issue date 2016/10/03

ソニーフィナンシャルホールディングス調査レポート
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部長 尾河 眞樹
issue date 2016/10/03
米雇用統計後のドル円相場 今週のドル円予想レンジ 100.50-103.00
OPEC減産合意による原油価格の上昇に加え、ドイツ銀行の株価急反発が今週の金融市場にとっ
て支援材料となりそうだ。9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比15万人以上の伸び
となるかがカギ。波乱なく12月の利上げ観測が維持されれば、ドル円相場への影響は限定的か。
先週26日に行なわれた米大統領候補によるテレビ討論会は、視聴
者数が8,400万人と、36年ぶりに最高記録を更新した。討論会直後
に行なわれた世論調査(CNN/ORC)では、クリントン氏が優勢だっ
たとの回答が67%だったのに対し、トランプ氏は27%にとどまっ
た。市場はこれを好感し、メキシコペソが上昇(図表1)。その後
28日に石油輸出国機構(OPEC)が小規模ながら減産で合意すると、
今週の注目材料
【米】10月3日:9月ISM製造業景況指数
【豪】10月4日:RBA政策金利
【米】10月5日:9月ISM非製造業景況指数
【米】10月7日:9月雇用統計
リスクセンチメントが回復するなか、ドル円は101円台に持ち直し
た。週末にはドイツ銀行の株価が急反発したことも支援材料となり、
欧米株価の上昇に伴ってドル円は101円台半ばで週の取引を終えた。
■図表1:ドル/メキシコペソ(日足)
ドイツ銀行の株価急反発は、米司法省がモーゲージ担保証券(MB
S)の不正販売問題をめぐり、同行に対して科すとしていた最大1
40億ドルの罰金について、「54億ドルに大幅に削減される方
向」との一部報道が背景。そもそも同行は2,230億ユーロ(約25兆
4,200億円)もの潤沢な流動性準備(現金・有価証券)があり、
2008年に米国でみられたようなベア・スターンズ危機やリーマ
ン・ショック同様の、いわゆる「流動性危機」に陥るリスクは低い
と言えよう。いざとなれば欧州中銀(ECB)からマイナス金利で緊
急流動性支援(ELA)を受けることも可能であり、「ドイツ銀行の
流動性危機→世界的な金融不安」という、いささか行き過ぎた懸念
が修正されるに従い、今週の金融市場では市場心理が好転しよう。
その場合、ドル円にとっても支援材料になるとみている。ただ、今
年2月以降強い抵抗線として機能してきた90日移動平均線103円21
出所:Bloomberg
■図表2:非農業部門雇用者数(昨年との比較)
銭を上抜ける材料としては力不足か。
また、今週は9月の米雇用統計に注目したい。9月の米連邦公開市
場委員会(FOMC)では、3名のメンバーが利上げを主張したうえ、
声明文でも年内の利上げが示唆されたことなどを踏まえれば、12
月のFOMCでは0.25%の利上げが決定される公算が大きい。FF金
利先物が織り込む12月の利上げ確率は約60%となっているが、雇
用統計発表後もこの予想が維持されるかがカギ。非農業部門雇用者
数の前月比増加が15万人以上であれば、昨年と同様の展開である
ことから、12月の利上げ予想が大きく後退することはないだろう
(図表2)。ただし、万一雇用の伸びが10万人を下回るなど大幅
に悪化すれば、年内の利上げ観測が後退するとともに、一時的にド
ル安・円高が進行する可能性もあるため注意したいところ。
出所:米労働省
1
Special reportについてのご注意
 本レポートは、ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「当社」といいます)が経済情勢、市況などの投
資環境に関する情報をお伝えすることを目的としてお客様にご提供するものであり、金融商品取引法に基づく開示資料で
はなく、特定の金融商品の推奨や売買申し込み、投資の勧誘等を目的としたものでもありません。
 本レポートに掲載された内容は、本レポートの発行時点における投資環境やこれに関する当社の見解や予測を紹介するも
のであり、その内容は変更又は修正されることがありますが、当社はかかる変更等を行い又はその変更等の内容を報告す
る義務を負わないものといたします。本レポートに記載された情報は、公的に入手可能な情報であすが、当社がその正確
性・信頼性・完全性・妥当性等を保証するものではありません。本レポート中のグラフ、数値等は将来の予測値を含むも
のであり、実際と異なる場合があります。
 本レポート中のいかなる内容も、将来の投資環境の変動等を保証するものではなく、かつ、将来の運用成果等を約束する
ものでもありません。かかる投資環境や相場の変動は、お客様に損失を与える可能性もございます。
 当社は、当社の子会社及び関連会社(以下、「グループ会社」といいます)に対しても本レポートに記載される内容を開
示又は提供しており、かかるグループ会社が本レポートの内容を参考に投資決定を行う可能性もあれば、逆に、グループ
会社が本レポートの内容と整合しないあるいは矛盾する投資決定を行う場合もあります。本レポートは、特定のお客様の
財務状況、需要、投資目的を考慮して作成されているものではありません。また、本レポートはお客様に対して税務・会
計・法令・投資上のアドバイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資の選択や投資時期の決定は必ずお
客様ご自身の判断と責任でなされますようお願いいたします。
 当社及びグループ会社は、お客様が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したこと(お客様が第三者に利用さ
せたこと及び依拠させたことを含みます)による結果のいかなるもの(直接的な損害のみならず、間接損害、特別損害、
付随的損害及び懲罰的損害、逸失利益、機会損失、代替商品又は代替サービスの調達価格、のれん又は評判に対する損失、
その他の無形の損失などを含みますが、これらに限られないものとします)についても一切責任を負わないと共に、本レ
ポートを直接・間接的に受領するいかなる投資家その他の第三者に対しても法的責任を負うものではありません。
 本レポートに含まれる情報は、本レポートの提供を受けられたお客様限りで日本国内においてご使用ください。
 本レポートに関する著作権及び内容に関する一切の権利は、当社又は当社に対して使用を許諾した原権利者に帰属します。
当社の事前の了承なく複製又は転送等を行わないようお願いします。
 本レポートに関するお問い合わせは、お客様に本レポートを提供した当社グループ会社の担当までお願いいたします。
ソニーフィナンシャルグループ
東証第一部上場(銘柄コード8729)
100%出資
100%出資
100%出資
生命保険事業
 ソニーフィナンシャルホールディングスは、ソ
ニー生命保険株式会社、ソニー損害保険株式会
社、ソニー銀行株式会社の3社を中核とする金
融持株会社で、東京証券取引所第一部に上場
(銘柄コード8729)しています。
損害保険事業
 当社グループの各事業は、独自性のある事業モ
デルを構築し、合理的かつ利便性の高い商品・
サービスを個人のお客さまに提供しています。
銀行事業
 当社グループの基本情報、業績、グループ各社
の事業内容などにつきましては、当社ホーム
ページでご覧いただけます。
http://www.sonyfh.co.jp
100%出資
介護事業