Weekly Market Report

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Jan 30, 2017
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
目⽩押しの経済指標・イベントを消化しつつ、引き続きトランプ⼤統領の⾔動に注意が必要。
USD/JPY (1週間の値動き)
ムニューチン次期⽶財務⻑官の
ドル高けん制発言
⽶⾦利上昇、日⽶株高
コメント
(出所)Bloomberg
先週のドル円相場は、トランプ⼤統領の保護主義的な政策に対する不安感や経済政策への期待感が交錯して、1ドル=112円台半
ば〜115円台前半で⼤きく動いた。週初、トランプ⽶⼤統領の就任演説で経済政策の具体策が⽰されなかったことや保護主義的姿勢が
あらためて⽰されたことが嫌気され、さらにムニューチン次期⽶財務⻑官による「過度に強いドルは⽶国経済に短期的にマイナスの影響を与え
る可能性がある」等の発言(23日)から一時112円台半ばまでドル安・円高が進んだ。その後は、トランプ新政権の政策をめぐって、相場へ
の警戒と期待が入り混じり週央には113円台半ばまでドル高・円安。週末にかけトランプ⽶政権の財政政策への期待から⽶⾦利上昇や株
高、日銀の国債買い入れ増額が支えとなり、結果115円台前半で越週。今週は日銀の⾦融政策決定会合(31日)、⽶連邦公開市場
委員会(FOMC)(2日)、⽶雇用統計(3日)のほか、経済指標も目⽩押し。不定期に投下されるトランプ⽶⼤統領のツイッター爆
弾にも注意を払う必要があり、相場動向が読み難い一週間となろう。
(市場営業部/山添)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
2/2(木)
(⽶)ISM製造業景況指数
55.0万人
2/2(木)
(⽶)FOMC政策⾦利発表
-
2/2(木)
(⽶)新規失業保険申請件数
25.0万件
2/3(⾦)
(⽶)非農業部門雇用者数
16.8万人
2/3(⾦)
(⽶)失業率
4.7%
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
川合隆⾏
113.00-116.50
日⽶⾦利差拡⼤⽅向によるドル高円安の地合いも、⽶通商政策により一時的にリスク回避的な円高に振れる可能性あり。
國井靖子
112.00-116.00
主要各国の⾦融政策は据え置きと予想するも、会合後の声明で⽅向性の違いが確認されれば一段のドル高も。
1
Jan30, 2017
2. 円⾦利相場概況
今週は日⽶の⾦融政策決定会合に注目
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
10年債利回り
日銀、1-5年ゾーンの
買入れオペ通告せず
日銀、5-10年ゾーンの
買入れ⼤幅増額
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の円⾦利相場は軟調な展開となり、ほぼ全年限において⾦利上昇した。海外市場では⽶ダウ指数が⼤台の2万ドルを突破する中、⽶
10年国債利回りは2.5%台まで上昇。円債市場も弱含む展開となる中、25日に日銀は1-5年ゾーンの買入れオペを通告せず、中短期
ゾーンは売り優勢。翌26日には40年国債利回りが1%を超える⽔準まで上昇し、超⻑期ゾーンも軟調に推移。27日、日銀は5-10年ゾー
ンの買入れオペを⼤幅増額するも、円債市場の地合いの悪さを⼤きく反転させるには至らず。10年国債利回りは0.08%近辺で週の取引
を終えた。なお、イールドカーブは中期ゾーンから超⻑期ゾーンにかけて上⽅向にパラレルシフトしている。
今週は1月30-31日に日銀会合、1月31日-2月1日にFOMC、2月2日に10年国債入札が予定されている。日⽶の⾦融政策決定会合
ではいずれも現状維持が予想されるが、今後の政策について何らかのインプリケーションがあるかどうかに注目したい。(市場営業部/淺川)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
伊藤功一郎
伊⾖浦有⾥恵
今週のレンジ
0.05%-
0.09%
0.05%-
0.10%
予想のポイント
日銀の国債買入オペに対する不透明感や、今週は日⽶⾦融当局会合があることから様子⾒姿勢強く狭いレンジ内での推移か。
日⽶⾦融政策が据え置かれる可能性高く、⽶⾦利先高感や日銀オペへの不透明感を背景に⾦利は調整相場が継続。
2
Jan 30, 2017
3. 今週のトピックス
⽶国バンクローン市場
利上げの追い風に乗る⽶国バンクローン市場
⽶国バンクローン市場に個人マネーが本格流⼊
バンクローンの利回りの現状
図2にあるとおりバンクローンの利回り(最終利回り)は、約5%程
度で、同様な信用⼒のハイイールド債(HY債)からは1%弱低い⽔
準である。ただし、HY債は固定⾦利であることから、⻑短の⾦利差を
考慮すれば、ほぼ同一の⽔準となっている。
昨年に原油価格下落が終息したことから、マネーフローを伴い、利回
りは低下。バンクローンの中でも⽐較的信用度の高いBB格の銘柄で
は、早期償還が⾏われる⽔準までローン価格は回復している状況。し
たがって、これ以上⼤幅な信用スプレッドの縮⼩は⾒込みづらく、さらな
るLIBORの上昇が実現すれば、利回りは底打ちに向かうことが予想さ
れる。
企業の利払い能⼒の維持に注目
バンクローンは担保付であるため、HY債に⽐べ価格の変動性(リス
ク)が低いのも魅⼒のひとつである。しかし信用⼒⾃体はHY債とほぼ
同等であるため、今後の企業業績の⾏⽅には注意しなければならな
い。
企業の信用⼒を測る指標としてレバレッジ倍率と⾦利カバレッジ倍
率が代表的であるが、利上げ局面である現在においては、⾦利カバレ
ッジ倍率に注目したい。
これまではFRBの低⾦利政策の恩恵により、⾦利カバレッジ倍率は
過去最高⽔準の5倍程度まで上昇していたが、LIBOR上昇の影響
により、直近4.5倍まで低下している。とはいえ、現状なお倍率は歴史
的に高い⽔準であるため、差し当たって信用⼒が悪化した状況とは言
い難い。(図3)
⾦利上昇時においても安定的な収益が期待できるバンクローンであ
るが、現在の利回り⽔準が企業体⼒に無理がないかどうかを⾒極める
ことが⼤きな投資判断の材料となろう。
1.2%
1.0%
0.8%
0.6%
0.4%
0.2%
16/12
16/9
16/6
16/3
15/9
LIBORフロアーの⽔準(新規発⾏銘柄平均)
15/12
15/6
15/3
14/9
14/12
14/6
14/3
13/9
13/12
13/6
13/3
0.0%
3ヶ月 $ LIBOR
出典:LSTA, Bloomberg
【図2】⽶国社債・ローンの利回り (%)
10
9
8
7
6
5
4
3
2
12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7
投資適格級社債
ハイイールド債券
バンクローン
出典:S&P/LSTA, Bloomberg Barclaysの各インデックス
社債は最低利回り(Yield to Worst), ローンは最終利回り(Yield to Maturity)
【図3】⽶国ローン市場の信用⼒指標(倍)
4.5
5.0
4.5
4.8
4.0
5.1
3.5
5.4
3.0
5.7
信用⼒の悪化
6.0
2.5
2.0
05/12
06/6
06/12
07/6
07/12
08/6
08/12
09/6
09/12
10/6
10/12
11/6
11/12
12/6
12/12
13/6
13/12
14/6
14/12
15/6
15/12
16/6
昨年12月の連邦準備制度理事会(FOMC)にて、一昨年に次
ぎ2度目の政策⾦利引き上げが決定され、今月、代表的な⽶国の指
標⾦利である3ヶ月⽶ドルLIBORは、ついに1%台を乗せた。この
LIBOR1%乗せは、⽶国バンクローン市場においては⼤きな意味のあ
る⽔準であった。
⽶国バンクローンは変動⾦利であり、通常3ヶ月⽶ドルLIBORを指
標としている。ただし、ほとんどのバンクローンはLIBORフロアー(下限
)を設定しており、LIBORフロアーを下回るLIBORの低下局面では
LIBORフロアーが維持される。利下げ局面においては、LIBORフロア
ーにより、最低限の利回りは保証されるものの、逆に利上げ局面にお
いては、投資家は利上げの恩恵をすぐに享受することができない。
現在においては、図1にあるようにLIBORフロアーを上回る⾦利⽔準
となっている状況となる。このような状況の中、主に⾦利上昇のメリット
を追及する個人投資家のマネーフローが2013年以来の規模となって
おり、市場の好調さを⽰すひとつの要因となっている。
【図1】⽶国バンクローンのLIBORフロアー⽔準
景気後退期
平均レバレッジ倍率(左軸)
⾦利カバレッジ倍率(右軸)
出典:S&P Global LCD News
*平均レバレッジ倍率は、Debt/EBITDAの4四半期ローリング実績(軸反転)
**⾦利カバレッジ倍率は、EBITに対する利払い費用の倍率
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