工学系研究科 O I S H I 循環物質化学専攻 Y U S H I 大石 祐司 教授 「多成分系における分子凝集領域の大きさと形態の制御」 「有機—無機複合膜における無機層構造制御と複合膜形態の原子 レベル制御」 [キーワード] 単分子膜,りん脂質,多成分系,複合系,高分子単結晶, 走査型プローブ顕微鏡 制 御 化 素 子 開 発 で 新 た な ビ ジ ネ ス を ! 研究紹介 ◆研究概要 分子化合物は特に,その集合様式が力学的,電気的, 光学的など材料物性に大きく影響を与えます.従って, 材料開発においては,分子の集合構造・形態,集合機構 を明確にし,それらに基づく制御法を提示することが不 可欠です.加えて,当研究室では,構造や物性に及ぼす 次元性に注目し,主に二次元凝集系,具体的には不溶性 単分子膜を対象に,分子の集合原理の解明,およびその 制御方法の確立を目的に研究を展開しています. H C + C これまでに当研究室では,以下の項目について解明し てきました. ①凝集エネルギー差は,分子分散もしくは相分離である かを決定する. ②表面自由エネルギー差と静電的相互作用は,ドメイン サイズを決定する. ③表面電位とラインテンションは,ドメイン形態を決定 する因子である. ④上記の因子を調整することで相分離発現,そしてドメ インサイズをナノメートルからマイクロメートルまで 自由に制御でき,真円や樹枝状ドメインと形状の制御 が可能となる. F - H+ + + H+ - + - + H+ + - 図1.ドメインに及ぼす因子 Halogen addition ◆多成分系における分子凝集領域の大きさと形態の制御 不溶性単分子膜(ラングミュアー膜)を対象に,擬二次 元拘束場における分子凝集制御の指針を得ることを目的 として,相分離ドメインの大きさ・形状に及ぼす因子の 解明を行っています.疎水基に関しては,鎖長差による 凝集エネルギー差,炭化水素鎖と炭化フッ素鎖との表面 自由エネルギー差を,親水基に関しては,水相の pH,イ オン強度による静電的相互作用,表面電位,ラインテン ションの寄与を検討しています(図1). ◆有機—無機複合膜における無機層構造制御と複合膜形 態の原子レベル制御 有機化合物と無機化合物からなる複合系の形態構造制 御法の確立を目指し,鉛系層状ペロブスカイト薄膜を対象 として,無機層の構造制御,当該薄膜の形態秩序化法の開 発を行っています.これまでに当研究室では,以下の項目 について解明してきました. ①ハロゲン種やその濃度を調整することで無機八面体中 ハロゲンの配位状態が無秩序に変化すること(図 2), ②上記①の制御により僅かずつ色相が異なる様々な発光 色が得られること. ③膜が基板へ移る時空間を構造形成場として利用した移 行誘起法により,膜厚変位が原子サイズの形態均一超薄 膜が形成可能であること. - Br Added halogen 図 2.ハロゲン配位変化 ◆特許など ・有機無機層状ペロブスカイト薄膜の製造方法 (特願 2016-127235) ・広範囲平滑性を有する高平滑性疎水性基板調製法(特開 2010-249696) ・有機・無機層状ペロブスカイト化合物薄膜の構造置換方 法及び薄膜作製方法の効率化(特開 2009-0206548) ・二次元分子パターンの作成法(特開平 8-250489) 掲載情報 2016 年8月現在 電子・光学機器 ビジネス関係者へ 一言アピール 産学・地域連携機構より 佐賀大学研究室訪問記 2016 素子作製のアイデアを利用したい企業様,気軽にご相談ください. 大石祐司教授は,毒素タンパクの生体膜への侵入機序,高分子単結晶の形成機構, 高配向性高分子膜の作製に関する研究も行っています.興味がある方は,是非お問 合せください. 佐賀大学 産学・地域連携機構 (佐賀県佐賀市本庄町1番地) (お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課 TEL:0952-28-8416 E-mail:[email protected]
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