広角 X 線異常散乱 - SLit-J

広角 X 線異常散乱
Wide-angle Anomalous X-ray Scattering (WAXS)
●吸収端近傍での X 線回折測定により、特定元素周囲の構造情報を選択的に分析
●非晶質・結晶を問わず適用可能であり、複雑な組成をもつ物質の構造解析に有効
●小角散乱、単結晶構造解析など他の X 線回折測定との組み合わせ
測定原理 元素の吸収端前後では異常分散効果によって原子散乱因
子が大きなエネルギー依存性を持つ。この現象を利用し、特定の元
素の吸収端近傍で測定した二種類の X 線回折データの差分を抽出す
ることにより、注目する元素の関わる構造情報を得る。
得られる情報 特定の元素の関わる原子相関のみを反映した構造情
報を、広角 X 線回折プロファイルの形式で得ることが出来る。
特徴 結晶・非晶質を問わず有用な手法である。解析の対象とする元
素は、X 線のエネルギーを変更することによって選択可能である。
単結晶構造解析等の、一般に用いられる X 線解析技術と組み合わせ
ることにより、複雑系物質の構造解析に有効な手法となる。
応用例 アモルファス Ge2Sb2Te5 の結晶核支配型高速結晶化過程に
おける Ge-Te 基幹ネットワークと Sb-Te 疑似ネットワークの役割
(SPring-8) : DVD 記録メディアの主成分である Ge2Sb2Te5 の結晶
および非晶質状態におけるネットワーク構造を解明し、長期安定性
図1. AXS 測定の概念図
と高速書換えを両立するための開発指針を得た(下図)。
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120319/?set_language=ja&cl=ja
図 2. AXS 測定装置 (KEK, NW-10A)
図 3. AXS による DVD 記録メディアの構造評価*1
東北放射光施設における展開 高輝度軟 X 線を利用した軽元素への AXS の適用、ナノビー
ム集光系による微小部測定への展開が期待できる。
既存ビームラインとの基本スペック比較
KEK (PF-AR ring)
SLiT-J
SPring-8
KEK (PF ring)
BL-01
BL04B2
BL-7C
NW-10A
アンジュレータ
偏向電磁石
偏向電磁石
偏向電磁石
エネルギー範囲[keV]
3~30
4.6~70
4~20
8~42
エネルギー分解能 ΔE/E
~10-4
~10-4
~2×10-4
~10-4
WAXS
光源
ビームサイズ [μm]
~1
-
-
1000×1000
光子数(集光位置) [photons/sec]
~1012
~109
1010 (非集光時) ~1011 (集光時)
~6×1010
*1 :
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2012/120319/?set_language=ja&cl=ja