広域X線吸収微細構造 Extended Absorption Fine Structure (EXAFS) ●物質に含まれる元素周囲の構造情報(結合原子の種類・距離)を選択的に分析 ●試料形態に制約が少なく、非晶質や液体および気体の分析も可能 ●数十 ppm 程度の希薄試料も分析可能 ●高輝度放射光によるダイナミクス観察(in-situ operant-EXAFS) 測定原理 物質中に含まれる元素の吸収端から 1000 [eV] 程度高エネルギー領域 (EXAFS 領域) では、放出された光 電子とその散乱波に基づく、吸収スペクトルの振動構造が 観察される。この振動構造を解析することにより、物質中 における測定対象元素周囲の構造情報を得る。 得られる情報 物質中に含まれる元素周囲の構造情報(結 合原子の種類・距離など)を、数オングストローム程度の領 域に渡って得る。使用する X 線のエネルギーにより、測定 対象とする元素を選択する。 特徴 測定手法が比較的簡便であり、結晶および非晶質を 問わず有効である。試料の形態に制約が少なく、ガス・液体 図 1. 吸収端近傍で観察される EXAFS 振動*1 や薄膜の構造解析にも用いられる。 応用例 ① 時分割 DXAFS による銅担持ゼオライトの酸化還元反 応機構の解明:触媒反応の中心となる Cu 周囲の構造を ダイナミクス解析() (http://pfwww.kek.jp/publications/pfnews/23_1/p16_20.pdf) ② 転換電子収量 XAFS による砒酸鉄粒子表面の局所構造: 非鉄精錬の廃棄物として排出される砒酸鉄粒子表面の 構造を評価し、安全性を評価(図 4) (https://support.spring8.or.jp/Report_JSR/PDF_JSR_22A 図 2. EXAFS 測定のセットアップ例*1 /2010A1882.pdf) 図 3. 時分割 XAFS による構造情報の in-situ 観察*2 図 4. 砒酸鉄表面の砒素を対象とした EXAFS から 求められた動径分布関数*3 東北放射光施設における展開 高輝度のナノビームを用いることにより、空間分解能および時間分解能を向上 させた測定が可能である。また、利用可能な X 線のエネルギー領域の制約から、従来のシンクロトロン放射光施 設で測定が困難であった軽元素の解析にも対応する。 既存ビームラインとの基本スペック比較 硬X線 EXAFS 光源 SPring-8 SLiT-J KEK (PF ring) BL-01 BL-03 BL01B1 BL39XU BL-7C アンジュレータ アンジュレータ 偏向電磁石 アンジュレータ 偏向電磁石 エネルギー範囲[keV] 3~30 3~30 3.8~113 5~38 4~20 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 3×10-5~2×10-4 1×10-4~2×10-4 ~2×10-4 ビームサイズ [μm] ~1 <0.1 - 600×600 - 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1012 ~1010 109~1011 2.4×1013~5.3×1013 1010 (非集光時) ~1011 (集光時) SPring-8 KEK (PF ring) BL-02 BL-04 BL25SU/B BL-11B 光源 アンジュレータ アンジュレータ アンジュレータ 偏向電磁石 エネルギー範囲[keV] 0.1~3 0.1~3 0.2~2 2~5 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 ~3×10-4 ~2×10-4 軟X線 EXAFS SLiT-J ビームサイズ [μm] ~1 <0.1 ~100 5000×2000 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1013 ~1010 ~1012(ナノビーム~109) ~1011 SLiT-J SPring-8 KEK (PF ring) KEK (PF-AR ring) BL-06 BL14B2 BL12C AR-NW2A アンジュレータ 偏向電磁石 偏向電磁石 偏向電磁石 エネルギー範囲[keV] 3~30 3.8~72 4~23 5~25 エネルギー分解能 ΔE/E ~10-4 ~10-4 ~2×10-4 ~2×10-4 時分割 EXAFS 光源 ビームサイズ [μm] <0.1 - - - 光子数(集光位置) [photons/sec] ~1010 ~1010 ~5x1010 ~6x1010 *1 : http://mmnakayama.jimdo.com/study/x%E7%B7%9A%E5%90%B8%E5%8F%8E%E5%88%86%E5%85%89/ *2 : http://pfwww.kek.jp/users_info/station_spec/PFuse_TR-XAFS/PFuse_TR-XAFS_abst.html *3 : https://support.spring8.or.jp/Report_JSR/PDF_JSR_22A/2010A1882.pdf
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