⼤腿⾻近位部⾻折に対する深部静脈⾎栓症のスクリーニング ⼤腿⾻近位端⾻折における深部静脈⾎栓症の発⽣頻度その予防を⾏わなかった場合30〜50パーセントであ り、そのうち致死的肺⾎栓塞栓症に⾄る頻度は0.1〜7.5パーセントである。したがって⼤腿⾻近位端⾻折 の患者においては深部静脈⾎栓症の予防を⾏うと同時に、術前にスクリーニングを⾏い、診断がついたら必 要に応じてその治療を⾏うことが重要である。D-ダイマーは深部静脈⾎栓症のスクリーニングとして有⽤ であり、その感度は100%近いとされている。⼤腿⾻近位端⾻折の術前患者に対しては前例⾎液検査でD-ダ イマーの値を測定し、深部静脈⾎栓症が疑われたら静脈エコー検査などを⾏う⽅針としている。 4⽉ 38% 5⽉ 55% 6⽉ 56% 7⽉ 40% 8⽉ 43% 9⽉ 47% 10⽉ 56% 11⽉ 46% 12⽉ 1⽉ 56% 0% 2⽉ 54% 3⽉ 86% 50% H27年度(N=123) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 当院値の定義・算出方法 分⼦: ⼿術を必要とする⼤腿⾻頸部⾻折、⼤腿⾻転⼦部⾻折、⼤腿⾻転⼦下⾻折、⼤腿⾻⾻幹部⾻折の 患者で、術前にD-ダイマーの測定を⾏った患者数 ×100(%) 分⺟: ⼿術を必要とする⼤腿⾻頸部⾻折、⼤腿⾻転⼦部⾻折、⼤腿⾻転⼦下⾻折、⼤腿⾻⾻幹部⾻折の患者数 ※グラフ中のN数は分⺟の値を⽰しています。 解説(コメント) ⼤腿⾻頸部⾻折、⼤腿⾻転⼦部⾻折、⼤腿⾻転⼦下⾻折、⼤腿⾻⾻幹部⾻折の患者において肺塞栓症は⽣命 に危険性に関わる重⼤な合併症である。D-ダイマーの測定はその原疾患である深部静脈⾎栓症のスクリー ニング検査として最も有⽤とされているため、術前にD-ダイマーを測定して早期に深部静脈⾎栓症を検出 することによって、肺塞栓症の危険性を減少することを⽬標としている。 改善策について 現在術前のルーチン採⾎検査にD-ダイマーは組み込まれていない。今後ルーチン検査に組み込んで、100% スクリーニングできるようにする予定としている。 ⽂責:整形外科主任部⻑ 松垣 亨
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