田中 徹 - 佐賀大学 産学地域連携機構

工学系研究科
TANAKA
電気電子工学専攻
TOORU
田中 徹
教授
「マルチバンドギャップ半導体を用いた次世代太陽電池の開発」
「稀少金属を含まない多元系半導体による薄膜太陽電池の開発」
[キーワード]
太陽電池,再生可能エネルギー,半導体,結晶,光物性
新しい半導体材料による次世代高効率太陽電池の開発
研究紹介
◆研究概要
地球上に降り注ぐ莫大な太陽エネルギーを利用した太
陽光発電は,再生可能エネルギーの切り札といわれ,ク
リーンかつ安全で非枯渇なエネルギー源として期待され
ています.特に,東日本大震災以降,電力の固定価格買
取制度と相まって,個人の住宅用だけではなく,大規模
太陽光発電所が建設されてきました.
しかしながら,火力発電や原子力発電などの発電方式
に比べて,太陽光発電は発電量が天候に大きく左右され
るため不安定であることに加え,発電コストが未だ高い
ことが課題として挙げられています.太陽光発電が将来
の基幹電源となり得るためには,発電電力を貯蔵・回生
する大容量蓄電システムとの組み合わせが不可欠であ
り,これらを含めた太陽光発電システム全体の低コスト
化が非常に重要です.
これを実現するために解決すべき課題は数多くありま
すが,当研究室では太陽電池自身に着目し,新しい半導
体材料や発電原理によってこれまでにない超高効率・低
コストの太陽電池を実現することで,発電コストを低下
させることを目的に研究を行っています.この研究を通
して,将来にわたり枯渇することのないエネルギー源と
して太陽光発電を確立することを目指しています.
当研究室では,1つの素材の中で複数のバンド(電子が
存在できる部分)を持ち,透過損失や量子損失していた波
長まで有効利用できる中間バンド型の太陽電池を研究し
ています.中間バンドが存在する新しいマルチバンドギャ
ップ半導体として有望な ZnTeO の結晶成長や物性解明
についての研究や,これを使った太陽電池の試作を行い,
中間バンド型太陽電池として機能することを世界に先駆
けて実証しました.
現在は,材料の高品質化や太陽電池構造の改良による更
なる特性の向上により,超高効率化・低コスト化の実現を
目指して研究に取り組んでいます.
◆稀少金属を含まない薄膜太陽電池の開発
近年,C I G S 薄膜太陽電池が実用化され,普及しつ
つありますが,この太陽電池は In や Ga といった稀少金
属を必要とし,大量生産時の資源確保の問題が指摘され
ています.
当研究室では,資源に懸念のない太陽電池の実現を目指
し,稀少金属の代わりに汎用的で毒性の低い亜鉛や錫など
の元素で構成される CZTS など新しい多元系半導体を用
いた太陽電池を開発し,性能評価などを実施しています.
◆広い波長範囲の太陽光を吸収する中間バンド型太陽電
池の開発
市販の太陽電池では,入射する光の 15~20%程度の
エネルギーしか利用できていません.これは,使用して
いる素材に起因しており,光を吸収できず透過してしま
う透過損失や,エネルギーの大きな光を吸収した際にそ
のエネルギーの一部を素材内部で失ってしまう量子損失
などが原因で,50~60%のエネルギーを失っています.
これらの損失を抑えることができれば,効率が 50%を超
える,「超高効率な発電」が可能となります.
開発中の太陽電池
掲載情報 2016 年8月現在
太陽電池および関連分野の
企業の皆様へ
一言アピール
上記太陽電池に限らず太陽光発電全般について,ご質問やご要望,お困りの
ことがございましたら,お気軽にお声掛け下さい.
産学・地域連携機構より
田中教授は,次世代太陽電池へのブレイクスルーを目指した開発だけでなく,現状を鑑みた太
陽光発電の普及を促すシステム全般も視野に入れた検討も行っています.太陽光発電技術・シ
ステム全般に関心のある方は,是非,お問合せください.
佐賀大学研究室訪問記
2016
佐賀大学
産学・地域連携機構
(佐賀県佐賀市本庄町1番地)
(お問い合せ先) 国立大学法人 佐賀大学 学術研究協力部 社会連携課
TEL:0952-28-8416
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