工学系研究科 HANAMOTO 循環物質化学専攻 TAKESHI 花 本 猛士 教授 「有機フッ素化合物の新規合成法の開発」 「生理活性化合物のフッ素アナローグの合成」 [キーワード] 有機フッ素化合物,合成反応,生理活性化合物,ヘテロ元素 含フッ素機能性材料化合物 プ ラ ス フ ッ 素 ( F ) で 機 能 ア ッ プ を 目 指 す ! 研究紹介 ◆研究概要 有機フッ素化合物は不思議なことに天然にはほとん ど存在していません.フッ素は塩素,臭素,ヨウ素と 同じハロゲン元素にもかかわらず,このグループから 少し外れたポジションにあるようです.有機フッ素化 合物は大別すると,①有機分子の炭素—水素結合をす べて炭素—フッ素結合に置き換えた「パーフルオロ有 機化合物」と,②少数のフッ素—炭素結合(通常一個 から三個)を持つ「部分フッ素有機化合物」になりま す.前者を利用した製品の一例として焦げ付かないフ ライパンを,後者の一例として高コレステロール値を 抑制する薬をあげることができます.このように,有 機フッ素化合物は意外と身近な所で活躍しています. 当研究室では上記に示した「部分フッ素有機化合 物」の合成に関する研究を行っています.本合成法の 特徴は,入手可能な含フッ素有機化合物に一手間加え ることで,汎用性を高めることにあります.また,取 り扱いが容易な含フッ素有機反応剤の開発により,そ れらの新しい反応性を見いだしています.これらの方 法論を用いて,今までは誘導体しか合成されていない 新規の含フッ素生理活性化合物や機能性材料化合物を より容易に提供できるように研究を続けています. ◆含フッ素ビニルスルホニウム塩の合成と展開 通常有機化合物を合成するには,出発原料となる2 種類の有機化合物を反応させて目的とする生成物を得 ます.この2種類の化合物のうち,片方の種類を固定 できれば,反応相手(もう片方の化合物)を変えるこ とでいろいろな種類の反応が行えるため,その化合物 の汎用性は高いと言えます.しかも,その化合物が通 常の保存条件下において分解することなく安定性が高 いものであれば,実際の使い勝手も良く.さらに有用 な反応剤です. 当研究室では,有用な化合物と考えられるフッ素を含む3 種類のビニルスルホニウム塩(1)の合成に成功しました.こ れらを用いて,フッ素を含む三員環化合物のシクロプロパ ン誘導体(2),アジリジン誘導体(3)を容易に合成できるよ うになりました.さらに,アジリジン誘導体(3)を用いてメ ンタルに関与する生理活性化合物として知られているベー タトリプタミン類のフッ素類縁体(4)に変換できることを見 いだしました.また,五員環複素環化合物として,オキサ ゾリジン(5)やイミダゾリン(6)合成にも応用できることも 見いだしています. ◆反応例 ◆特許 「ジフルオロメチル基含有化合物及びその用途」 特開 2015-157789 「新規なスルホニウム塩,その製造方法及びその 用途」 特許第 5555919 号 掲載情報 2016 年7月現在 ファインケミカル関連企業 へ一言アピール 既存の有機分子に少数のフッ素を導入した部分フッ素化合物の可能性を探 り,新しい機能・物性を付与してみようと一緒に挑戦してみませんか. 産学・地域連携機構より 花本教授は,実際に「使用しやすい」, 「使用できる」といった,汎用性が高く・有効 な有機フッ素化合物の研究開発を目指しています.有機フッ素化合物を用いた新し い製品をお考えの方は,一度ご相談されてはいかがでしょうか. 佐賀大学研究室訪問記 2016 佐賀大学 産学・地域連携機構 (佐賀県佐賀市本庄町1番地) (お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課 TEL:0952-28-8416 E-mail:[email protected]
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