Weekly Market Report - Aug 17, 2015(PDF:676KB)

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Aug 17, 2015
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
迫る9⽉利上げの⾒極め、今週の⽶指標・イベント(CPI、FOMC議事録)には要注意
USD/JPY (1週間の値動き)
⼈⺠元切り下げ報道
中国⼈⺠銀の⼈⺠元買い
ドル売り介入報道
コメント
(出所)Bloomberg
先週のドル円相場は、⽇本がお盆休みで市場が閑散とする中、中国⼈⺠銀⾏の⼈⺠元の切り下げ、ドル売り介入報道によって、125円台
前半から123円台後半まで乱高下の展開。週初、前週末の米雇用統計を受けてドル円は124円台半ばで推移。翌11日、12日には中国
⼈⺠銀⾏が⼈⺠元を切り下げると、⽇本経済への悪化懸念も拡がりドル円は125円台前半まで円売りが進⾏。その後は中国⼈⺠銀⾏のド
ル売り介入報道をきっかけにドル円は一時123円台後半まで下落する場⾯もあったが、再度の⼈⺠元を切り下げ後、中国発の過度なリスク回
避の動きが一服すると、ドル円は124円台を回復した。結局ドル円は124円台前半で越週している。今週は各種経済指標を確認しながら9
月利上げを⾒極める展開。9⽉利上げの期待感が⾼まれば、ドル円は再び125円台に乗せる場面もあるだろう。(市場営業部/山添)
USD/JPY(1年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
8/17(月)
(米国)NY連銀製造業景気指数
+5.00
8/18(火)
(米国)住宅着⼯件数
1,200K
8/19(水)
(米国)CPI(前月比)
+1.8%
8/19(水)
(米国)FOMC議事録公表
-
8/20(木)
(米国)新規失業保険申請件数
27.1万件
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
牧野 剛
123.70-125.30
⼈⺠元の動きは⼀旦落ち着くも、中国経済の減速、原油価格の下落等リスク要因も浮上。上値の重たい展開を予想。
國井靖子
123.50-125.50
米経済指標やFOMC議事録にて米9⽉の利上げ⾒通しを探る展開。中国経済指標もあり、⼈⺠元相場の動向にも警戒。
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Aug 17, 2015
2. 円⾦利相場概況
⼈⺠元切り下げで債券⾼に
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
中国の⼈⺠元切り下げ
10年債利回り
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の円⾦利市場は、中国の⼈⺠元切り下げを受けて、他のアジア通貨が売られたこと、中国の実体経済への懸念、また、それに伴う原油
価格の下落を受け、債券は全⾯⾼の展開となった。⽕曜⽇の30年債⼊札はテールが前回の41銭から15銭。応札倍率も3.30倍と前回の
2.21倍を上回り無難な結果となった。ただし⼈⺠元切り下げも3⽇目に突⼊すると切り下げも終盤との⾒⽅から株価は上昇。債券先物も
147円台に下落した。⽊曜⽇の5年債⼊札はテール1銭、応札倍率3.44倍と無難な結果に終わった。⼈⺠元の切り下げは⼀旦収束した
もようであるが、原油安の影響は今後、ディスインフレという形で影響があると思われ、日銀の追加緩和の期待も出てこよう。
(市場営業部/池田)
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(1年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
伊藤功⼀郎
伊⾖浦有⾥恵
今週のレンジ
0.35%-
0.40%
0.37%-
0.42%
予想のポイント
⽶利上げ観測や本邦円債市場の⾼値警戒感が燻る中、今週の国債⼊札で今までの好需給に陰りが⾒受けられるか注目。
海外では⼈⺠元ショックが⼀服、関⼼は再び⽶利上げのタイミングへ。国内では⼊札を控え、調整圧⼒から⾦利低下し⾟い。
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3. 今週のトピックス
市場拡大するETF(上場投資信託)
ETFを競争戦略の視点から考える
はじめに
【図1】ETF市場規模(残高)
日銀の買入れ等もあり、国内でもETF残高が増加しています。
世界的に⾒ても、2008年の信⽤危機以降、急速に市場規模
を拡大しています。本稿では、ETFの商品優位性を競争戦略の
視点から整理してみたいと思います。
急拡大するETF市場
世界のETFの残高は2015年6月末現在、5,000本超で2.9
兆ドル(約355兆円)です(図1)。米国債の残高が12兆
6千億ドル(約1,546兆円) (SIFMA米証券業協会)で
すので、ETFの市場規模は米国債の1/4程度です。米国で第1
号ETFが上場されたのは1993年1月です。20年程度の歴史
しかない商品としては、その市場規模の拡⼤には目を⾒張るも
のがあります。
( 出所 ブラジル中央銀⾏、Bloomberg )
寡占市場
ETF 市 場 は 上 位 3 社 ( BlackRock 、 StateStreet 、
Vanguard)でグローバルETF市場の7〜8割程度を占める寡
占市場です。上位3社の顔触れは変わらず、シェアの変動が多
少ある程度で競争環境は安定的と⾔えます。寡占市場である
ことは、先⾏者利益とも関係があり、後掲のネットワーク外部性
から先⾏的に商品投⼊することにより、デ・ファクトスタンダードとし
(出所:BlackRock ETP LANDSCAPE June 2015)
て利⽤者と残⾼を増やし、それが参入障壁を築くという好循環
をもたらします。ETFは日経225やTOPIX、S&P500等主要な PPMの⾦のなる⽊と花形
株価指数では複数のETFが投入されていますが、債券系ETF プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)の「⾦のなる⽊」は
では一つの資産クラスに1本のETFとの傾向が⾒られます。
低成⻑、⾼占有率のため、追加的投資がさほど必要とされず、利
益・キャッシュフローが⾒込まれ、新規参⼊も少ない点に特⻑があ
規模の経済性
ります。他方、「花形」は市場成⻑率が⾼く、競争が激しいものの、
ソフトウエアのマスター版と同様に、プラットフォームを構築すれば 積極的な投資が必要となります。ETFは前述のように、投入本数
、追加コストは限界的な費用のみなので、残高が増えれば増え は多いのですが、実は一定残高(例えば10億ドル)を超える銘
るほどコスト低減効果が効き、限界利益率が上昇し、規模の経 柄はさほど多くないのが実情です。そこで、残高が多く、市場占有
済が働く商品です。ちなみに、ETFの資産保管業務を担うカスト 率の⾼い主⼒ETFの収益で全社的なETFの品揃えを維持し、新
ディアン(受託銀⾏)は規模の経済に基づき業務展開してい 商品を投⼊するビジネスモデルを採⽤しているように⾒えます。ETF
る最たる例です。いずれにしても、ETFビジネスは残高の増加が の場合、ユニークなことにPPMの「⾦のなる⽊」ではなく、「花形」が
限界利益の向上に直結する商品です。
成⻑しつつ、利益・キャッシュフローをもたらす構造となっています。
ネットワーク外部性
ネットワーク外部性とは一般に、ある財やサービスの利⽤者が増
加すると、その財やサービスの効⽤や利便性が⾼まることを指し
ます。ETFも利⽤者が増加するにつれ、流動性やコスト競争⼒
が⾼まり利⽤者が増加するという正のフィードバック効果により残
⾼と利⽤者が増加してきていることがうかがえます。利⽤者が増
えると、⾦融商品の⽣命線である流動性が⾼まり、有用性が増
します。
まとめ
今回は注目度が増しているETFを競争戦略の視点からその特⻑
と合わせて紹介しました。ETFは、規模の経済を活用しつつ、先⾏
者利益により参⼊障壁を築き、ネットワーク外部性を通して限界
利益を向上させていくという、競争戦略的に理にかなった特性を兼
ね備えた商品であり、イノベーティブな商品として今後も市場発展
が期待されます。
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Aug 17, 2015
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