Weekly Market Focus 2016年12月26日号 (PDF 646KB)

ソニーフィナンシャルホールディングス調査レポート
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部長 尾河 眞樹
issue date 2016/12/26
クリスマス明けはイベントにも乏しく・・・ 今週のドル円予想レンジ 116.50-118.50
日銀は先週、金融政策を据え置いた。黒田日銀総裁は会見で、「円安には驚かない」と述べ、足元
の円安・ドル高を事実上容認。長期金利目標の引き上げ論も時期尚早と一蹴し、緩和姿勢を維持す
るとした。したがってドル円の堅調地合いは続きそうだが、今週は材料に乏しくレンジ相場か。
先週19、20日に行われた日銀金融政策決定会合では、金融政策は
市場の予想通り据え置かれた。ただ、黒田日銀総裁の会見には3点
ほど注目すべき発言があった。①「現状は円安というよりドル高。
円安は2月ごろの水準であり、別に驚く水準とは思わない」、②
「2%の物価安定目標にはまだなお距離がある」、③「長期金利の
目標引き上げを具体的に議論するのは時期尚早。強力な金融緩和を
推進することが適切」、などである。同総裁の言う通り、今年のド
ル円相場は年初が120円台半ば付近だったことを踏まえれば、117
-118円台は特に驚くほどの円安ではない。しかし、ここ1カ月で
約16円もの円安は、かなりハイペースといえる。急速な円安は、
今週の注目材料
【米、英、欧、豪など】12月26日:
クリスマスホリデー
【英、豪】12月27日:ボクシングデー
【日】12月27日:11月消費者物価指数
【米】12月27日:10月ケース・シラー住宅価格
【日】12月28日:11月鉱工業生産
【米】12月30日:11月シカゴ購買部協会景気指数
【中】1月1日:12月製造業・非製造業PMI
輸入企業だけでなく輸出企業にとってもコストアップにつながり、
ケースバイケースではあるがマイナス面も出てくる。昨年6月にド
ル円が125円台を試した際、国内勢から円安に対するブーイングが
■図表1:日・消費者物価指数(CPI・前年比)
目立ったことをみても明らかだ。しかし、黒田総裁の発言からは、
急速な円安を心配するよりも、2%の目標にはほど遠い足元の物価
を押し上げることが最優先であることが見て取れる(図表1)。為
替水準もドル高で説明がつくうちは、特に問題視せず様子をみる構
えだろう。一方、ムニューチン次期米財務長官のメディアでの発言
からも、足元のドル高に取り立てて目くじらを立てる様子はみられ
ない。米国経済が堅調なうちは、日米間で通貨問題がクローズアッ
プされることもなさそうだ。日米ともに現状の為替水準を容認して
いるとすれば、ポジション調整以外にドル円が大きく下落する要因
出所:日銀
には乏しい。シカゴIMM通貨先物市場の円ポジションをみると、
20日時点で投機筋はついに7万5000枚規模の円ショートに傾いた。 ■図表2:IMM円ポジションとドル円
短期筋の円売り越しがようやく溜まり、何かのきっかけでポジショ
ン調整による円高が起こる可能性には警戒が必要だ(図表2)。
とはいえ、今週はそうしたポジション調整を誘発する材料に乏しい。
日本では、クリスマスの翌26日から、あらゆるデパートやスー
パーが一斉に「お正月モード」に切り替わる。しかし、欧米では今
週、26日がクリスマスの振替休日、27日は主に英国がボクシング
デーと、クリスマスの祭日による休場が続く。ちなみにボクシング
デーは、教会が貧しい人たちのために寄付で募ったクリスマスプレ
ゼントの箱(box)を開ける日だったのが、「Boxing Day」と呼ば
れる由来と言われる。こうしたクリスマス絡みの休場に加え、年末
まで目立った経済指標の発表もないことから、今週は高値圏での小
幅なレンジ相場が続くとみている。
出所:CFTC、Bloomberg
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