陶磁器へのファインセラミック技術移転

工学系研究科
WATARI
先端融合工学専攻
TAKANORI
渡 孝則
教授
「セラミックス蛍光体および蓄光体の製造と特性評価」
「アップコンバージョン蛍光体の製造と特性評価」
「陶磁器釉ガラス中の結晶生成と機能付与に関する研究」
[キーワード]
セラミックス,陶磁器,釉ガラス,蛍光,蓄光,結晶成長,色
陶 磁 器 へ の フ ァ イ ン セ ラ ミ ッ ク 技 術 移 転
研究紹介
◆研究概要
一般の蛍光体は,紫外線を吸収し可視光(青紫~赤)
を発します.近年,白色 LED に利用され,省エネや低
価格化に貢献しています.また,蓄光体は,紫外線を吸
収・蓄積し,暗闇でも数時間も光り避難標識などへ応用
されています.最近では,従来とは逆に赤外線を吸収
し,可視光を発する材料が見いだされ,医療への応用に
注目されています.これらの発光材料には耐久性のある
セラミックスが用いられています.当研究室では、優れ
た特性を示し、低コストを実現するセラミックスの製造
と特性評価を行っています.さらに,これまでに蓄積し
た技術を陶磁器表面のガラスに応用する研究も始めまし
た.
◆各種セラミックス蛍光体とデザインへの応用
耐久性があり,安価なセラミックスは酸化物です.そ
こで,地球に多量に存在する二酸化ケイ素を主体とする
材料に微量の発光元素を加え,加熱温度を変えることに
より写真1に示すように,青色,黄色,白色の発光体合
成に成功しました.板状セラミックスを用いることで,
写真1
青色,黄色,白色の発光体(紫外線照射)
写真2
猫柄の発光模様
写真2に示すよ
うに,猫柄の発
光を示す模様も
描くことができ
ます.
◆陶磁器釉ガラス中の結晶生成と発光
陶磁器の原料土で板を作り,加熱すると写真3のよう
に中央から円盤状結晶を成長させることができます.中
央部は茶色に着色しています.これに紫外線をあてると
写真4に示すようにきれいな緑色の発光を示します.こ
の結晶を生成する場所や大きさをコントロールすること
ができるようになったため,陶磁器デザインへの応用も
可能となったと考えています.
写真 3 円盤状結晶
写真 4 緑色発光
◆今後の展開
蛍光セラミックス結晶は光装飾としての応用が可能で
すので,そのようなニーズを探しています.特に,陶磁器
表面の装飾へ応用したいと考えています.佐賀県には有田
焼,唐津焼,伊万里焼などの有名な生産地がありますので,
やきものに携わっておられる方との連携を強く希望しま
す.
◆連携希望相手
・釉薬に興味を持っておられる窯元
・やきもの技術を産業へ展開したい熱意のある方・企業
・科学と芸術の融合を進める方・企業
掲載情報 2016 年8月現在
やきもの関係者へ
一言アピール
科学と芸術を融合し,新分野へチャレンジしてみませんか.
「陶磁器製
品,ガラス製品,製造プロセスの改良」などの“物”~「やきものによる
若返り」などの社会課題解決まで幅広く,一緒に考えましょう.
産学・地域連携機構より
渡教授の研究成果は陶磁器に対して,機能性,芸術性,安全性の付加・低価格化・環境負荷
の低減など,様々なメリットを与えることができそうです.また,陶磁器には収まらない
「やきもの」分野全般への利用も大歓迎です.
佐賀大学研究室訪問記
2016
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
E-mail:[email protected]