Weekly Market Report 1. 為替相場概況

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Aug 29, 2016
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
米国9月利上げ観測広がる。今週末に発表となる⽶雇⽤統計に注目。
USD/JPY (1週間の値動き)
FRBフィッシャー
副議⻑の発⾔
ドル円週間安値
99.93円
FRBイエレン
議⻑の発⾔
コメント
(出所)Bloomberg
先週のドル円相場は、週末のイエレン議⻑講演を控え様⼦⾒ムードが強く、週末までは膠着感の強い展開となった。週初、ややドル買いが先
⾏してスタートするも、⽇経平均株価の下落や⽶国利上げ時期の不透明感から円⾼が進⾏する場⾯も⾒られ、23日欧州時間には週間安
値となる99.93円まで円⾼が進⾏した。その後、良好な⽶国経済指標や⽇経平均株価の上昇も特段材料視されず、26日に控えたFRBの
イエレン議⻑の講演内容を⾒極めたい投資家の持ち⾼調整の動きが中⼼となった。注目された26⽇のイエレン議⻑の講演については、労働
市場の改善に伴い、年内利上げの根拠が強まったとの⾒⽅を⽰した。その後、当該根拠を補完するフィッシャー副議⻑の発⾔も伝えられると、
9⽉利上げの可能性を織り込み、ドル円相場は2週間振りの高値水準となる101円台後半まで上昇した。
今週のドル円相場は、⽶国の年内利上げの可能性が⽰された事で、もう⼀段円安進⾏する場面もあると思われる。週末⾦曜⽇の⽶雇⽤統
計結果次第では、9⽉の利上げ可能性が⼀層⾼まる可能性もあり、利上げ時期を巡ってドル円相場は当面不安定な動きとなるだろう。
(市場営業部/吉岡)
今週の経済指標(予定)
日付
USD/JPY(2年間)
イベント
予想
8/29(月)
(米国)PCEコア(前年⽐)
+1.5%
8/30(火)
(米国)消費者信頼感指数
97.0%
8/31(水)
(欧州)CPI予想
0.3%
8/31(水)
(米国)ADP雇用統計
175K
9/1(木)
(米国)ISM製造業景況指数
52.0
9/2(⾦)
(米国)非農業部門雇用者数
180K
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
高野一歩
99.50-104.00
⽶国の年内利上げを占う上で今週末の⽶雇⽤統計は重要。その他指標の結果にも振らされる週となりそう。
今村 仁
99.50-103.50
週末の雇用統計に向けてドルのショートカバー強まるも、新規のドル買いを誘発するにはハードル高いか?
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Aug 29, 2016
2. 円⾦利相場概況
20年債⼊札は順調に消化。今週の⽶雇⽤統計発表に注目が集まる。
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
10年債利回り
20年債⼊札順調を受け
フィッシャーFRB副議⻑の
発言を受け
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の円⾦利市場は週末のイエレンFRB議⻑のジャクソンホールでの講演を控え様⼦⾒ムードが広がり、小動きでの推移となった。23日20
年債⼊札が実施され、応札倍率3.87倍(前回3.46倍)、テール3銭(前回17銭)と応札倍率では2014年9月以来の高水準となる順調
な結果となった。週末のイエレン議⻑に講演では「この数ヵ⽉で追加利上げへの説得⼒が増した」と発言するも時期については触れず、その後
にフィッシャーFRB副議⻑は「イエレン議⻑の発⾔は9⽉利上げの可能性と整合」と述べるなど、9⽉追加利上げへの地ならし的発⾔が続き
米10年債利回りは上昇となった。今週は米雇用統計の結果から引続きFRBによる利上げ時期を占うことになるが、結果次第では9⽉利
上げの可能性が一気に高まりそうな気配も出てきている。⽶雇⽤統計が良好な結果となれば円債市場にも⼀定程度の⾦利上昇圧⼒がか
かろう。9/1は10年債⼊札が実施されるが無難に通過しよう。
(市場営業部/土橋)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
後藤賢太郎
小野口裕美子
今週のレンジ
-0.12%-
-0.04%
-0.15%-
-0.02%
予想のポイント
需給の良好さから低位推移⾒込みだが9⽉に向けた⽇銀の追加緩和や政策⾒直しを巡る思惑が随時変動材料となりそう。
市場は9⽉の決定会合待ちながらも、今週末の⽶雇⽤統計で強い結果となれば円⾦利にも⼀時的に上昇圧⼒かかるか。
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3. 今週のトピックス
通貨オプション市場の動向
夏休み相場で低パフォーマンス続けるスポット市場、それでもボラティリティーは底堅い値動き
主要通貨のボラティリティーは7⽉半ばから下落基調
英国のEU離脱決定後、スポットの値動きが落着きを取り戻した7月
半ば以降、休暇入りする為替市場参加者が増え、動意が薄れて、ス
ポットのパフォーマンス(≒値動き)が下落し、インプライド・ボラティリ
ティー(以下I.V.)も下落する典型的な「夏枯れ」相場となったが、
図1からも⾒て取れるようにドル円のI.V.のみが、他の通貨のI.V.比
底堅く推移している。
【図1】ドル円と他通貨3か月物
インプライド・ボラティリティーの動き比較
(%)
ドル円のI.V.を押し上げる「日銀プレミアム」
7月29⽇決定会合後に⽇本銀⾏が追加の⾦融緩和策を発表した
が、間もなくドル円では2円あまり円⾼が進⾏した。会合の1週間ほど
前から、通貨オプション市場では、この日1日のI.V.は50%超の水準
で取引されていたが、これは1日の値動きのブレークイーブンポイントが
約2円10銭ということを意味する。すなわち、緩和策発表直後に起こ
ったスポットの値動きを、オプション市場は1週間前の時点でほぼ正確
に予⾒し織込んでいたと言えよう。この会合終了後、⽇本銀⾏は「次
回会合において経済・物価動向や政策効果について総括的な検証
を⾏う。」というステートメントを発表したが、これを受けて、9月21日の
I.V.は急激に上昇しはじめた。このI.V.価格変動のインプリケーション
は、次回日銀会合こそ、その後2カ月近くにわたって通貨オプション市
場の価格形成を支配する主要ファクターとなったという事であろう。実
際のところ、1ヶ月前となった8月23日時点ではすでに9月21日の
I.V.は50%を超えてしまっている。表1で明らかな様に前回の決定会
合当日のI.V.が50%を超えたのがイベントの約1週間前だったのを⾒
ると今回は相当早いペースでのリスク織込みが進⾏している。このたっ
た1日の日銀決定会合に対する「イベント・プレミアム」は、1ヶ月物の
年率化I.V.を3%以上押し上げている計算になる。注意しなければ
ならないのは、この押し上げ幅そのものはスポット市場のパフォーマンス
とは殆ど連動せず、膠着相場が続いてもI.V.の水準を下支えする反
面、たとえスポットが急激に動いても、イベントを通過してしまうと一気
にターム物のI.V.を下落させるリスクを内包しているということであろう。
今後のインプライド・ボラティリティー相場展開
上述のような理由から、日銀の政策発表が終わる9月21日の午後に
は、一旦短期物を中心にターム物のI.V.は⼤きく下落する可能性が
高い。そのため先物為替の持値改善など、I.V.売却による、Rateの
Enhancementを狙うなら、ひとまず本邦のシルバー・ウイーク入り前
のタイミングに成約しておきたいところだろう。
ただ、表2に示した通り、11月初から幾つかドル円のI.V.相場に影響
を与え得るイベントをリストアップすることが出来る。市場ではすでにこ
れらのイベントにもある程度リスク・プレミアムが織込まれており、I.V.の
水準を下支えする要因とはなり続けようが、9⽉の⽇銀会合ほど強⼒
なI.V.押し上げ効果を発揮することができるかどうかは、今のところ予
断を許さない状況である。
【表1】通貨オプション市場における
日銀決定会合のI.V.価格
1ヵ月前
1週間前
7月会合
9月会合
6月1日 25.47%
8月1日 38.10%
6月15日 28.90% 8月15日 46.60%
6月29日 32.36% 8月23日 52.40%
7月1日 40.90%
???
7月15日 47.58%
???
7月20日 52.38%
???
通貨ドル円
各日付において銀⾏間市場価格から算出した⽇銀イベントのIV
【表2】11月前半の主なイベントと
各日のドル円 I.V.価格
イベント
日銀会合
米FOMC
⽶⼤統領選
日程
I.V.
11月1日
35.04%
11月9日
33.27%
11月3日
通貨ドル円
日程は結果が判明する日本時間
8月24⽇銀⾏間市場価格から算出
14.99%
( 出所:Bloomberg)
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