X 線磁気円二色性 X-ray Magnetic Circular Dichroism (XMCD) ●円偏向 X 線の吸収スペクトルから、磁気特性に関する情報を得る ●表面の磁区構造イメージング・磁気モーメントの定量化 ●X 線のエネルギーを選ぶことによって元素選択的な分析が可能 測定原理 磁性体試料に円偏光させたX線を照射すると、吸収 係数は試料の磁化方向と円偏光の光スピンの方向に依存して 異なる磁気光学効果(円二色性)を生じる。試料に磁場を掛け た状態で円偏向の向きを変えた X 線の吸収スペクトルを測定 することにより、磁気特性に関する情報を得る。 得られる情報 スペクトルの形状から、スピン磁気モーメント および軌道磁気モーメントを定量的に決定することができ る。また、磁性元素の価数など化学状態についての情報を得 ることができる。 特徴 表面の磁性に極めて高感度である。可能励起 X 線のエ ネルギーを選ぶことによって元素および電子のエネルギー準 位に対して選択的に XMCD スペクトルが得られる。 応用例 XMCD による次世代磁気ディスクの μm 領域磁気 構造評価析 (SPring-8) :磁気ハードディスクの加工法が保 図 1 XMCD 測定装置(SPring-8)*1 磁力および磁化量に及ぼす影響を XMCD によって分析 https://support.spring8.or.jp/Report_JSR/PDF_IAe_ALL/IAe_07A1892.pdf 図 2. 定原理の模式図*2 図 3 XMCD を利用した Co/LaFeO3 多相膜の磁 気ドメイン可視化*3 東北放射光施設における展開 磁性体の研究において重要な Fe、Co、Ni の磁性を担う 3d 電子 は、軟 X 線領域(700-900eV)に吸収を示すため、東北放射光においては、高輝度のビームを用 いて、これらを直接調査することが可能である。ナノビーム集光による磁区構造の高分解能マ ッピングにも対応している。 既存ビームラインとの基本スペック比較 XMCD 光源 SPring-8 SLiT-J KEK (PF ring) BL-03 BL-04 BL16XU BL39XU BL-16A アンジュレータ アンジュレータ アンジュレータ アンジュレータ アンジュレータ 0.3~1.5 エネルギー範囲[keV] 3~30 0.1~3 4.5~40 5~38 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 ~10-4 1×10-4~2×10-4 - ビームサイズ [μm] <0.1 <0.1 1000×1000(非集光時)/1×1(集光時) 600×600 100×300 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1010 ~1010 ~1012(非集光時)/~1010(集光時) ~1013 1010~1012 *1 : http://www.spring8.or.jp/ext/ja/iuss/htm/text/06file/sp8_indu_appl_mtg-23/2.pdf *2 : http://www.ritsumei.ac.jp/se/rp/physics/lab/spinspec/Imada_lab/xmcd.html *3 : http://xraysweb.lbl.gov/peem2/webpage/Project/TutorialContrast.shtml
© Copyright 2024 ExpyDoc