広角 X 線回折 Wide-angle X-ray Diffraction (WXRD) ●試料の原子配列に対応した X 線回折パターンから、原子レベルの構造情報を得る ●未知試料の同定、定量分析や三次元原子配列の決定に有効 ●薄膜試料の構造評価や残留応力の測定等、応用は広範囲に渡る 測定原理 物質に X 線を入射すると、物質中の原子 により X 線が散乱される。各原子によって散乱され た X 線は干渉し、原子配列および回折角に関するブ ラッグの回折条件を満たす角度に強く観察される。 これを利用して、散乱 X 線の角度分布を測定するこ とにより、物質中の原子配列に関する情報を得る。 得られる情報 分子の三次元構造の決定(単結晶 X 線回折)、構成成分の同定や定量、結晶子サイズや 結晶化度の測定(粉末 X 線回折)を行うことができ る。薄膜解析では基盤上に蒸着した薄膜の密度や結 晶性、結晶軸の方向や周期を調べることができる。 図 1. 四軸回折計 (KEK, BL-3A)*1 特徴 原子・分子スケールの構造情報を得るため に一般に広く用いられる手法である。対象物質の 応用範囲が広く、有機・無機材料、結晶および非 晶質を問わず有効である。 応用例 高エネルギー放射光を用いた溶接部表面 内部残留応力測定 (SPring-8) :鉄鋼材料の溶接 時、表面および内部に生じる残留応力を X 線回折 ピーク位置の変化から解析 http://www.spring8.or.jp/ext/ja/iuss/htm/text/06file /eval_stre-17_fatig_dam-6/kurimura.pdf 図 3. アルミナ薄膜の配向性評価(極点図)*3 図 2. 軽量気泡コンクリート形成過程の in-situ XRD 測定*2 図 4. 単結晶 XRD によるタンパク質の三次元構造解析*4 東北放射光施設における展開 軟 X 線を利用した高精度のタンパク質構造解析、高輝度マイ クロビームを利用した微小部 XRD、時分割測定による化学反応・変形の in-situ 観察への応用 が期待できる。 既存ビームラインとの基本スペック比較 WXRD SLiT-J KEK (PF ring) SPring-8 KEK (PF-AR ring) BL-01 BL08B2 BL03XU BL-7C NW-10A アンジュレータ 偏向電磁石 アンジュレータ 偏向電磁石 偏向電磁石 エネルギー範囲[keV] 3~30 4.6~70 6~35 4~20 8~42 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 ~10-4 ~2×10-4 ~10-4 光源 ビームサイズ [μm] ~1 - 500×500 - 1000×1000 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1012 ~109 ~2×1012 1010 (非集光時) ~1011 (集光時) ~6×1010 SLiT-J SPring-8 BL-06 BL46XU AR-NW2A AR-NW14A (U36) 光源 アンジュレータ アンジュレータ 偏向電磁石 アンジュレータ エネルギー範囲[keV] 3~30 6~35 5~25 5~25 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 ~2×10-4 - ビームサイズ [μm] <0.1 500×500 - 241×437 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1010 ~1013 ~6x1010 ~1012 時分割 WXRD KEK (PF-AR ring) *1 : http://cmrc.kek.jp/beamlines/PFuse/PFuse-_MSP_exp_100830.html *2 : https://user.spring8.or.jp/resrep/?p=4127 *3 : http://www.ube-ind.co.jp/usal/documents/x113_121.htm *4 : https://www.mcb.ucdavis.edu/faculty-labs/al-bassam/approaches.html
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