新しい粒子膜・ナノ粒子の創出と製造プロセスの高効率化を目指して

工学系研究科
MORISADA
循環物質化学専攻
SHINTARO
森 貞 真太郎
准教授
「高分子修飾シリカ粒子を用いた粒子膜の自発的構造形成」
「金属ナノ粒子の形態制御メカニズムに関する研究」
[キーワード]
コロイド分散系,高分子ブラシ,粒子膜,ナノ粒子,形態制御、液相吸着
新しい粒子膜・ナノ粒子の創出と製造プロセスの高効率化を目指して
研究紹介
◆研究概要
“コロイド”または“コロイド分散系”とは,多数の微
粒子(1 nm~1 m程度)が媒質中に分散した系のこと
を指し,分散している側を分散相,媒質側を分散媒と言
います.分散相と分散媒は気・液・固のいずれかの相から
なり,その組み合わせによってエアロゾル(液気および
固気)やエマルション(液液),サスペンション(固
液)などとも呼ばれます.当研究室は,液相微粒子分散系
工学と化学工学をバックグラウンドとしており,現在,
コロイド粒子膜の自発的構造形成や金属ナノ粒子の液相
合成による形態制御に関する研究に取り組んでいます.
◆高分子修飾シリカ粒子を用いた粒子膜の構造制御
粒子膜とは微小な粒子を二次元に集積したもので,粒
子の種類と配列によって特異な磁気的・光学的性質を示
すほか,様々な機能性材料のテンプレートとしても利用
できます.そのため,盛んに研究が行われていますが,既
報の粒子膜のほとんどは,粒子同士が接触した規則的な
配列(最密充填構造)を有するものばかりです.しかし,
粒子間に一定の隙間の空いた規則的な配列(非最密充填
構造)を有する粒子膜が作製できれば,用いる粒子の大
きさや種類を変更することなく粒子膜の特性制御が可能
となり,粒子膜の応用範囲を大きく広げることにつなが
ります.そこで当研究室では,規則性を持つ粒子膜の代
表的な連続成膜手法である移流集積法に高分子ブラシを
表面修飾したシリカ粒子を適用することで,非最密充填
構造を有する粒子膜の作製を試みました.その結果,ベ
ンゼン環を有する陽イオン性モノマーからなる電解質高
分子を修飾したシリカ粒子を用いることで非最密充填構
造の粒子膜を作製することに成功しました(図1).現在
は,粒子配列の規則性の向上と粒子間隔の制御を目指し
て研究を進めています.
図1
移流集積法の模式図と非最密充填構造粒子膜の電子顕微鏡像
◆高分子ゲル微粒子を利用した白金ナノキューブの合成
金属ナノ粒子は,その結晶面によって表面特性が異なる
ため,粒子の結晶面を制御する,すなわち粒子形態を制御
することは,金属ナノ粒子の高性能化につながります.当
研究室では,液相還元法によるPtナノ粒子合成において,
乳化重合により作製した高分子ゲル微粒子を保護剤とし,
水素ガスを還元剤として用いることで,得られるナノ粒子
の8割以上を立方体に制御することに成功しました(図
2).また,還元条件によってはPtナノキューブと同時に
Ptナノロッドも得ることができました.このような形態制
御のメカニズムの解明と,他の金属ナノ粒子への応用が今
後の課題です.
図2
白金ナノキューブと白金ナノロッドの電子顕微鏡像
掲載情報 2016 年9月現在
産業界の皆様へ
一言アピール
産学・地域連携機構より
佐賀大学研究室訪問記
2016
コロイド溶液の理解・取り扱いにとって重要なことは,粒子粒子間に働く
力を理解し,制御することです.上記の研究に関連したことはもちろん,
コロイド溶液に関することならお気軽にご相談ください.
多くの産業プロセスに関与するコロイド溶液は,経験則に頼って取り扱われることが多いと聞
きます.コロイド溶液に関する課題に対して森貞准教授の研究や知識がお役に立つでしょう.
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
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