斜入射 X 線回折 - SLit-J

斜入射 X 線回折
Grazing Incident X-ray Diffraction (GIXD)
●試料表面・界面から数ナノメーターの範囲における原子配列の情報を得る
●通常の XRD との併用で、表面・界面とバルク構造を区別した分析が可能
●有機分子や高分子などの薄膜の構造評価にも有用
測定原理 物質に X 線を微小角(おおよそ 0.5
[deg] 以下)入射することで、物質表面での全反射
を生じる。入射角が全反射臨界角以下の場合、屈折
X 線は数 [nm] 以上の物質内部には伝搬しないた
め、物質表面の構造に対して敏感な測定が可能と
なる。
得られる情報 試料の数 nm 以内の表面に限った
原子配列の情報が、X 線回折プロファイルとして得
られる。全反射臨界角以上の入射角で得られる通
常の XRD プロファイルと比較することにより、
表面・界面とバルク構造を区別した分析すること
図 1. GIXD 測定装置(SPring-8, BL03XU)*1
が出来る。
特徴 X 線の照射による回折の観察は、試料の前処理を必要とせず,X 線照射による試料の損傷
も少ないため、有機分子や高分子などの薄膜の構造評価にも有用である。
応用例 水性有機半導体コロイドインクから形成した有機薄膜の GIXD を用いた界面ナノ構造解
析(SPring-8):有機薄膜太陽電池の活性層に用いられる導電性高分子・フラーレン薄膜の結晶性
を評価 https://user.spring8.or.jp/resrep/?p=1764
図 2. GIXD 測定の模式図*2
図 3. コーティング手法の違いから生じる有機薄膜の構造差を評価*3
東北放射光施設における展開 軟 X 線は、有機薄膜など低密度の試料の分析において特に有効で
ある。有機 EL・太陽電池等の薄膜形成過程の in-situ 観察等への応用が期待できる。
既存ビームラインとの基本スペック比較
GIXD
SPring-8
SLiT-J
KEK (PF ring)
BL-05
BL13XU
BL39XU
BL-10C
BL-15A2
アンジュレータ
アンジュレータ
アンジュレータ
偏向電磁石
アンジュレータ
エネルギー範囲[keV]
3~30
6.2~50
4.5~40
6.5~14
2.1~15
エネルギー分解能 ΔE/E
~10-4
~10-4
~10-4
~10-4
~2×10-4
光源
ビームサイズ [μm]
~1
-
1000×1000
270×560
340×18
光子数(集光位置) [photons/sec]
~1012
1013~1014
~1012
1010 ~1011
~1011
*1: http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/ann_rep/10/143.pdf
*2: http://www2.kobe-u.ac.jp/~tnishino/kenkyu/2-2GIXD.html
*3: http://pubs.rsc.org/is/content/articlelanding/2015/nr/c5nr02657a#!divAbstract