実践事例1 実践事例1 体験を通して〔音楽の素〕や旋律の特徴に気付き、演奏表現に生かす実践事例 題材名 様子を思い浮かべながら聴こう 教材名 「ゆかいな時計」 組曲「ハーリ ヤーノシュ」からウィーンの音楽時計 (小学校2年) 体験を通して〔音楽の素〕や旋律の特徴に気付き、音楽づくりの表現に生かすための手立て ①鑑賞の活動で、楽曲のイメージを広げるため、旋律の特徴やリズムを身体やスカーフの動きで表しながら、音 楽を形づくっている要素〔音楽の素〕を聴き取るようにする。 ②鑑賞で聴き取った旋律の特徴や〔音楽の素〕を言葉や絵で表すとともに、曲に合わせて一緒に演奏する活動を 設定し、体験することで理解を深め、その曲に親しむようにする。 ③更にイメージを広げるために別の楽曲を鑑賞し、表現との関連を図り、音楽づくりに生かすようにする。 学習の流れ(4時間扱い) 1 【本事例にかかわる手立て】 鑑賞曲「ゆかいな時計」を聴く。 (第1時) ・曲名を伝えずに鑑賞し、旋律の特徴や聴き取った 〔音楽の素〕から、曲名を想像する。 ・ 「時計」の様子を表している部分に注目して聴き、 全員がスカーフを持ち、楽曲に合わせてスカーフ 旋律の特徴を、身体やスカーフの動き で表現することで、無意識に感じ取って いることを意識化させ、体験を通して自 然に楽曲のよさや面白さを感じ取れる ようにする。 (手立て①) を振ったり動かしたりする。 2 楽曲の特徴を感じとり、言葉や音で表現する。 (第2時) ・楽曲に合わせて、時計の音に合った楽器を選び、 楽器の音色やリズムに注目して聴くこと 演奏する。 ・聴き取った〔音楽の素〕を手掛かりにして「ゆ かいな時計」の物語を考え、絵や言葉で表現する。 3 〔音楽の素〕を意識して繰り返し聴き、 で、楽曲全体を味わい、イメージを広げ て聴けるようにする。 (手立て②) 感じ取った音楽や旋律を使い、音楽づくりをする。(第3・4時) ・鑑賞曲「組曲『ハーリ ヤーノシュ』から ウィーンの音楽」を聴く。 ・楽曲で使われている旋律を基に、楽器で「時計 音楽づくりと関連させ、思いや意図を もって表現する場を設定することで、鑑 の音」のモチーフを考え、つなぎ方や重ね方など 賞の活動で感じ取った、楽曲のよさや面 を工夫してグループ毎にまとまりのある音楽をつ 白さを実感できるようにする。 くる。 (手立て③) ・グループ毎に発表し、お互いの表現のよさを共有する。 <成果と課題>(○成果 ●課題) ○鑑賞の活動で、身体やスカーフの動きで表現したり、聴き取った〔音楽の素〕から物語を想像させたり したことで、児童一人ひとりが旋律の特徴や〔音楽の素〕のよさや面白さをしっかりと理解でき、 イメージを広げ、曲を深く味わうことができた。 ●鑑賞したことを生かし、音楽づくりにつなげたが、グループによって活動時 間に差ができてしまい、音楽づくりの際の条件設定やワークシートの形式等、 児童が見通しをもって活動できるように工夫していきたい。 実践事例2 聴き取ったことや感じたことを伝え合い、音楽のよさや面白さを実感できる活動の実践事例 題材名 曲の流れを感じ取り、全体を味わってきこう 教材名 「ノルウェー舞曲 第2番」 (小学校4年) 聴き取ったことや感じたことを伝え合い、音楽のよさや面白さを実感させる手立て ① 感じ取ったことを絵や文章で表すことで、楽しく想像を広げて聴くことができるようにする。 ② 小道具を用いて身体を動かしながら鑑賞することで、音楽の要素が変化する面白さを実感させる。 ③ 楽曲の魅力を伝え合う活動を通して、音楽に対する自分の思いを友達と共有したり深めたりする。 学習の流れ(3時間扱い) 1 曲想の変化を味わって聴き、物語を考える。(第1時) ・「ノルウェー舞曲 第2番」の全体を味わって聴く。 ・ピアノに編曲された演奏を聴き、比較しながらオーボエや オーケストラの音色の特徴をとらえる。 聴き取ったり感じ取たりしたこと を手掛かりに、物語として表すこと で、楽しく想像を広げて聴くことがで ・教師の用意した物語を提示し、もう一度鑑賞する。 ・楽曲の雰囲気や曲想の変化に合わせて、物語を考える。 2 【本事例にかかわる手立て】 きるようにする。 (手立て①) 小道具を動かしながら鑑賞し、音楽の要素が変化する面白さを感じ取る。(第2時) ・スプリングを曲想、強弱、リズムに合わせて自由 に動かす。 カラーボール等の小道具を用いて身体を動か しながら鑑賞することで、音楽の要素が変化する ・カラーボールを速さ、拍の流れに合わせて動かす。 面白さを実感させる。 (手立て②) ・活動によって感じ取った音楽の要素を、全体で共 有し、まとめる。 ・感じ取った音楽の要素を“楽曲の魅力”として、 自分の言葉でまとめ学習カードに記入する。 3 楽曲の魅力を友達と伝え合う。 (第3時) ・代表児童の発表を鑑賞し、伝え合いの流れを確認する。 ・学習カードにまとめた楽曲の魅力と、自作の物語を友 達と伝え合う。 楽曲の魅力を絵や言葉で伝え合う活動を 通して、音楽に対する自分の思いをもち、友 達と共有したり深めたりする。 (手立て③) <成果と課題>(○成果 ●課題) ○曲想にあわせて物語を創る活動から、楽しく想像を広げて鑑賞の活動に取り組むことができた。 ○スプリングやカラーボール等の小道具を用いることで、以下のような成果が得られた。 ①児童が感じ取った音楽の要素を視覚化することができる。 ②音楽の要素の変化を、児童が楽しく“実感”“体感”することができる。 ③身体の動きで表現することが苦手な児童にとって、聴き取ったことを表現する手助けになる。 ④聴き取ったことが視覚化されることにより、評価に生かすことができる。 ○楽曲に対する自分の思いを伝え合う活動により、友達と音楽のよさについて語り、共有する喜び を実感することができた。 ●物語を創ったり文章にまとめたりする活動は、音楽のよさを表現するための手立てである。音楽 の魅力を伝え合う学習としてのねらいを明確にし、活動内容を精選して行う必要がある。 実践事例3 曲想からイメージした情景や、感じ取った特徴を伝え合い、聴き深めるための実践事例 題材名 物語の進行と関係する曲想の変化を感じ取り、音楽の特徴をとらえながら聴き深めよう 教材名 「魔王」 (中学校 1 年) 曲想から感じ取ったイメージや情景を言葉で表し、音楽表現の楽しさに気付くとともに、 思いを共有しながら聴き深めるための手立て ①歌曲「魔王」の鑑賞から、表現されている世界観を想像し、音楽表現の楽しさに触れられるようにする。 ②音楽の特徴を知覚・感受したことを言葉などで表現し伝え合うことで、多様な感じ方や価値判断に触れ、相互理解 を深めるようにする。 ③原語と日本語での雰囲気の違いを聴き比べ、楽曲に対して自分なりの価値観を形成して聴き深めるようにする。 学習の流れ(3時間扱い) 1 【本事例にかかわる手立て】 物語の内容を理解し、各登場人物の特徴を聴き取る ・楽曲から物語の世界観を感じ取らせる。 教科書を見ずに鑑賞することに より、想像力を膨らませ、楽曲から ・原語(ドイツ語)で鑑賞をし、曲想からどのような物語なのか考える。 多様な感じ方や世界観を広げられ ・伴奏が物語においてどのような役割を果たしているのかを考える。 2 るようにする。 (手立て①) 物語の進行と曲の構成との関わりについて知る それぞれの役の特徴や声色、歌い ・シューベルトが役柄ごとに考えた仕掛けや工夫について知り、楽曲 方、伴奏の違いを板書し、全員で共 3 ・一人4役を演じる上で生まれる、曲想や歌い方の特徴を聴き取る。 への理解を深める。 有しながら、演奏で確かめながら役 原語(ドイツ語)と日本語を聴き比べ、互いのよさに気付かせる の心理描写に迫り、楽曲への理解に ・海外の言葉の節と日本語の言葉の節の違いをとらえる。 つなげるようにする。 (手立て②) ・日本語で鑑賞をし、ドイツ語との雰囲気の違いを感じ取り、自分なり に価値判断をしながら聴く。 原語と日本語の演奏についてデ ィスカッションする場を設定し、 それぞれの演奏に対する考えを伝 え合うことで、互いの意見を尊重 し認め合うとともに、自分なりの 価値判断をしながら聴くことがで きるようにする。 (手立て③) 〈成果と課題〉(○成果 ●課題) ○導入として原語で魔王を鑑賞することにより、知っている言葉を探したり、特徴的な発音や音としてのドイツ 語の響きから登場人物を模索したりしながら、楽曲の雰囲気を感じ取って物語のあらすじを考えるなど、互い の意見を活発に出し合い、多様な感じ方を認め合う雰囲気を作り出すことができた。 ○それぞれ役の違いを聴き取る際に、黒板にまとめ視覚化したことで、共通点や相違点などが明確になり、具体 的な視点をもって思考・判断することができ、より深い楽曲の理解につなげることができた。 ○楽曲の仕掛けやその効果については、生徒自身の日常生活や経験を想起させ、実際の演奏と結び付けながら鑑 賞することができた。 ●楽曲に対する生徒の考えを引き出すために、どの〔共通事項〕を切り口として発問を設定したらよいかが大変難 しいと感じた。生徒が思考・判断しながら聴くための、効果的な発問の吟味と精選をしていきたい。
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