Weekly Market Report - Nov 14, 2016(PDF:633KB)

発⾏:市場営業部
Weekly Market Report
Nov 14, 2016
FX, JPY Interest Rate, Topic
1. 為替相場概況
⽶⼤統領選はトランプ⽒が当選。⽇⽶⾦利差拡⼤から円安トレンドに。
USD/JPY (1週間の値動き)
トランプ氏優勢との報道
米10年債利回り
2.1%台まで上昇
週間安値101.19円
コメント
(出所)Bloomberg
先週のドル円相場は、週半ばには⽶⼤統領選挙情勢を巡り⼤荒れの展開、週末にかけては⽇⽶⾦利差拡⼤等を背景に円安が進⾏した。
週初、米FBIがメール問題でクリントン候補を訴追しない方針を表明したことで、クリントン候補の⼤統領選勝利を折り込む形でドル円は105
円台前半まで上昇。9日(水)予想外にトランプ候補優勢との報道からドル円は一時101.19円まで急落。その後は⼤統領選の勝利演説が
安心感のある内容であったこと等を受け急激に円安が進⾏した。10日(木)トランプ氏が掲げる減税や規制緩和期待から米10年債利回りが
2.1%台まで上昇、⽇⽶⾦利差の拡⼤からドル円も一時106.95円まで上昇。週末、フィッシャーFRB副議⻑の利上げ強気発⾔もあったが特
に材料視はされず、ドル円は106円台後半を維持して越週。今週は17日(木)のイエレン議⻑の議会証⾔やFRB当局者の発言機会も多く、
フィッシャー⽒同様に利上げに意欲的な発⾔が出てくるかに注目が集まる。ドル円は当面底堅く推移すると思われるが、17日に安倍首相とトラ
ンプ氏の会談が予定されおり、日米関係を巡るヘッドラインには注意が必要だ。
(市場営業部/土橋)
USD/JPY(2年間)
今週の経済指標(予定)
日付
イベント
予想
11/15(火)
(米国)NY連銀製造業景気指数
-2.0
11/15(火)
(米国)小売売上高速報(前月比)
0.6%
11/17(木)
(米国)CPI除く食品・エネルギー (前年⽐)
2.2%
11/17(木)
(米国)フィラデルフィア連銀景況指数
7.8
11/17(木)
(⽶国)イエレン議⻑講演
今週のレンジ予想(USD/JPY)
予想者
今週のレンジ
予想のポイント
牧野剛
105.90-108.90
円安トレンド形成の判断は時期尚早と思われるが、⾜元のドル円は⾦利差拡⼤や⽶利上げ期待を背景に底堅く推移。
國井靖子
105.50-108.50
⽶⼤統領選を終え、市場の関⼼は再び⽶利上げ動向へ。トランプ効果継続するも、⽶経済指標での上下動には注意。
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2. 円⾦利相場概況
今週は米⻑期⾦利の落ち着きどころを探る展開
10年国債⾦利と債券先物 (1週間の値動き)
10年債⼊札で
底堅い需要を確認
トランプ政権による
財政拡大観測
10年債利回り
債券先物
(出所)Bloomberg
コメント
先週の⻑期⾦利は⽶⼤統領選挙をきっかけに大きく上昇した。週初はトランプリスク後退からリスクオンムードが高まり小幅上昇したものの、
8日(木)の10年債⼊札で底堅い需要が確認されたことから小幅低下した。注目の⽶⼤統領選挙は、⽇本時間9日(水)に各州の開
票結果が伝わりトランプ氏優勢との⾒⽅が強まったことで、リスクオフムードが高まり⻑期⾦利は徐々に低下。潮目が変わったのは海外時間で、
「トランプ政権による財政拡大観測」を背景に⽶⻑期⾦利が2%を超える上昇を⾒せ、本邦⻑期⾦利もつれて上昇している。
今週は先週ほどの⾦利上昇はないと予想。選挙前に「トランプ氏勝利⇒財政出動拡⼤による⾦利上昇」の⾒⽅は一部にあったものの、
先週の動きは少し急な印象。投資家による買い戻しも想定され、⽶⻑期⾦利の落ち着きどころを探りながらの相場になるだろう。
(市場営業部/高橋(敦))
⾦利スワップ変化(1週間)
(%)
5年円⾦利スワップ推移(2年間)
(%)
今週のレンジ予想 (10年国債利回り)
予想者
伊藤功⼀郎
廣瀬友絵
今週のレンジ
-0.06%-
0.00%
-0.07%-
0.00%
予想のポイント
⽶⼤統領選後のリスクオンの流れから海外⾦利につられ円⾦利も上昇したが、今週はそれがどこまで続くかの⾒極め期間となろう
⽶国債利回りは上昇余地を探る動きか。円債は⾦融緩和姿勢も当⾯変化なく、利回り低下は⾒込みづらい。
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3. 今週のトピックス
原油相場アップデート
今年の原油相場の振り返りと現状について
期待先⾏でイベントに向けて原油価格は上昇?
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今年も残すところ1ヶ月半。2016年の原油相場を振り返ると
1月に安値を付けた後、6月にかけて一本調子で上昇。その後
は上下に動きはあるものの、概ね1バレル=40〜55㌦のレンジ
での推移が続いている。2014年後半から起きた原油の過剰供
給に起因した急激な価格調整によって、石油輸出国機構(以
下、OPEC)加盟国は財政赤字が拡大し、国家存亡の危機に
瀕した。これ以上の原油価格の下落を避けるために、今年は産
油国間で幾度となく会合が開かれた年でもあった。
150
図1は、今年開催された主要な産油国会合(①:4/17ドー
ハ会合、②:6/2OPEC総会、③:9/28OPEC非公式会合
)前後のBrent原油先物(直近限月)の値動きを表したもの
で、イベント発生日の40営業日前(約2ヶ月前)のBrent価
格を100とした指数化グラフである。どの場合も程度の差はあれ
産油国の生産調整期待がイベント開催前後まで醸成され、原
油価格が押し上げられていることがわかる。しかし、イベント通過
後は、4/17のドーハ会合を除き、期待が剥落し、原油価格は
元の水準まで戻ってきている。ドーハ会合後も原油価格が値上
がりした要因としては、カナダの⼭⽕事やナイジェリアの武⼒紛争
により原油供給が減少するとの⾒⽅があったためだと考えられる。
100
OPEC総会まで残り3週間
イベント前後40営業日のBrent原油価格の推移【図1】
① ドーハ会合(4/17)
② OPEC総会(6/2)
140
③ OPEC非公式会合(9/28)
130
120
110
90
イベント前 ←
-40
-30
-10
0
10
20
30
40
(出所:Bloomberg)
OPEC加盟国とOPEC非加盟国の産油量の推移【図2】
3,500
5,700
OPEC加盟国(右軸)
3,400
OPEC非加盟国(左軸)
3,300
5,500
5,300
3,200
3,100
11/30にオーストリアの首都ウィーンでOPEC総会が開催予定
であるが、9月下旬のOPEC非公式会合での生産調整が合意 3,000
に達して以降、各国の生産枠など具体的な取り決めはまだ発表
されていない。一方で、難航しているOPEC内の調整だけでなく、 2,900
OPEC 非 加 盟 国 の 動 向 も 非 常 に 重 要 に な っ て い る 。 図 2 は
2010年以降の原油産出量を⽰したものだが、ロシアやアメリカ 2,800
を中心としたOPEC非加盟国の産油量が⼤きく増加してきてい
2010
ることがわかる(2010年⽐で+13%増加)。OPECは世界の
産油量の約6割を占めるOPEC非加盟国に対しても生産調整
を呼び掛けているものの、今のところ正式に呼応した国はいない。 700,000
米商品先物取引委員会(CFTC)の11/1(火曜日)時
点のデータによると、相場に流動性と変動もたらす投機筋の
WTI原油のネットポジションはロング35.4万枚と大きく買い持ち
に傾いており、先月10月に彼らがショートポジションの縮小を図っ
たことが、1バレル=50㌦を回復したことにつながったと考えられる
(同期間の実需筋の動きは余り聞こえてこない)。現状、ヒスト
リカルボラティリティは徐々に低下、インプライドボラティリティは10
月中旬を境に上昇してきている。11/30の今年最後になるであ
ろう原油市場のイベントに向けて、市場参加者の注目が集まっ
て き て お り 、 OPEC は 本 当 に 減 産 で 合 意 で き る の か 、 そ し て
OPEC非加盟国も協調するのか、今後の相場動向を占う上で
の岐路に差し掛かっている。
(市場営業部/山中)
-20
→ イベント後
600,000
5,100
4,900
(単位:万バレル)
2012
2014
2016
4,700
(出所:Bloomberg)
投機筋のポジション推移【図3】
net position
long
short
500,000
400,000
300,000
200,000
100,000
0
(単位:枚)
1月
3月
5月
7月
9月
11月
(出所:Bloomberg)
3
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