Weekly Market Focus 2017年02月06日号

ソニーフィナンシャルホールディングス調査レポート
ソニーフィナンシャルホールディングス 金融市場調査部長
日米首脳会談に注目
尾河 眞樹
issue date 2017/02/06
今週のドル円予想レンジ 111.00-114.00
トランプ大統領による「円安けん制」と米国の早期利上げ観測の後退により円高が進行。しかし、
米国が実際にドル安政策を採るのは現実的ではなく、2月10日の日米首脳会談が無事に通過すれば、
ドル円もじわり持ち直す公算が大きい。今週は豪州のイベントにも注目したいところ。
トランプ大統領は1月31日、「日本は通貨安誘導を繰り広げ、米国
はばかをみている」と、日本の為替政策を名指しで批判した。これ
を受けてドル円は一時112円台前半まで急落。翌2月1日、米連邦公
開市場委員会(FOMC)は金融政策の据え置きを決定。声明文はわ
ずかに景気判断が上方修正されたものの予想されたより慎重な内容。
3月利上げへのヒントも一切みられなかった。3日に発表された1月
の米雇用統計はまずまずの結果。非農業部門雇用者数は前月比22
万7000人と大きく増加した一方で、平均時給の伸びが前年比2.5%
と、12月の同2.8%から鈍化したことで、市場の早期利上げ期待が
後退し、ドル円は112円台半ばで先週の取引を終えた(図表1)。
トランプ大統領による「円安けん制発言」と、米早期利上げ期待の
今週の注目材料(いずれも現地時間)
【豪】2月6日:12月小売売上高
【豪】2月7日:RBA金融政策発表
【米】2月7日:12月貿易収支
【NZ】2月9日:RBNZ金融政策発表
【豪】2月10日:RBA四半期金融政策報告
【日・米】2月10日:日米首脳会談
【米】2月10日:2月ミシガン大消費者信頼感
(速報値)
■図表1:米平均時給(前年比)
後退がドル円の上値を抑えている。ただ、トランプ政権の政策、主
に現在検討されている国境税や、法人税率引き下げ、所得税減税や
インフラ投資などの財政政策は米国のインフレを加速させる内容で
あり、金利上昇とドル高を促す。無理にドル安にしようとすれば、
ドル売り介入や金融緩和をすることになるが、これらはさらにイン
フレを助長するため、政策上現実的ではない。トランプ大統領によ
る「ドル高けん制」や「保護主義」的な発言は今後も続く可能性が
高いものの、実効性を伴わない「けん制球」だけでは、為替相場へ
の影響も徐々に細っていくのではないか。2月10日に予定されてい
る日米首脳会談までは、ドル円相場も神経質な展開となりそうだが、
特に通商面での摩擦が回避され無事にイベントを通過すれば、市場
に安心感が広がりドル円相場も徐々に持ち直すとみている。トラン
出所:米労働省
■図表2:豪ドル円
プ大統領は2月3日、金融規制「ドッド・フランク法」を緩和する
ための大統領令2つに署名した。これには銀行の自己勘定取引を禁
じる規制なども含まれるため、リスクテイクを促し金融市場にはポ
ジティブ。米国金融株も大幅に上昇した。これまで保護主義政策ば
かり目立っていたが、このように、金融市場で望まれていた「規制
緩和」や「財政政策」など「良いインフレ」に繋がる政策への取り
組みが始まれば、再びドル高トレンドに回帰すると予想する。
トランプ政権へ の不安と期待 が交錯する なか、ドル円 は当面
110~115円のレンジ相場に入ったようにみえる。一方、今週は豪
準備銀行(RBA)の理事会にも注目したい。ここ最近の良好な経済
指標により、RBAの追加利下げ観測が後退し、豪ドルは堅調地合い
となっているが、理事会の声明文で景気認識が上方修正されるよう
であれば、豪ドルが一段と上昇する可能性もありそうだ(図表2)。
出所:Bloomberg
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