と連携したソーシャルスキルトレーニングの授業実践 ③実践に関わる評価の研究 ○合理的配慮に関わる「学級づくりチェックシート」作成 ○合理的配慮に関わる「支援シート」作成 ※ 合 理 的 配 慮 チ ェ ッ ク リ ス ト や 研 究 購 入 図 書 を 参 照 し 、研 究 主 任 が 作 成 す る 。 ※個の特性や実態に応じた教育的ニーズ・必要な配慮について、全職員がチ ェックを行う。 ※「支援シート」の記入、活用を図り、継続した支援を行う。 (担任・学年・コーディネーターを中心に) -2-
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