全般季節予報支援資料 1か月予報 2016年12月1日

全般季節予報支援資料 1か月予報 2016年12月1日
予報期間:12月3日~1月2日 気象庁地球環境・海洋部
(1) 特に注意を要する事項
なし
(2)出現の可能性が最も大きい天候
北日本日本海側では、平年に比べ曇りや雪または雨の日が多いでしょう。東日本日本海側では、
平年に比べ曇りや雨または雪の日が多いでしょう。西日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨ま
たは雪の日が多いでしょう。北・西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。東
日本太平洋側では、平年に比べ晴れの日が多いでしょう。沖縄・奄美では、平年と同様に曇りや雨
の日が多いでしょう。
(3) 確率
気温(%)
1か月
降水量(%)
日照時間(%)
降雪量(%)
少 並 多
少 並 多
少 並 多
1か月
低 並 高
北日本
40:30:30
北日本日本海側
北日本太平洋側
20:40:40
20:40:40
40:40:20
30:40:30
20:40:40
東日本
30:40:30
東日本日本海側
東日本太平洋側
20:40:40
30:40:30
40:40:20
20:40:40
30:40:30
西日本
30:30:40
西日本日本海側
西日本太平洋側
30:40:30
30:40:30
30:40:30
30:40:30
30:40:30
沖縄・奄美
20:30:50
沖縄・奄美
30:40:30
30:40:30
1 週目(%)
2 週目(%)
3~4 週目(%)
低 並 高
低 並 高
低 並 高
北日本
30:50:20
40:40:20
30:40:30
東日本
20:40:40
40:40:20
30:40:30
西日本
20:40:40
30:40:30
30:40:30
沖縄・奄美
10:30:60
20:40:40
30:40:30
気温
最近1週間の天候経過
最近1週間(11/24~11/30)は、北からの寒気が流れ込みやすく、北日本や東・西日本日本海側
では曇りの日が多かった。東・西日本太平洋側や沖縄・奄美でも、低気圧や寒気の影響で、曇りや
雨の日が多かった。24日は、北からの強い寒気が流れ込む中、関東南岸を低気圧が通過したため、
関東甲信地方では各地で雪となり、大雪となった所もあった。東京では1875年の観測開始以来、11
月としては初めての積雪となった。
気温は、北日本から西日本で平年を下回り、沖縄・奄美では平年を上回った。降水量は、北日本
と東日本日本海側で平年を下回り、東日本太平洋側と西日本、沖縄・奄美で平年を上回った。日照
時間は、北日本太平洋側で平年と同値だったほかは、平年を下回った。
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予報資料の解釈
●1か月(12/3~12/30)
・ 500hPa高度は、寒帯前線ジェット気流・亜熱帯ジェット気流沿いともに波列がみられる。日本付近
は正偏差だが、北日本から西日本を中心に東谷が明瞭。ヨーロッパ方面からの波束伝播と、東シベ
リア付近で発達するブロッキング高気圧の影響で、日本の東海上でトラフが深まる傾向が予測され
ている。沖縄・奄美は、亜熱帯ジェット気流沿いの波列のリッジ付近に位置。
・ 先週までの資料では、負の北極振動(AO)のパターンとなる予測が続いていたが、今回の予報期間
内はAOのパターンは不明瞭で、AO指数は1週目からほぼ0の予測となった。ハインドキャストによる
検証でも1週目の予測精度は高く、この予測を採用する。
・ 850hPa気温は、日本付近は全体的に正偏差だが、相対的に大陸で高く、日本の東海上で低い傾向。
ただし、3~4週目の大陸上の気温の予測精度は高くないので、大陸の高温はやや割り引いて考える。
・ 海面気圧では、アリューシャン低気圧は中心の西側で負偏差となっており、オホーツク海や千島近
海で低気圧が発達しやすい傾向。また、ロシア西部から西シベリアの500hPaトラフに対応してシベ
リア高気圧は西部を中心に勢力が弱い予測。
・ 熱帯の対流活動は、SST偏差に対応して、フィリピン~インドネシア付近で活発、日付変更線付近~
太平洋中部で不活発で、月を通してラニーニャ的な分布が予測されている。季節内振動(MJO)は実況
ではインド洋西部~インドネシア付近にあるが、予測は不明瞭。
●1週目(12/3~12/9)
・ 500hPa 高度は、日本付近は日本の北で負偏差、西日本から沖縄・奄美付近が正偏差で、流れはほぼ
ゾーナル。極うずの一部がバイカル湖の東から日本付近に南下しつつあり、東シベリアでブロッキ
ング高気圧が発達中。特に後半メンバーではオホーツク海付近の高度場の低下が顕著(時系列のオ
ホーツク高気圧指数の実線を参照)。
・ 850hPa 気温では、全国的に正偏差だが、南ほど偏差が大きい。地上気温では、850hPa 気温より正偏
差の程度が小さいことに留意。
・ 地上気圧では、オホーツク海からカムチャツカ半島付近で低気圧が発達する予測で、北日本を中心
に負偏差。
・ 以上と週間予報資料から、北日本と東日本日本海側では低気圧や低気圧通過後の寒気の影響で、曇
りや雪または雨の日が多く、多雨・寡照傾向。東日本太平洋側と西日本、沖縄・奄美では平年と同
様の天候を見込む。気温は、週の前半は高いが、後半は平年より低くなる予測で、週平均としては、
北日本では平年並、東・西日本で平年並か高く、沖縄・奄美で高い見込み。
 想定される天候
・ 北・東日本日本海側では、低気圧や寒気の影響で、平年に比べ曇りや雪または雨の日が多
い。
・ 北日本太平洋側では、低気圧の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。
・ 西日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨または雪の日が多い。
・ 東・西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。
・ 沖縄・奄美では、平年と同様に曇りや雨の日が多い。
●2週目(12/10~12/16)
・ 500hPa 高度は、北日本から西日本にかけて東谷が明瞭。ヨーロッパ方面から日本付近にかけての寒
帯前線ジェット気流沿いのスプレッドは比較的小さく、アンサンブル平均の傾向は採用するが、1
週目から2週目にかけて東シベリア付近で発達するブロッキング高気圧周辺でスプレッドが大きく、
日本付近のアンサンブルメンバーのばらつきは2週目としては大きい(時系列の T850偏差をみると
分かりやすい)。亜熱帯ジェット気流沿いは、大陸でスプレッドの大きい領域がみられ、位相が反
転しているメンバーも多い。
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・ 850hPa 気温は、北日本から日本の東にかけて負偏差がみられる。ロシア西部から西シベリア付近に
かけてのトラフ前面では暖気移流が顕著で、大陸の高温傾向に寄与しているとみられるが、西日本
方面への暖気の流れ込みについては、予測のばらつきも考慮して、割り引いて考える。
・ 海面気圧では、シベリア高気圧西部の勢力は弱い予測だが、日本付近から日本のはるか東にかけて
は負偏差、大陸東岸は正偏差(下層寒気に対応)で、日本付近は東海上で気圧の谷が深まり、北・
東日本を中心に冬型の気圧配置が強まる見込み。
・ 以上から、北・東日本では日本海側は多雨・寡照傾向、太平洋側は少雨・多照傾向を見込む。西日
本は概ね平年と同様。沖縄・奄美では、前線帯は沖縄の南に位置し、寒気の影響を受ける時期があ
ると考えるが、亜熱帯ジェット気流沿いの波列の予測が安定しないため、概ね平年と同様と見込む。
気温は、北・東日本では平年並か低く、西日本ではほぼ平年並、沖縄・奄美では平年並か高い見込
み。
 想定される天候
・ 北・東日本日本海側では、冬型の気圧配置が強く、平年に比べ曇りや雪または雨の日が多
い。
・ 北・東日本太平洋側では、冬型の気圧配置が強く、平年に比べ晴れの日が多い。
・ 西日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨または雪の日が多い。
・ 西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。
・ 沖縄・奄美では、平年と同様に曇りや雨の日が多い。
●3~4週目(12/17~12/30)
・ 500hPa 高度は、日本付近は正偏差だが、東谷の傾向が残る。東シベリア付近のブロッキング高気圧
も停滞。ジェット気流沿いにはスプレッドの大きい領域がみられるため、波列の予測は採用しない。
・ 熱帯の対流活動は、ラニーニャ的な分布となっており、海洋大陸付近で対流活動が活発。この応答
として偏西風は大陸東岸で北へ、日本の東で南に蛇行する予測。また、下層では、南シナ海付近に
低気圧性循環偏差がみられ、その北側では北東モンスーンが強まる予測となっている。
・ 大陸を中心に、850hPa 気温は高い予測だが、この時期の 3~4 週目の予測精度は高くないため、大
幅に割り引いて考える。
・ 以上から、モデルでは日本付近は高温傾向の予測となっているものの、熱帯を含む循環場の予測か
らは北からの寒気の影響を受ける可能性を示唆。このため、気温・天候ともに平年に近づけた予報
とする。
 想定される天候
・
・
・
・
北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪または雨の日が多い。
東・西日本日本海側では、平年と同様に曇りや雨または雪の日が多い。
北・東・西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。
沖縄・奄美では、平年と同様に曇りや雨の日が多い。
気象庁ホームページ
○季節予報 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html
○向こう1か月の天候の見通し(1か月予報の解説)」 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf1/001.pdf
も参照してください。
この資料は、気象事業者等が気象庁の提供する季節予報の根拠を理解するための補助資料であり、
そのままの形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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