ソニーフィナンシャルホールディングス調査レポート ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部長 尾河 眞樹 issue date 2017/01/23 トランプ大統領誕生 今週のドル円予想レンジ 113.00-115.50 トランプ大統領の就任演説は、やや保護主義色が強かったものの、ほぼサプライズはなし。今後具 体的な政策が明らかになれば、ドルの支援材料となる公算。一方、ドル円はチャート上、日足一目 均衡表の雲に差し掛かっており、ポジション調整によって一時的に110円を割り込む可能性を示唆。 1月20日、トランプ第45代大統領が誕生した。就任演説では、大統 領選挙中にも述べてきた、「米国第一主義(America First)」や 「米国を再び偉大な国にする(make America great again)」な 今週の注目材料(いずれも現地時間) どが強調された。これらに加えて、総ての米国人(特に忘れられた 【欧】1月23日:1月消費者信頼感(速報値) 人々・弱者)に対し、「あなたたちが無視されることは金輪際ない。 【独】1月24日:1月製造業PMI(速報値) あなたたちの声、希望、夢が米国の運命を決める」と述べ、彼らに 【米】1月24日:12月中古住宅販売 対して夢や希望を与えるとのメッセージが新たに加わったが、これ 【独】1月25日:1月Ifo景況感指数 も事前に一部報道されていた通りで、特にサプライズはなかった。 【米】1月26日:12月新築住宅販売 若干予想外だったのは、これまでのワシントンを痛烈に批判したこ 【米】1月27日:10-12月期GDP成長率、個人消費、 と。また、「米国第一主義」の下りで、「ほかの国々が、われわれ の製品を作り、われわれの企業を奪い取り、われわれの雇用を破壊 するという略奪(ravage)から、われわれの国境を守らなければな PCEデフレーター等(速報値) ■図表1:米実質GDP成長率(前期比年率) らない」「保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながる」「私は全 身全霊で、皆さんのために戦う(I will fight for you)、そして決し て失望はさせない!」と、昨年11月の大統領選直後に行われた勝 利演説よりも、かなり厳しい表現で貿易相手国を批判し、保護主義 色が強まった印象だったことだ。これらを嫌気し、ドル円は114円 台前半まで小幅に下落したが、いずれにせよ内容の濃いスピーチで はなかったことから、値動きは限定的。なお、先週行われた欧州中 銀(ECB)理事会では、金融政策は据え置かれた。ドラギ総裁の記 者会見が予想外にハト派的だったためユーロドルは一時下落したが、 週末には1.07ドル台まで回復した。 トランプ政権始動により、これまで身動きが取りにくかった投資家 にも徐々に動きが出てくるのではないか。まず、1月~2月に米両 注:16年4Q は市場予想の中央値 出所:米商務省、Bloomberg ■図表2:ドル円(日足一目均衡表・雲) 院合同会議で行われるであろう「所信表明演説」、例年で言うとこ ろの「一般教書演説」では、トランプ政権の主要な政策課題が述べ られる。その後「予算教書」(おそらく2月中)が議会に提出され、 大統領の議会に対する予算編成の方針が示される。トランプ政権の 財政政策が具体的に見えてくるだろう。これらの新しい情報が徐々 に明らかになり、米国の景気にとってポジティブと受けとられれば 再びドル高トレンドが再開する公算が大きい。なお今週発表される 米国の10-12月期GDP成長率(速報値)は、7-9月期から減速が 見込まれるものの、予想を大幅に下振れない限り、為替へのインパ クトは限定的か(図表1)。一方、気がかりなのはドル円のチャー ト。日足一目均衡表の雲上限114円24銭に差し込みつつあり、仮に 終値ベースで明確に下抜ければ同雲下限の109円93銭が、短期的な 調整の目標値として視野に入ってくるため、警戒が必要(図表2)。 出所:Bloomberg 1 Weekly Market Focusについてのご注意 本レポートは、ソニーフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「当社」といいます)が経済情勢、市況などの投 資環境に関する情報をお伝えすることを目的としてお客様にご提供するものであり、金融商品取引法に基づく開示資料で はなく、特定の金融商品の推奨や売買申し込み、投資の勧誘等を目的としたものでもありません。 本レポートに掲載された内容は、本レポートの発行時点における投資環境やこれに関する当社の見解や予測を紹介するも のであり、その内容は変更又は修正されることがありますが、当社はかかる変更等を行い又はその変更等の内容を報告す る義務を負わないものといたします。本レポートに記載された情報は、公的に入手可能な情報ですが、当社がその正確 性・信頼性・完全性・妥当性等を保証するものではありません。本レポート中のグラフ、数値等は将来の予測値を含むも のであり、実際と異なる場合があります。 本レポート中のいかなる内容も、将来の投資環境の変動等を保証するものではなく、かつ、将来の運用成果等を約束する ものでもありません。かかる投資環境や相場の変動は、お客様に損失を与える可能性もございます。 当社は、当社の子会社及び関連会社(以下、「グループ会社」といいます)に対しても本レポートに記載される内容を開 示又は提供しており、かかるグループ会社が本レポートの内容を参考に投資決定を行う可能性もあれば、逆に、グループ 会社が本レポートの内容と整合しないあるいは矛盾する投資決定を行う場合もあります。本レポートは、特定のお客様の 財務状況、需要、投資目的を考慮して作成されているものではありません。また、本レポートはお客様に対して税務・会 計・法令・投資上のアドバイスを提供する目的で作成されたものではありません。投資の選択や投資時期の決定は必ずお 客様ご自身の判断と責任でなされますようお願いいたします。 当社及びグループ会社は、お客様が本レポートを利用したこと又は本レポートに依拠したこと(お客様が第三者に利用さ せたこと及び依拠させたことを含みます)による結果のいかなるもの(直接的な損害のみならず、間接損害、特別損害、 付随的損害及び懲罰的損害、逸失利益、機会損失、代替商品又は代替サービスの調達価格、のれん又は評判に対する損失、 その他の無形の損失などを含みますが、これらに限られないものとします)についても一切責任を負わないと共に、本レ ポートを直接・間接的に受領するいかなる投資家その他の第三者に対しても法的責任を負うものではありません。 本レポートに含まれる情報は、本レポートの提供を受けられたお客様限りで日本国内においてご使用ください。 本レポートに関する著作権及び内容に関する一切の権利は、当社又は当社に対して使用を許諾した原権利者に帰属します。 当社の事前の了承なく複製又は転送等を行わないようお願いします。 本レポートに関するお問い合わせは、お客様に本レポートを提供した当社グループ会社の担当までお願いいたします。 ソニーフィナンシャルグループ 東証第一部上場(銘柄コード8729) 100%出資 100%出資 100%出資 生命保険事業 ソニーフィナンシャルホールディングスは、ソ ニー生命保険株式会社、ソニー損害保険株式会 社、ソニー銀行株式会社の3社を中核とする金 融持株会社で、東京証券取引所第一部に上場 (銘柄コード8729)しています。 損害保険事業 当社グループの各事業は、独自性のある事業モ デルを構築し、合理的かつ利便性の高い商品・ サービスを個人のお客さまに提供しています。 銀行事業 当社グループの基本情報、業績、グループ各社 の事業内容などにつきましては、当社ホーム ページでご覧いただけます。 http://www.sonyfh.co.jp 100%出資 介護事業
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